国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによれば、モーリシャスのカリフラワー・ブロッコリー生産量は1961年以降、大きな変動を経てきました。特に1990年代後半に増加が顕著となり、1998年には4,260トンと過去最高を記録しましたが、その後は減少と変動を繰り返しています。直近では2023年に2,327トンを生産し、ここ数年の減少傾向から回復しています。この流れを受け、農業における課題と将来的な展望が注目されています。
モーリシャスのカリフラワー・ブロッコリー生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 2,327 |
110.21% ↑
|
2022年 | 1,107 |
8.21% ↑
|
2021年 | 1,023 |
11.56% ↑
|
2020年 | 917 |
11.29% ↑
|
2019年 | 824 |
-44.59% ↓
|
2018年 | 1,487 |
-27.82% ↓
|
2017年 | 2,060 |
-10.43% ↓
|
2016年 | 2,300 |
9.51% ↑
|
2015年 | 2,100 |
-12.21% ↓
|
2014年 | 2,392 |
7.8% ↑
|
2013年 | 2,219 |
24.24% ↑
|
2012年 | 1,786 |
-3.82% ↓
|
2011年 | 1,857 |
26.07% ↑
|
2010年 | 1,473 |
-12.32% ↓
|
2009年 | 1,680 |
38.96% ↑
|
2008年 | 1,209 |
-25.87% ↓
|
2007年 | 1,631 |
17.25% ↑
|
2006年 | 1,391 |
-31.31% ↓
|
2005年 | 2,025 |
-32.97% ↓
|
2004年 | 3,021 |
59% ↑
|
2003年 | 1,900 |
-9.35% ↓
|
2002年 | 2,096 |
-0.85% ↓
|
2001年 | 2,114 |
3.37% ↑
|
2000年 | 2,045 |
60.52% ↑
|
1999年 | 1,274 |
-70.09% ↓
|
1998年 | 4,260 |
30.63% ↑
|
1997年 | 3,261 |
-4.79% ↓
|
1996年 | 3,425 |
49.89% ↑
|
1995年 | 2,285 |
11.57% ↑
|
1994年 | 2,048 |
48.19% ↑
|
1993年 | 1,382 |
20.17% ↑
|
1992年 | 1,150 |
47.44% ↑
|
1991年 | 780 |
-39.06% ↓
|
1990年 | 1,280 |
39.13% ↑
|
1989年 | 920 |
-3.66% ↓
|
1988年 | 955 |
180.88% ↑
|
1987年 | 340 |
-44.26% ↓
|
1986年 | 610 |
15.09% ↑
|
1985年 | 530 |
-26.9% ↓
|
1984年 | 725 |
55.91% ↑
|
1983年 | 465 |
-4.12% ↓
|
1982年 | 485 |
-11.98% ↓
|
1981年 | 551 |
11.99% ↑
|
1980年 | 492 |
22.08% ↑
|
1979年 | 403 |
-25.09% ↓
|
1978年 | 538 |
19.82% ↑
|
1977年 | 449 |
-27.7% ↓
|
1976年 | 621 |
-39.53% ↓
|
1975年 | 1,027 |
-34.96% ↓
|
1974年 | 1,579 |
313.35% ↑
|
1973年 | 382 |
6.7% ↑
|
1972年 | 358 |
22.18% ↑
|
1971年 | 293 |
-38.45% ↓
|
1970年 | 476 |
9.93% ↑
|
1969年 | 433 |
-18.91% ↓
|
1968年 | 534 |
-32.49% ↓
|
1967年 | 791 |
57.57% ↑
|
1966年 | 502 |
-35.72% ↓
|
1965年 | 781 |
8.77% ↑
|
1964年 | 718 |
-46.06% ↓
|
1963年 | 1,331 |
-4.93% ↓
|
1962年 | 1,400 |
75% ↑
|
1961年 | 800 | - |
モーリシャスのカリフラワー・ブロッコリー生産量データを時系列で観察すると、初期の1960年代は年間500~1,400トン程度で推移しており、生産基盤はまだ発展途上にあったと考えられます。しかし、1974年に1,579トンを記録し、その後も徐々に改善傾向が見られました。それ以降1980年代は年間600~900トン規模の安定した数値が目立ちましたが、1990年代に突入すると急激に生産が伸び、1996年には3,425トン、1998年には4,260トンと記録的な生産量を達成しました。
この増加の背景には、改良された農業技術の普及や国内外の需要増加が考えられます。また、地理的条件が安定していた時期において、農地管理や灌漑(水の供給)技術の改善がこれに寄与した可能性もあります。一方で、1998年をピークに生産量は減少に転じ、2000年代初頭以降は年間約2,000トン前後で推移するようになりました。この減少には、気候変動や天候不順、輸入品との競争、さらに土地利用の変化など複数の要因が関連していると考えられます。
特に近年のデータを見ると、2013年の2,219トンから徐々に減少し、2018年には1,487トン、さらに2019年には824トンと大幅に減りました。この背景には、異常気象や、労働力不足、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響による輸送・物流の停滞が挙げられます。しかし、2021年以降は1,000トン以上の生産を回復し、2023年には2,327トンと再び増加しました。これは、輸送の改善、農業政策の支援、あるいは消費者需要の回復が後押しした結果と考えられます。
モーリシャスのカリフラワー・ブロッコリー生産が直面している課題にはいくつかの重要なポイントがあります。第一に、気候変動による気温や降雨パターンの変化が作物の収穫量を大きく左右しています。小規模農家が多いモーリシャスでは、これらの気候リスクに対する脆弱性が他国よりも高い状況にあります。第二に、輸入農産物との競争が国内生産を圧迫しています。特に近隣諸国や中国からの価格競争に対応するため、適切なコスト管理が求められます。さらに、労働力の不足も農業生産性を制約している要因です。
これらの課題に対して、いくつかの具体的な対策を提案します。まず、気候適応型農業技術の導入を進めることが必要です。たとえば、高温や乾燥に耐性のある作物品種の開発および普及を進めることで、生産リスクを軽減できます。また、灌漑設備や防風林の設置など、インフラの整備も効果的な手段となります。次に、輸入品との競争に対応するため、地産地消を促進するマーケティング戦略の展開が重要です。消費者に品質の高い国内産品の良さをアピールすることで、市場での競争力を向上させることが可能です。そして、若年層の農業参入を促進するための支援策、たとえば農業教育プログラムや補助金を提供することも検討すべきでしょう。
地政学的には、モーリシャスがインド洋の島国であり、国際貿易や物流に依存している現状から、輸入資材や輸出品の輸送に地政学リスクが影響を与える可能性が高いです。港湾施設の効率向上や貿易協定の利用を通じて、農業の外部依存度を抑える方法も長期的には検討する必要があります。
データから明らかになるように、モーリシャスのカリフラワー・ブロッコリー生産量は様々な要因で大きく変動してきました。そして、再び安定成長を遂げるためには、農業技術や政策の改善だけでなく、気候変動への対応能力をいかに高めるかが鍵と言えるでしょう。国際機関や地域団体との協力を深め、持続可能な農業発展を推進することが重要です。