国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2017年度のデータによると、オリーブ油の生産量において、スペインが1位を獲得し、生産量は1,238,629トンに達しました。続いて、イタリアは411,159トン、ギリシャは311,727トンと、上位3カ国で全体の生産の大半を占めています。世界全体で見ても、オリーブ油生産の中心は地中海地域に偏っており、主要な生産国の生産量には大きな差異があることが分かります。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
ヨーロッパ | 1,238,629 |
| 2 |
|
ヨーロッパ | 411,159 |
| 3 |
|
ヨーロッパ | 311,727 |
| 4 |
|
アジア | 220,500 |
| 5 |
|
アフリカ | 188,600 |
| 6 |
|
アジア | 164,339 |
| 7 |
|
ヨーロッパ | 147,035 |
| 8 |
|
アフリカ | 130,600 |
| 9 |
|
アフリカ | 69,400 |
| 10 |
|
南アメリカ | 45,000 |
| 11 |
|
アフリカ | 33,100 |
| 12 |
|
アジア | 22,522 |
| 13 |
|
オセアニア | 21,000 |
| 14 |
|
アジア | 20,706 |
| 15 |
|
南アメリカ | 20,600 |
| 16 |
|
アジア | 19,533 |
| 17 |
|
アフリカ | 18,000 |
| 18 |
|
アジア | 17,700 |
| 19 |
|
北アメリカ | 16,000 |
| 20 |
|
ヨーロッパ | 11,000 |
| 21 |
|
アジア | 8,417 |
| 22 |
|
ヨーロッパ | 3,400 |
| 23 |
|
アジア | 3,293 |
| 24 |
|
南アメリカ | 1,662 |
| 25 |
|
アジア | 1,482 |
| 26 |
|
ヨーロッパ | 1,335 |
| 27 |
|
ヨーロッパ | 1,325 |
| 28 |
|
南アメリカ | 1,105 |
| 29 |
|
南アメリカ | 900 |
| 30 |
|
アジア | 763 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 361 |
| 32 |
|
南アメリカ | 174 |
| 33 |
|
ヨーロッパ | 28 |
| 34 |
|
ヨーロッパ | 10 |
| + すべての国を見る | |||
2017年度のオリーブ油生産量は、特に地中海沿岸の国々が中心となっており、スペイン、イタリア、ギリシャの3ヵ国で特筆すべき生産量を誇っています。スペインの生産量が他国を大きく上回る一因として、国内の気候条件や土壌がオリーブ栽培に非常に適していることが挙げられます。また、スペインの生産者は資本投資や技術革新を通じて、品質の高いオリーブ油の生産に注力しています。これに対し、イタリアやギリシャも良質なオリーブ油を生産していますが、生産量においてはスペインに遠く及びません。
このような生産量の偏りは、地理的な要因や経済的な事情に深く関連しています。特に、オリーブ油は地中海文化圏の基盤となる重要な農産物であり、この地域の農業経済においても大きな影響を与えています。しかしながら、他国との競争も激化しており、例えば、トルコやチュニジアの生産者も急速に需要に応えようとしています。とはいえ、これらの国々の生産量はそれぞれ220,500トン、188,600トンと、依然として地中海の主力国に比べると少なくなっています。
今後の課題として、気候変動の影響が挙げられます。異常気象の増加がオリーブ栽培に直接的な悪影響を与える可能性があります。特に水の確保が難しくなれば、これが生産量の減少に繋がる恐れがあります。加えて、持続可能な農業技術の導入が急務です。これにより、生産者は資源の無駄を減少させ、環境に配慮した生産方式を確立することが期待されます。
地政学的な側面がこの産業に及ぼす影響も無視できません。例えば、中東の紛争や政治的緊張が地中海地域の供給網に不安定さをもたらす可能性があります。特に、シリアの状況は周辺国との関係を複雑にし、オリーブ油の生産にも影響が出る懸念があります。この点については、国際的なコミュニティの協力が不可欠です。生産国間の情報共有や技術 transfer、さらには地域間協力の強化が課題解決に寄与するでしょう。
さらに、新型コロナウイルスの影響や自然災害といった要因が供給面での不安定を引き起こすことも考えられます。オリーブ油の流通や消費が縮小することで、長期的な生産にも影響が及ぶリスクがあります。
結論として、2017年度のデータはオリーブ油生産がスペインを頂点にした地中海沿岸国に密集していることを示しています。この偏りの解消は、気候変動や地政学的リスクへの対策と共に進めなければなりません。持続可能な生産方法の模索や、国際的な協力を強化することが、今後のオリーブ油業界の成長において重要な施策となるでしょう。これには、各国政府や国際機関による支援も期待されます。