世界のリンゴ生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

1971年度におけるリンゴの生産量ランキングでは、フランスがトップに立ち、約296万7,000トンを生産しました。次いでアメリカ合衆国が289万820トン、ドイツが230万9,000トンで上位3カ国となっています。アジアに目を向けると、日本が100万6,000トンで5位、中国が854,000トンで6位という結果です。一方、地理的条件や農業技術の違いから、生産量が比較的少ない国々の中では、アフリカや中南米の数カ国では10,000トン以下にとどまる国も見られました。このデータは、国際連合食糧農業機関（FAO）が発表したもので、各国における農業生産と地政学的背景を理解する上で重要な指標です。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	フランス	ヨーロッパ	2,967,000
2	アメリカ合衆国	北アメリカ	2,890,820
3	ドイツ	ヨーロッパ	2,309,000
4	イタリア	ヨーロッパ	1,697,300
5	日本	アジア	1,006,000
6	中国	アジア	854,000
7	トルコ	アジア	780,000
8	スペイン	ヨーロッパ	657,500
9	ハンガリー	ヨーロッパ	620,534
10	ポーランド	ヨーロッパ	563,200
11	イギリス	ヨーロッパ	530,276
12	オランダ	ヨーロッパ	520,000
13	オーストラリア	オセアニア	442,636
14	アルゼンチン	南アメリカ	423,900
15	カナダ	北アメリカ	391,136
16	スイス	ヨーロッパ	390,000
17	インド	アジア	352,000
18	ブルガリア	ヨーロッパ	343,683
19	ルーマニア	ヨーロッパ	252,700
20	オーストリア	ヨーロッパ	243,658
21	南アフリカ	アフリカ	243,170
22	メキシコ	南アメリカ	232,565
23	ギリシャ	ヨーロッパ	226,059
24	大韓民国	アジア	220,687
25	朝鮮民主主義人民共和国	アジア	170,000
26	レバノン	アジア	154,483
27	チリ	南アメリカ	149,000
28	スウェーデン	ヨーロッパ	147,900
29	ニュージーランド	オセアニア	126,759
30	デンマーク	ヨーロッパ	115,457
31	ポルトガル	ヨーロッパ	95,120
32	イラン（イスラム共和国）	アジア	91,102
33	イスラエル	アジア	78,100
34	ペルー	南アメリカ	74,773
35	ノルウェー	ヨーロッパ	50,746
36	イラク	アジア	42,833
37	パキスタン	アジア	36,127
38	シリア・アラブ共和国	アジア	34,161
39	ブラジル	南アメリカ	29,961
40	ウルグアイ	南アメリカ	28,000
41	フィンランド	ヨーロッパ	25,000
42	アフガニスタン	アジア	21,500
43	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	17,500
44	モロッコ	アフリカ	14,000
45	アルジェリア	アフリカ	13,506
46	アイルランド	ヨーロッパ	13,000
47	キプロス	アジア	10,668
48	アルバニア	ヨーロッパ	10,000
49	チュニジア	アフリカ	8,500
50	エジプト	アフリカ	7,400
51	マダガスカル	アフリカ	6,286
52	エクアドル	南アメリカ	5,617
53	グアテマラ	南アメリカ	4,600
54	ジンバブエ	アフリカ	2,600
55	ブータン	アジア	2,600
56	リビア	アフリカ	2,419
57	グレナダ	南アメリカ	570
58	ヨルダン	アジア	564
59	マルタ	ヨーロッパ	466
60	パラグアイ	南アメリカ	428
61	セントビンセントおよびグレナディーン諸島	南アメリカ	60
+ すべての国を見る

1971年では、リンゴ生産のトップ3がフランス、アメリカ合衆国、ドイツの順で並び、ヨーロッパおよび北米の気候条件と高度な農業技術が、これらの国々を牽引する要因となっていました。フランスが約296万7,000トンを生産し、全世界のリンゴ生産をリードしていた背景には、同国の温帯性の気候と農業技術の進展が挙げられます。また、アメリカ合衆国は特にワシントン州のような大規模な農地を基盤に、同様に高い生産力を示しています。

アジア圏に目を向けると、日本が100万6,000トンを生産しており、国内では青森県を中心にリンゴ栽培が盛んに行われてきました。しかし、5位という順位は、同時期の世界的生産量から見ると、規模の面では北米やヨーロッパ諸国に劣る状況でした。中国は現在世界最大のリンゴ生産国の1つですが、1971年にはまだ農業技術や大規模生産の面で課題が多く、854,000トンにとどまり、世界6位でした。この時期の中国の農業は、急成長期の前段階にあり、技術力やインフラ投資の面で他国との差が大きかったようです。

アフリカや中南米の国々では、全体的に生産量は低い傾向があります。たとえば、モロッコやアルジェリアでは14,000トンに満たず、リンゴ栽培の環境が制約を受ける地域的課題が浮き彫りになっています。これには気候の乾燥化や灌漑技術の遅れが影響しているほか、国内の農業政策や食料輸入への依存度も関係していると考えられます。また、南アメリカでは、アルゼンチンやチリが一定の生産量を誇っていますが、これらは収穫される果実の販路が主に地域内にとどまるため、国際競争力が弱まりがちです。

このデータから見える課題は、まず技術的な支援が不十分な国々において、インフラ整備の遅れや農業技術の普及が進んでいない点です。たとえば、灌漑設備の設置や病害虫防止のための知識提供は、アフリカや中南米の多くの国々のリンゴ生産量向上に寄与できる可能性があります。さらに、気候変動の進行により気候条件が変化する中、各国への耐性の高いリンゴ種子の導入や栽培技術の改善が求められます。

さらに地政学的背景を考慮すると、当時の冷戦下である1971年の状況が農業生産にも影響を与えていました。中国やソ連、またその衛星国においては、農業政策が政治的要因によって制約され、生産量が伸び悩む要因になっていた可能性があります。特に中国を含むアジア圏では、大規模な人口を抱えながらも、国内市場のニーズに応えられる生産体制が未成熟の段階にあったと言えるでしょう。また、アフリカの幾つかの地域では内戦や政情不安が農業インフラの発展を妨げており、これが今日に至るまでの課題として影響を及ぼしています。

今後、さらなるリンゴ生産の発展を支えるため、国際協力の枠組みが重要です。例えば、FAOやその他の国際機関が農業支援のためのプログラムを通じて、生産技術の普及や資材供給を促進することで、多様な地域におけるリンゴ栽培のポテンシャルを引き上げることが可能です。また、地域間貿易の促進や農産物の輸出ルートの整備は、特にアフリカや南米の中小生産者にとって新たな収益源となり得ます。輸送や物流技術の導入も、生産地から消費地への効率的な取引を支える一助となります。

本データが示すように、1971年時点ではリンゴ生産の重点地域が主に北半球の温帯地域に集中していましたが、今後は気候変動や市場変化に対応しつつ、新興国が主導権を握る可能性も考えられます。このような未来予測を踏まえ、国際的な政策協調が一段と重要となるでしょう。