国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月時点での最新データによると、アフガニスタンのブドウ生産量は2023年に1,086,000トンとなり、大幅な増加を見せています。1961年から2023年までを通じて、ブドウ生産量は緩やかな増加と停滞期を経て、特に2010年代以降に急成長を遂げています。一方、長期間にわたり政治的不安定や天候の影響が生産量に影響を及ぼしてきた点がデータからも読み取れます。
アフガニスタンのブドウ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 1,086,000 |
19.34% ↑
|
2022年 | 910,000 |
-8.44% ↓
|
2021年 | 993,884 |
0.05% ↑
|
2020年 | 993,382 |
-10.74% ↓
|
2019年 | 1,112,927 |
13.09% ↑
|
2018年 | 984,081 |
6.52% ↑
|
2017年 | 923,831 |
5.64% ↑
|
2016年 | 874,541 |
8.63% ↑
|
2015年 | 805,072 |
8.09% ↑
|
2014年 | 744,847 |
21.99% ↑
|
2013年 | 610,570 |
3.48% ↑
|
2012年 | 590,065 |
19.82% ↑
|
2011年 | 492,464 |
24.05% ↑
|
2010年 | 397,000 |
5.03% ↑
|
2009年 | 378,000 |
3.85% ↑
|
2008年 | 364,000 |
1.11% ↑
|
2007年 | 360,000 |
2.86% ↑
|
2006年 | 350,000 |
1.24% ↑
|
2005年 | 345,700 |
-0.97% ↓
|
2004年 | 349,100 |
-4.36% ↓
|
2003年 | 365,000 | - |
2002年 | 365,000 | - |
2001年 | 365,000 |
10.61% ↑
|
2000年 | 330,000 | - |
1999年 | 330,000 | - |
1998年 | 330,000 | - |
1997年 | 330,000 | - |
1996年 | 330,000 | - |
1995年 | 330,000 | - |
1994年 | 330,000 | - |
1993年 | 330,000 | - |
1992年 | 330,000 |
-9.59% ↓
|
1991年 | 365,000 | - |
1990年 | 365,000 | - |
1989年 | 365,000 | - |
1988年 | 365,000 |
1.39% ↑
|
1987年 | 360,000 |
-1.37% ↓
|
1986年 | 365,000 |
-10.54% ↓
|
1985年 | 408,000 |
-2.39% ↓
|
1984年 | 418,000 |
-3.69% ↓
|
1983年 | 434,000 |
-2.25% ↓
|
1982年 | 444,000 |
-2.42% ↓
|
1981年 | 455,000 |
-0.87% ↓
|
1980年 | 459,000 |
3.85% ↑
|
1979年 | 442,000 |
0.45% ↑
|
1978年 | 440,000 |
2.33% ↑
|
1977年 | 430,000 |
-8.7% ↓
|
1976年 | 471,000 |
12.14% ↑
|
1975年 | 420,000 |
3.19% ↑
|
1974年 | 407,000 |
5.71% ↑
|
1973年 | 385,000 |
6.94% ↑
|
1972年 | 360,000 |
22.87% ↑
|
1971年 | 293,000 |
-19.51% ↓
|
1970年 | 364,000 |
-3.96% ↓
|
1969年 | 379,000 |
1.07% ↑
|
1968年 | 375,000 |
0.81% ↑
|
1967年 | 372,000 |
18.1% ↑
|
1966年 | 315,000 |
9.76% ↑
|
1965年 | 287,000 |
8.3% ↑
|
1964年 | 265,000 |
17.78% ↑
|
1963年 | 225,000 | - |
1962年 | 225,000 | - |
1961年 | 225,000 | - |
アフガニスタンは、その地理的特性と気候条件から、果樹栽培に適した環境を有しており、特にブドウ生産は主要な農業活動の一つです。1961年時点の生産量は225,000トンで、その後1980年頃まで比較的安定的に増加を続け、459,000トンに達しました。しかし、1980年代から1990年代にかけて、国内紛争や政情不安が生産に大きな影響を及ぼし、生産量は1992年以降、約330,000トン前後で停滞しました。この期間は内戦が継続し、農業基盤が破壊されたことが要因と考えられます。
2000年代に入ると、国際社会からの支援や農業復興計画が進められたことで、徐々に生産量が回復し、2010年には397,000トンに達しました。特に2010年代における伸びは著しく、2015年には805,072トン、2019年には1,112,927トンと、産業としての規模を飛躍的に拡大させました。この急成長は、灌漑技術の導入、農地の開発、新しい農業政策の導入、および地域間輸出の回復が背景にあります。
しかし、2020年以降、新型コロナウイルス感染症や気候変動、さらには度重なる紛争の影響により、生産量は一時的に減少し、2022年には910,000トンまで落ち込みました。それでも2023年には1,086,000トンと再び大幅な回復を遂げており、この分野での潜在的な成長力は引き続き高い水準といえます。
アフガニスタンの強みは、ブドウの品質と多様性にあります。この地域のブドウは輸出市場でも高い評価を受けており、今後の国際需要に対応するための産業基盤を強化することが重要となります。一方で、課題としては、依然として国内のインフラ不足や輸送コストの高さ、さらには地域紛争による不安定さが挙げられます。これらの課題を解決するためには、農業技術のさらなる改善、輸出市場の拡大、そして気候変動への適応策が必要不可欠です。
また、地政学的な観点では、アフガニスタンは中央アジアと中東をつなぐ貿易ルート上に位置しており、この地域の安定が周辺国との経済協力を深める要素になります。例えば、近隣諸国との農業貿易協定が強化されれば、輸送コストを抑えると同時に、アフガニスタン産ブドウの競争力がさらに高まるでしょう。
結論として、アフガニスタンのブドウ生産量は、過去60年間で著しい成長を遂げており、特に近年の回復は注目に値します。しかし、現地の脆弱な農業基盤や地政学的リスクを考慮に入れると、将来的な持続可能性を確保するためには、国内外での包括的な支援が必要です。具体的には、気候変動対策としての耐乾燥性ブドウ種の開発、農業インフラの改善、また輸出市場の拡大を視野に入れた総合的な政策が求められます。