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キルギスタンの羊肉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、キルギスタンの羊肉生産量は1992年の68,000トンをピークとして1990年代半ばまで減少を続け、その後低迷期を経て、2014年以降は再び着実な増加傾向を示しています。最新の2023年時点では、生産量は76,200トンとなり、過去最高量を更新しています。この増加は、畜産業の改善や政策支援による影響が示唆されます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 76,200
0.21% ↑
2022年 76,038
6.54% ↑
2021年 71,369
6.51% ↑
2020年 67,009
1.04% ↑
2019年 66,319
4.87% ↑
2018年 63,241
-1.07% ↓
2017年 63,924
3.07% ↑
2016年 62,019
1.73% ↑
2015年 60,965
2.68% ↑
2014年 59,375
35.56% ↑
2013年 43,800
1.62% ↑
2012年 43,100
4.87% ↑
2011年 41,100
-3.56% ↓
2010年 42,615
3.44% ↑
2009年 41,199
3.28% ↑
2008年 39,892
0.08% ↑
2007年 39,861
1.69% ↑
2006年 39,200
-0.02% ↓
2005年 39,209
4.09% ↑
2004年 37,669
1.91% ↑
2003年 36,964
0.17% ↑
2002年 36,901
-0.9% ↓
2001年 37,237
-5.61% ↓
2000年 39,449
-8.97% ↓
1999年 43,338
6.65% ↑
1998年 40,636
-4.96% ↓
1997年 42,758
-19.32% ↓
1996年 53,000 -
1995年 53,000
-29.33% ↓
1994年 75,000
-6.25% ↓
1993年 80,000
17.65% ↑
1992年 68,000 -

キルギスタンは中央アジアに位置する山岳地帯の多い国であり、羊肉は歴史的にも主要なタンパク源であり、経済の重要な一部を担っています。しかし、データを見ると、キルギスタンの羊肉生産量は1992年から2000年代初頭にかけて大幅に減少しており、1997年には42,758トン、2001年には37,237トンまで下落しています。この減少の背景には、ソ連の解体による制度的混乱、畜産業の後退、資源や投資の不足がありました。一方で、2000年代後半から2010年代にかけて安定し始め、2014年以降は明確な回復基調に入りました。

2014年以降の生産量の増加は注目すべき動きであり、59,375トンから始まり、2023年には76,200トンと、約10年間で20%以上の成長を見せています。この上昇の要因としては、農業政策の改革や、羊肉の地元需要および輸出市場の拡大が考えられます。また、近年では、中国、ロシア、カザフスタンといった隣国への羊肉輸出が増加しており、地理的利点を活かした貿易戦略が経済に貢献しています。

それでも課題は残っています。キルギスタンの羊肉生産は、気候変動の影響や過放牧による土地劣化のリスクにさらされています。また、農業用インフラの未発達が生産効率の向上を妨げる一因となっています。他国と比較すると、たとえば中国は高度な畜産業技術によって大規模生産を実現しており、韓国や日本はブランド化を通じて高付加価値商品を展開しています。それに対し、キルギスタンの羊肉は依然として低価格での輸出が中心であり、付加価値の向上が経済的な視点での次なる課題といえます。

もう一つの重要な側面は地政学的リスクです。キルギスタンは複数の国境を接し、多様な国との貿易に依存しています。そのため、地域の政治的不安定要因や国境管理の変更などが輸出に即座に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、内陸国であるため、輸送コストが高く、国際市場での競争力が制限されます。

問題解決の一つの方向性として、キルギスタン政府は生産効率向上に向けたテクノロジー導入や、家畜の健康管理の向上に着手することが急務です。また、国際市場でのブランド価値を高めるため、高品質な羊肉生産とそれを支える認証制度の導入も有効でしょう。これらは付加価値を向上させ、価格競争から脱却する鍵となります。さらに、地域間での協力枠組みを構築することで、輸送インフラの改善や輸出経路の多様化を図ることができます。

結論として、このデータはキルギスタンの羊肉生産がいったん危機的な状況に陥りながらも復活を遂げ、現在は成長基調にあることを示しています。同時に、気候変動や地政学的リスクなど将来的な課題を抱えており、これを克服するための具体的な政策が必要です。将来的には、中央アジア全体の需要を取り込むことで、安定的で持続可能な発展が見込まれます。