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アフガニスタンの大麦生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによれば、アフガニスタンの大麦生産量は1960年代から2023年にかけて大きな変動を記録しています。ピーク時には521,000トン(2014年)を生産した一方、2000年には74,000トン、2018年には56,781トンと、極端に生産量が減少した年も見られます。この50年以上の間、政治的混乱や気候変動、災害などにより、大麦の生産は不安定な推移をたどってきました。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 110,000 -
2022年 110,000
68.97% ↑
2021年 65,102
-49.04% ↓
2020年 127,757
3.38% ↑
2019年 123,576
117.64% ↑
2018年 56,781
-40.23% ↓
2017年 94,995
-68.53% ↓
2016年 301,856
-25.1% ↓
2015年 403,000
-22.65% ↓
2014年 521,000
1.36% ↑
2013年 514,000
1.98% ↑
2012年 504,000
64.76% ↑
2011年 305,900
-30% ↓
2010年 437,000
-10.08% ↓
2009年 486,000
45.95% ↑
2008年 333,000
-10% ↓
2007年 370,000
1.65% ↑
2006年 364,000
8.01% ↑
2005年 337,000
16.21% ↑
2004年 290,000
20.83% ↑
2003年 240,000
-30.43% ↓
2002年 345,000
296.55% ↑
2001年 87,000
17.57% ↑
2000年 74,000
-65.74% ↓
1999年 216,000
-10% ↓
1998年 240,000
-4% ↓
1997年 250,000
13.64% ↑
1996年 220,000
10% ↑
1995年 200,000
-13.04% ↓
1994年 230,000
-8% ↓
1993年 250,000
25% ↑
1992年 200,000
-7.83% ↓
1991年 217,000
0.46% ↑
1990年 216,000
-6.49% ↓
1989年 231,000
-1.7% ↓
1988年 235,000
1.73% ↑
1987年 231,000 -
1986年 231,000
-3.75% ↓
1985年 240,000
-5.51% ↓
1984年 254,000
-4.51% ↓
1983年 266,000
-3.62% ↓
1982年 276,000
-8% ↓
1981年 300,000
-6.54% ↓
1980年 321,000
0.94% ↑
1979年 318,000
-2.15% ↓
1978年 325,000
8.33% ↑
1977年 300,000
-25% ↓
1976年 400,000
4.17% ↑
1975年 384,000
1.05% ↑
1974年 380,000
5.56% ↑
1973年 360,000
2.86% ↑
1972年 350,000
-1.41% ↓
1971年 355,000
-4.05% ↓
1970年 370,000
1.37% ↑
1969年 365,000
1.11% ↑
1968年 361,000
1.12% ↑
1967年 357,000
-4.8% ↓
1966年 375,000
-1.32% ↓
1965年 380,000 -
1964年 380,000
0.53% ↑
1963年 378,000 -
1962年 378,000 -
1961年 378,000 -

アフガニスタンの大麦生産量は、同国の農業と経済の動向、そして地政学的背景を反映しています。大麦はアフガニスタン国内で重要な穀物であり、主に人々の食料や家畜の飼料として活用されています。データから明らかなように、生産量は時代を追うごとに大きく上下しており、この変動は単に農業技術や気象条件のみならず、社会的・政治的要因にも関連しています。

まず、1960年代から1970年代中旬までは比較的安定しており、年間約350,000~380,000トン台の生産量を維持していました。しかし、1970年代後半から生産量が急激に低下しています。特に1977年以降の減少は同国で発生した政治的混乱やソビエト連邦の侵攻(1979年)に関連すると見られます。この時期は農業環境が荒廃し、インフラが破壊されたことが背景にあると考えられます。この状況は1980年代を通してさらに悪化し、1990年には216,000トンまで減少しました。

1990年代後半には一部回復の兆しが見られたものの、2000年には74,000トンという深刻な低水準を記録しました。この年は異常気象による干ばつの影響が大きく、農地の生産性が極端に低下しました。加えて、アフガニスタンの紛争が農業活動に与えた影響も無視できません。

その後、特に2002年以降、国際援助や農業政策の支援を受けて生産量が短期間で急増しました。2009年には486,000トン、2012年から2014年には500,000トンを超える成績を上げ、記録的な生産水準を達成しました。しかしながら、2015年以降再び不安定な推移が顕著となり、2017年以降は100,000トンを下回る年もありました。この近年の減少は、降水量不足や急速な気候変動による影響が指摘されています。特に2018年には56,781トンと極端に低い生産量となり、その後も大規模な回復は見られていません。

また、地政学的な背景も重要な要因と言えます。アフガニスタンは長年の紛争とテロ活動によってインフラが破壊され、肥沃な土地の多くが利用不可能となっています。さらに、近年の新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる物流の停滞や国際的支援の減少も、生産量のさらなる減少に拍車をかけた可能性があります。

未来に向けて、アフガニスタンの大麦生産を安定させるためにはいくつかの具体的対策が必要です。まず第一に、効率的な灌漑システムを整備し、降水量に依存しすぎない農業基盤の構築が求められます。干ばつや洪水といった極端な気象条件に耐えうる品種の導入も重要です。第二に、紛争や社会不安のリスクを軽減するため、地域間での協力を促進する持続可能な農業政策が必要となるでしょう。たとえば、近隣諸国との連携を深めて、種子や農業技術の共有を進めることが考えられます。さらに、国際機関やNGOが農業技術を提供し、農民が気候変動への対応力を高められるよう支援を強化することが非常に重要です。

結論として、アフガニスタンの大麦生産の推移は、同国が抱える複合的な課題を象徴しています。長期的に生産性を向上させるためには、気候変動への適応、紛争の終結、そして農業技術の発展が必要です。国際社会が協力してアフガニスタンの農業基盤を支援することで、食料安全保障の向上と経済発展の道が開かれるでしょう。