国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、モーリシャスのトウモロコシ生産量は、1961年から2022年までの約60年間で大きな変動がありました。特に1974年、1984年、1986年には大きなピークを迎えましたが、それ以外の時期には断続的な減少傾向が見られます。2020年以降は再び増加の兆しを見せ、2022年には823トンを記録しています。しかし、近年の生産量は主に1970~1980年代のピーク時と比べると依然として低い水準にあります。
モーリシャスのトウモロコシ生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 823 |
2021年 | 1,106 |
2020年 | 778 |
2019年 | 495 |
2018年 | 387 |
2017年 | 442 |
2016年 | 415 |
2015年 | 451 |
2014年 | 625 |
2013年 | 632 |
2012年 | 413 |
2011年 | 320 |
2010年 | 328 |
2009年 | 112 |
2008年 | 460 |
2007年 | 1,021 |
2006年 | 452 |
2005年 | 475 |
2004年 | 369 |
2003年 | 177 |
2002年 | 295 |
2001年 | 389 |
2000年 | 623 |
1999年 | 201 |
1998年 | 259 |
1997年 | 232 |
1996年 | 438 |
1995年 | 289 |
1994年 | 880 |
1993年 | 1,816 |
1992年 | 1,995 |
1991年 | 2,120 |
1990年 | 2,265 |
1989年 | 2,395 |
1988年 | 3,787 |
1987年 | 3,865 |
1986年 | 7,970 |
1985年 | 4,890 |
1984年 | 3,265 |
1983年 | 1,195 |
1982年 | 1,375 |
1981年 | 1,081 |
1980年 | 732 |
1979年 | 1,171 |
1978年 | 1,144 |
1977年 | 1,328 |
1976年 | 1,584 |
1975年 | 1,194 |
1974年 | 1,684 |
1973年 | 442 |
1972年 | 470 |
1971年 | 504 |
1970年 | 529 |
1969年 | 462 |
1968年 | 376 |
1967年 | 457 |
1966年 | 457 |
1965年 | 296 |
1964年 | 25 |
1963年 | 147 |
1962年 | 203 |
1961年 | 180 |
モーリシャスのトウモロコシ生産量のデータから分かることは、この小さな島国の農業セクターが長い年月にわたり多くの外的要因に影響を受けてきたという事実です。1960年代から1970年代前半まではわずか数百トンの生産量でしたが、1974年には1,684トンと突如として大きな増加を見せました。その後、特に1984年(3,265トン)や1986年(7,970トン)といった年に、劇的な生産量の増加を記録しました。これらのピークは、おそらくその時期の気象条件が良好であったことや、農業技術の進展、または政府の農業振興策によるものと推測されます。
しかし、1986年のピーク以降、トウモロコシ生産量は長期的な減少モードに入りました。1990年代以降では、200トンから500トン前後に低迷し、特に1995年(289トン)など、特に低い生産量を記録しています。この急激な減少は、都市化の進行、農地転用、若年層の農業離れ、あるいは輸入の増加など、様々な複合要因が背景にあると考えられます。また、地政学的な観点から見ると、モーリシャスが国際的な輸出入経済に依存していることも影響を及ぼしている可能性があります。
最近では、2020年以降、再び生産量の増加傾向が見られています。2020年には778トン、2021年には1,106トンと増加し、2022年も823トンを記録しました。この回復は、気候変動対策や農業技術の普及などに伴う政策変化の影響の可能性が高いです。ただし、この変化が長期的なトレンドとして続くのかは今後のモニタリングが必要です。
現在の課題としては、長期的な農業生産の一貫性と持続可能性の確保が挙げられます。モーリシャスは、地理的に小規模な島国であり、土地資源や水資源が限られています。これに加え、気候変動の影響は作物生産にさらなるリスクをもたらしています。洪水や干ばつといった自然災害の頻発が、農業従事者の意欲を削ぐ要因として指摘されています。
課題に対しては、いくつかの具体的な対策が提案されます。一つは、農地の適切な管理を推進し、トウモロコシなどの作物生産に特化した持続可能な農業モデルの導入です。例えば、土壌改良技術や、耐干ばつ性のある品種の導入が有効です。さらに、農民への技術指導や教育プログラムの拡充が、若い世代の農業参入を促す鍵となります。また、気候変動に対応するための灌漑システムの強化も重要な要素でしょう。
地政学的な側面では、モーリシャスは輸入食品への依存度が高いことから、トウモロコシの生産拡大は食糧安全保障という観点でも注目されています。地域的な協力を強化し、近隣諸国と連携した農業技術共有や、輸出拡大の機会を探ることも経済的な安定に繋がると考えられます。
結論として、モーリシャスのトウモロコシ生産量は、過去の盛衰を経て現在は回復傾向にありますが、その一貫性を保つには更なる努力が必要です。国際連合や各国の支援を受けながら、持続可能で効率的な農業モデルの確立を目指すことが重要です。これにより、国内の食糧自給率向上のみならず、国際市場における競争力を強化することも期待されます。