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モーリシャスの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、モーリシャスの牛乳生産量は1961年の21,000トンから徐々に増加し、1976年には24,720トンに達しました。しかし、その後は急激な減少が見られ、1980年代後半以降は大幅に低迷しています。2000年代からはさらに深刻な低下傾向となり、近年ではわずか2,000トン台の生産量にとどまっています。2023年には2,788トンと前年よりやや増加がみられるものの、過去60年以上のデータ全体から見ると非常に低い水準で推移しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,788
24.97% ↑
2022年 2,231
-14.26% ↓
2021年 2,602
4.08% ↑
2020年 2,500 -
2019年 2,500 -
2018年 2,500
-30.56% ↓
2017年 3,600
-10% ↓
2016年 4,000
-11.11% ↓
2015年 4,500
-10% ↓
2014年 5,000 -
2013年 5,000
-16.67% ↓
2012年 6,000
20% ↑
2011年 5,000
38.89% ↑
2010年 3,600
2.86% ↑
2009年 3,500
6.06% ↑
2008年 3,300
-5.71% ↓
2007年 3,500
-12.5% ↓
2006年 4,000 -
2005年 4,000 -
2004年 4,000 -
2003年 4,000 -
2002年 4,000 -
2001年 4,000
-14.89% ↓
2000年 4,700
-6% ↓
1999年 5,000
-9.09% ↓
1998年 5,500
-8.33% ↓
1997年 6,000
-9.09% ↓
1996年 6,600
-12% ↓
1995年 7,500
-6.25% ↓
1994年 8,000
-11.11% ↓
1993年 9,000
-14.29% ↓
1992年 10,500
1.94% ↑
1991年 10,300
-6.36% ↓
1990年 11,000
-18.52% ↓
1989年 13,500
8% ↑
1988年 12,500
11.11% ↑
1987年 11,250
2.27% ↑
1986年 11,000
2.8% ↑
1985年 10,700
16.94% ↑
1984年 9,150
14.38% ↑
1983年 8,000
5.26% ↑
1982年 7,600
1.33% ↑
1981年 7,500
-11.76% ↓
1980年 8,500
-6.08% ↓
1979年 9,050
-39.67% ↓
1978年 15,000
-37.96% ↓
1977年 24,178
-2.19% ↓
1976年 24,720
10.36% ↑
1975年 22,400
1.82% ↑
1974年 22,000
1.62% ↑
1973年 21,650
0.29% ↑
1972年 21,588
0.73% ↑
1971年 21,432
0.15% ↑
1970年 21,400
-0.47% ↓
1969年 21,500
0.47% ↑
1968年 21,400
0.47% ↑
1967年 21,300
0.47% ↑
1966年 21,200 -
1965年 21,200
0.45% ↑
1964年 21,106
0.03% ↑
1963年 21,100
0.48% ↑
1962年 21,000 -
1961年 21,000 -

モーリシャスにおける牛乳生産量の推移を長期的に見ると、1960年代から1970年代半ばにかけては緩やかな増加傾向が続いていました。特に1976年の24,720トンはこのデータの中で最も高い数値を記録しており、この時期には農業部門の強化や家畜管理の改善が行われたと推測されます。しかし、1978年以降は急激な減少が見られ、1980年代には7,000~8,000トン台へと生産量が大幅に落ち込みました。その後、1990年代には再び数値を回復させる兆候もありましたが、2000年代以降、ほぼ一定の低下傾向が続いています。

モーリシャスの牛乳生産量が劇的に減少した背景には、いくつかの課題が挙げられます。まず、気候変動や自然災害の影響が大きいと言えます。例えば、モーリシャスはインド洋に位置する島国であり、定期的にサイクロンに見舞われることがあります。これにより家畜の飼料供給が途絶える事態や生産施設の被害が発生し、生乳生産に大きな影響を及ぼしている可能性があります。また、土地利用の変化も無視できません。都市化や観光産業の発展による農業用地の縮小により、牛の飼育頭数が減少し、生産基盤が脆弱化していると考えられます。

さらに、後年の減少の背景には、国内需要の減少と輸入産牛乳や乳製品に対する依存度の増加も挙げられます。輸入品が国内生産品よりコストパフォーマンスに優れている場合、国内生産者は価格競争で圧迫され、生産意欲が減退していく可能性があります。これに加え、小規模農家の一部では専門知識や技術の不足も問題視されています。特に、21世紀以降生産量が著しく低下していることから、家畜管理技術や設備の老朽化が進行していることが示唆されます。

近年には新型コロナウイルス感染症のパンデミックも影響を与えたと考えられます。輸入に依存する取引体制への影響や物流の停滞、また労働力の低下が牛乳生産にも波及しています。2023年には2,788トンと、前年からやや増加しましたが、これは牛乳生産基盤への小規模な投資や政策支援の成果である可能性があります。

このような現状を踏まえると、モーリシャスが直面している課題に対するいくつかの戦略的な対策を検討する必要があります。まず第一に、地元農家への技術支援とインフラ投資を強化し、生産効率を向上させることが重要です。生乳生産を継続可能な形で維持するためには、最新の飼育技術や病害予防策を導入し、適切な指導を実施する枠組みが欠かせません。次に、輸入依存度を低減させるための農業振興政策が必要です。これには、地元で生産される乳製品の価値を高め、農産物の付加価値を創出する取り組みが求められます。

加えて、気候変動への適応が今後の大きな課題となるでしょう。サイクロンや異常気象に強いインフラ整備を行うとともに、持続可能な農業技術を推進する必要があります。さらに、地域間協力や国際的な農業支援プログラムを活用し、資金調達を進めることも解決策の一つと考えられます。

結論として、モーリシャスの牛乳生産量の過去から現在に至る減少傾向は、気候的な脅威や社会経済的な変化、そして政策的な不足に起因していると言えます。しかしながら、適切な対策を講じることでこの問題を改善させる余地は十分にあります。国際機関との協力や地域間の連携を図りながら、将来的な農業セクターの復興と持続可能性を目指した長期的な政策の策定が求められます。