国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、モーリシャスにおけるエンドウ豆(生)の生産量は、1960年代から持続的な変動を示してきました。生産量は1960年代初頭に比較的安定していましたが、その後減少と上昇を繰り返し、2000年代以降は著しい減少傾向を示しています。特に2010年代以降、生産量は1~2トン程度にまで落ち込んでおり、近代的な農業発展においてエンドウ豆生産が重要な課題となっています。
モーリシャスのエンドウ豆(生)生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 2 |
100% ↑
|
2022年 | 1 | - |
2020年 | 1 | - |
2018年 | 1 |
-54.75% ↓
|
2017年 | 2 |
12.76% ↑
|
2016年 | 2 |
-86.93% ↓
|
2015年 | 15 |
150% ↑
|
2014年 | 6 |
200% ↑
|
2013年 | 2 |
-60% ↓
|
2012年 | 5 |
-16.67% ↓
|
2011年 | 6 |
-45.45% ↓
|
2010年 | 11 |
10% ↑
|
2009年 | 10 |
-28.57% ↓
|
2008年 | 14 |
-30% ↓
|
2007年 | 20 |
33.33% ↑
|
2006年 | 15 |
87.5% ↑
|
2005年 | 8 |
14.29% ↑
|
2004年 | 7 |
-41.67% ↓
|
2003年 | 12 |
500% ↑
|
2002年 | 2 |
-33.33% ↓
|
2001年 | 3 |
-57.14% ↓
|
2000年 | 7 | - |
1999年 | 7 |
-36.36% ↓
|
1998年 | 11 |
-15.38% ↓
|
1997年 | 13 |
-13.33% ↓
|
1996年 | 15 |
7.14% ↑
|
1995年 | 14 |
-53.33% ↓
|
1994年 | 30 |
-28.57% ↓
|
1993年 | 42 |
5% ↑
|
1992年 | 40 |
33.33% ↑
|
1991年 | 30 |
-33.33% ↓
|
1990年 | 45 |
28.57% ↑
|
1989年 | 35 | - |
1988年 | 35 |
16.67% ↑
|
1987年 | 30 |
-25% ↓
|
1986年 | 40 |
-60% ↓
|
1985年 | 100 |
42.86% ↑
|
1984年 | 70 |
55.56% ↑
|
1983年 | 45 |
28.57% ↑
|
1982年 | 35 |
-12.5% ↓
|
1981年 | 40 |
2.56% ↑
|
1980年 | 39 |
21.88% ↑
|
1979年 | 32 |
33.33% ↑
|
1978年 | 24 |
-4% ↓
|
1977年 | 25 |
-76.19% ↓
|
1976年 | 105 |
75% ↑
|
1975年 | 60 |
5.26% ↑
|
1974年 | 57 |
16.33% ↑
|
1973年 | 49 |
-18.33% ↓
|
1972年 | 60 |
-6.25% ↓
|
1971年 | 64 |
-1.54% ↓
|
1970年 | 65 |
10.17% ↑
|
1969年 | 59 |
-7.81% ↓
|
1968年 | 64 |
-37.86% ↓
|
1967年 | 103 |
33.77% ↑
|
1966年 | 77 |
-36.89% ↓
|
1965年 | 122 |
1.67% ↑
|
1964年 | 120 | - |
1963年 | 120 |
20% ↑
|
1962年 | 100 | - |
1961年 | 100 | - |
モーリシャスにおけるエンドウ豆(生)の生産量推移データを観察すると、過去数十年間にわたり大きな変化を示してきたことがわかります。1961年から1975年にかけて、生産量はおおむね50~120トンで推移しており、この時期には農業活動と消費動向の安定が見られました。しかし、1976年以降、生産量の変動幅が大きくなり、1977年にはわずか25トンまで落ち込みました。このような変動は、当時の気候条件や農業インフラの制約、または地域の農業政策の影響を示唆しています。
1980年代には一時的な回復が見られ、1985年には100トンと、この期間の最高点に達しました。しかし1990年代以降は再び急激な縮小が進みました。特に2000年代以降には大幅な減少が顕著で、生産量は1桁台にとどまる年が増え、現在に至るまで低迷が続いています。2023年の生産量は2トンとわずかながらの上昇がみられるものの、これが持続的な回復に結びつく兆候とは言えません。
この減少トレンドには、いくつかの背景要因が考えられます。地理的に小さな島国であるモーリシャスでは、農業可能な土地が限られる一方で、都市化が進んでおり、農地が減少している状況があります。また、輸入に依存した食品供給体制の拡大によって、エンドウ豆の生産が国内経済の主要部分を占めなくなっている可能性もあります。さらに、地球温暖化や気候変動によって、農作物の生産条件が厳しくなっていることも無視できません。気温や降水量の変化は、エンドウ豆の成長に直接的な影響を与える要因です。
エンドウ豆の生産減少は、モーリシャスにおける食糧供給の多様化に課題をもたらすだけでなく、輸入依存度の増加という経済的リスクを高めます。このため、地元の農業を振興する政策が必要です。例えば、政府主導での農業技術訓練の実施や、小規模農業従事者への資金援助、さらには耐候性の新しい品種の導入などが具体的な対策として考えられます。また、農地の有効活用とともに、持続可能な農業への取り組みが不可欠です。
近年、新型コロナウイルス感染症のパンデミックをはじめとする世界的な危機がサプライチェーンに与える影響も明らかとなっており、食糧自給率の向上が各国の政策課題として浮上しています。モーリシャスにおいても、同様の視点から、地域に特化した農業生産体制の再構築が急務です。特にエンドウ豆などのタンパク源となる作物は、栄養多様性を維持するためにも価値が高いため、その生産を回復させる努力は必要不可欠でしょう。
地政学的な背景を考慮すると、モーリシャスはインド洋の要所に位置し、貿易ルートや他国からの農産物輸入への依存が高い地域です。この依存構造の脆弱性は、将来的な地政学リスクの高まりや、輸入コストの上昇といった問題を誘引する可能性があります。これに対応するためには、近隣諸国との農業協力や地域間での技術共有を進めるとともに、国内農業の競争力を強化する必要があります。
これらを踏まえると、モーリシャスのエンドウ豆生産再興は単なる農業政策にとどまらず、食料安全保障や経済安定を支える重要な目標となります。国際機関や近隣諸国との協力を深め、科学的なアプローチを通じて農業の持続可能性を実現することが、モーリシャスにとって課題解決の鍵になると考えられます。