世界のリンゴ生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

1968年のリンゴ生産量ランキングデータによると、フランスが約356.8万トンで首位となり、続いてアメリカ合衆国が約247万トン、イタリアが約193.2万トンという結果となっています。日本は世界で5位で、約113.6万トンを生産しており、アジア地域ではトップの生産量でした。一方、中国は約75万トンで6位と、この当時はまだリンゴ生産大国ではありませんでした。これらのデータは、各国の農業政策、地理的条件、気候、そして市場需要の違いを反映しています。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	フランス	ヨーロッパ	3,568,000
2	アメリカ合衆国	北アメリカ	2,470,433
3	イタリア	ヨーロッパ	1,932,000
4	ドイツ	ヨーロッパ	1,748,000
5	日本	アジア	1,136,000
6	中国	アジア	750,000
7	ポーランド	ヨーロッパ	743,100
8	トルコ	アジア	700,000
9	ハンガリー	ヨーロッパ	481,679
10	スペイン	ヨーロッパ	480,100
11	アルゼンチン	南アメリカ	469,600
12	ブルガリア	ヨーロッパ	427,062
13	カナダ	北アメリカ	400,896
14	イギリス	ヨーロッパ	382,000
15	オーストラリア	オセアニア	373,688
16	オランダ	ヨーロッパ	340,000
17	オーストリア	ヨーロッパ	328,675
18	スイス	ヨーロッパ	270,000
19	ギリシャ	ヨーロッパ	244,156
20	ルーマニア	ヨーロッパ	221,800
21	南アフリカ	アフリカ	212,054
22	大韓民国	アジア	198,711
23	インド	アジア	163,000
24	レバノン	アジア	162,907
25	スウェーデン	ヨーロッパ	152,000
26	チリ	南アメリカ	133,000
27	メキシコ	南アメリカ	126,411
28	デンマーク	ヨーロッパ	122,416
29	朝鮮民主主義人民共和国	アジア	115,000
30	ニュージーランド	オセアニア	113,200
31	イラン（イスラム共和国）	アジア	80,000
32	ポルトガル	ヨーロッパ	71,400
33	ノルウェー	ヨーロッパ	65,199
34	ペルー	南アメリカ	64,134
35	イスラエル	アジア	55,000
36	ウルグアイ	南アメリカ	28,000
37	アフガニスタン	アジア	27,900
38	ブラジル	南アメリカ	26,070
39	シリア・アラブ共和国	アジア	25,496
40	パキスタン	アジア	23,700
41	イラク	アジア	20,000
42	アイルランド	ヨーロッパ	20,000
43	フィンランド	ヨーロッパ	20,000
44	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	17,200
45	モロッコ	アフリカ	14,000
46	アルジェリア	アフリカ	10,490
47	アルバニア	ヨーロッパ	10,000
48	キプロス	アジア	8,128
49	チュニジア	アフリカ	7,900
50	グアテマラ	南アメリカ	4,500
51	エジプト	アフリカ	4,000
52	マダガスカル	アフリカ	4,000
53	エクアドル	南アメリカ	3,064
54	ブータン	アジア	2,450
55	ジンバブエ	アフリカ	2,300
56	ヨルダン	アジア	1,500
57	リビア	アフリカ	1,253
58	パラグアイ	南アメリカ	600
59	グレナダ	南アメリカ	550
60	マルタ	ヨーロッパ	260
61	セントビンセントおよびグレナディーン諸島	南アメリカ	15
+ すべての国を見る

1968年のリンゴ生産量ランキングは、世界の農業大国の方針や地域的条件を強く反映した結果です。国際連合食糧農業機関（FAO）が発表したこのデータは、当時の世界各国のリンゴ生産の現状とその背景を示すものであり、農業政策や地域経済を理解する上での重要な資料です。

世界一の生産量を誇ったフランスは、当時から果物栽培に適した肥沃な土壌と適度な雨量、そして果樹栽培の長い歴史を背景に、欧州を代表する農業大国の一つでした。生産量が356.8万トンにも及ぶことから、市場需要に応じた効率的な生産方式が行われていたことが窺えます。また、アメリカ合衆国は広大な農地と多様な気候に支えられ、約247万トンのリンゴ生産を行い、国内及び国際市場での重要な供給国となっていました。

一方で、アジア地域に目を向けると、日本が約113万トンの生産量を記録し、地域の中で最も多くリンゴを生産していました。日本のリンゴ栽培は、特に青森県をはじめとする冷涼な気候条件を持つ地域で盛んでした。また、中国は当時約75万トンと、日本と比較して約40万トンの差があり、近年のリンゴ生産大国という地位とは異なる状況にありました。中国のリンゴ生産が拡大する契機は、その後の改革開放政策や農業技術の発展を経た1980年代以降であると考えられます。

ヨーロッパ地域では、フランスに続きイタリア（193.2万トン）、ドイツ（174.8万トン）が上位を占め、気候条件が比較的農業向きであったことに加え、果樹園管理における伝統的な技術が生産を支えていました。この3か国が欧州地域におけるリンゴ栽培の中心地となり、域内外での流通を活性化させていたことが分かります。

これらのデータを背景に、いくつかの課題も見えてきます。例えば、日本のリンゴ生産は地域依存型であり、作物の多様性を保つための政策が必要です。一部の地域で災害が発生した場合、リンゴ供給が不足するリスクがあるため、複数の地域でリンゴ栽培を強化する取り組みが重要です。また欧州諸国では、従来型の農法を維持しつつ、機械化や生産効率の向上を目指す必要があることが示唆されます。さらに、現在の世界の農業大国である中国が1968年当時ではまだ途上にあったことを踏まえると、政策や技術革新が如何に農業の総生産量を引き上げるかを示しています。

一方で、地政学的に見れば、農業生産が地域の紛争リスクや地形条件、気候変動にどのように影響されるかという問題も無視できません。例えば、中東や北アフリカ地域の国々（エジプト、アルジェリアなど）は地形上農業に向かない条件が多く、生産量が非常に低いという課題を抱えています。これらの地域では別分野の貿易や国際援助の枠組みを通じて、農産物供給の安定化を図る必要があるでしょう。

将来のリンゴ生産を安定かつ持続的に行うためには、各国ごとの政策の見直しが必要です。例えば、日本では農業者の高齢化や自然災害といった現代の課題に対応すべく、若年層の農業参入促進や災害に強い品種の開発が提案されます。中国やインドのように成長中の経済国では、輸出市場を見据えた品質管理や農業技術の高度化が今後益々重要になるでしょう。また、国際協調の観点から、食料資源の平等な分配を目的とした取引の枠組みが構築されることで、全世界的にリンゴの生産と流通が一層円滑になることが期待されます。

1968年のデータからわかるリンゴ生産の状況は、単なる過去の統計ではなく、今後の農業の未来を考える上でのヒントを与えるものです。持続可能な農業を目指す上で、共有された技術、政策、そしてグローバルな協力がますます必要となるでしょう。