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アルメニアのカリフラワー・ブロッコリー生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによれば、アルメニアのカリフラワー・ブロッコリー生産量は、1992年の4,000トンから急激な増減を繰り返しながら、2015年に15,518トンと過去最高を記録しました。その後、2023年には7,877トンまで減少し、近年は減産傾向が見られます。この変化は国内の農業構造の転換や市場ニーズ、気候変動の影響などと関連していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 7,877
-23.65% ↓
2022年 10,317
-25.49% ↓
2021年 13,847
-16.01% ↓
2020年 16,487
8.85% ↑
2019年 15,147
1.73% ↑
2018年 14,889
-11.27% ↓
2017年 16,780
27.32% ↑
2016年 13,179
-15.07% ↓
2015年 15,518
46.27% ↑
2014年 10,609
-8.57% ↓
2013年 11,603
-6.57% ↓
2012年 12,419
23.23% ↑
2011年 10,078
1.48% ↑
2010年 9,931
8.1% ↑
2009年 9,187
34.14% ↑
2008年 6,849
-23.17% ↓
2007年 8,914
26.57% ↑
2006年 7,043
25.3% ↑
2005年 5,621
-9.62% ↓
2004年 6,219
25.81% ↑
2003年 4,943
37.12% ↑
2002年 3,605
-5.01% ↓
2001年 3,795
69.42% ↑
2000年 2,240
-33.41% ↓
1999年 3,364
12.13% ↑
1998年 3,000
-14.29% ↓
1997年 3,500
-5.41% ↓
1996年 3,700
23.33% ↑
1995年 3,000
30.43% ↑
1994年 2,300
-23.33% ↓
1993年 3,000
-25% ↓
1992年 4,000 -

アルメニアのカリフラワー・ブロッコリー生産量の推移を見ると、1990年代初頭から2000年代前半にかけては2,000~4,000トンほどの低生産量で停滞していました。しかし、2000年代中盤以降、急激に生産量が増加し、特に2010年以降は10,000トンを超える安定した生産が見られました。この背景には、農業技術の向上や政府の農業振興施策、さらにはこの時期に高まった健康志向によるブロッコリー需要の世界的な増加が寄与していると考えられます。その一方で、2020年以降のデータでは生産量が再び減少傾向に転じています。2023年の7,877トンは、およそ8年前の2015年の半分程度にまで落ち込みました。この変化にはいくつかの要因が考えられます。

まず、考慮すべき要素として、気候変動の影響が挙げられます。アルメニアは高山地帯が多く、一部地域では近年極端な天候を経験しています。降水量の変動や気温上昇により農作物の収穫が不安定になり、カリフラワーやブロッコリーのような比較的冷涼な気候を好む作物の栽培に特に悪影響を与えている可能性があります。また、2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大による世界的な輸送網の混乱が、農産物の供給と需要のバランスを崩したことも影響の一部として考えられます。

さらに、アルメニアは地政学的に重要な位置にあるため、周辺諸国との関係性も農業動態に影響を与えています。特に、地域紛争の発生や貿易ルートの不安定さが、輸入資材の供給不足や輸出市場の減少を引き起こし、農家の生産意欲を低下させる要因となっています。加えて、労働力不足や農村からの人口流出も、農業全体の生産性を低下させる要因の一つです。

今後の課題として挙げられるのは、まず農業の気候変動への適応力を強化することです。これには、耐候性のある品種の導入や灌漑インフラの整備、あるいは早期警戒システムの導入が含まれます。さらに、国内外の市場アクセスを改善するために、農業輸出をサポートする制度や貿易協定の見直しが重要です。また、小規模農家への技術支援や補助金政策を強化することで、農業労働者の持続可能な生産を支援する取り組みも求められます。

結論として、アルメニアのカリフラワー・ブロッコリー生産は過去数十年で劇的な変化を経験してきましたが、近年の減産は複合的要因によるものと考えられます。この流れを改善するためには、地域の地政学的課題や気候リスクを考慮した包括的な政策が必要です。国際機関との協力を深め、技術革新や持続可能な農業の実現に向けた取り組みを加速させることが、アルメニア農業の未来を切り開く鍵となるでしょう。