エスワティニのアーモンド生産量推移（1961年～2023年）

エスワティニのアーモンド生産量について、国際連合食糧農業機関（FAO）が発表した最新のデータ（2024年7月更新）によると、近年はおおむね安定した増加傾向を示しています。1997年には700トンと比較的低い水準でしたが、その後、断続的な減少や回復を経て、2023年には1,063トンとこれまでで最高の生産量に達しました。一方で、2001年の1,700トンをピークとした急減、2010年台後半以降の緩やかな増加など、時期ごとに異なる変動が見られることが特徴です。

エスワティニのアーモンド生産は、長期的に見ると増加傾向である一方、1997年から2023年の間には大きな変動も経験しました。特に顕著だったのは2001年の1,700トンという突然のピークで、これは前後の平均生産量を大きく上回っています。しかし、その直後の2002年から2004年にかけては大幅な減少がみられ、三年間で再び700トン前後に落ち込みました。この急激な振れ幅の要因としては、気象条件の変化や市場需要、農地の割り当て、また農業政策の不安定さが背景にあった可能性が考えられます。

2005年以降、エスワティニのアーモンド生産量はやや回復基調となり、特に2010年以降は毎年の変動が比較的小幅にとどまっています。2023年の1,063トンは過去最高値であり、近年の政策や農業技術の改善が実を結びつつあることを示唆しています。しかし、1997年から2023年にわたる平均生産量を計算すると約930トンであり、明らかに生産のばらつきは避けられない課題として認識されるべきです。

エスワティニの特殊な地政学的背景、すなわち農業用水供給の不足や変動の激しい降水量は、作物生産に大きな影響を与えています。また、気候変動の進行により、干ばつや豪雨といった極端な気象現象の頻発が予測される中、持続可能な農業の実現が一層重要になるでしょう。同地域内での農地の多機能的な利用や灌漑施設の改善、新たな農業技術の導入が推奨されます。

さらに、エスワティニはアフリカの他の農業国とも協力の幅を広げることで、地域全体の果実・ナッツ生産の競争力を高めるポテンシャルを持っています。同じアフリカ地域では、例えば南アフリカやエチオピアがアーモンド生産にも力を入れています。これらの国々と連携し、商業的な作物としてのアーモンドの生産効率を相互に改善するゴールを追求することが有益でしょう。

過去の急激な生産量変動は、戦略的な計画があったとしても地政学的リスクや政策の不安定さに弱いことを示しているともいえます。そのため、農業政策の一貫性と透明性を確保しながら、農家を支えるためのインフラ整備や金融支援を拡充することが必要です。一例として、アーモンド栽培を専門とした協同組合を設立し、種子供給、価格保証、輸出支援などを包括的に対応する仕組みを構築するといった具体的な施策が考えられます。

結論として、エスワティニのアーモンド生産は今後も増加が期待されますが、現状維持や持続可能性の確保だけでなく、気候変動に対応したレジリエンスを高める政策的・技術的な取り組みも必要です。国際機関や周辺国との協力を強化し、エスワティニ独自の農業機会を最大限に生かすことで、このアーモンド生産分野が長期的に地域の経済や食品の実現可能性を支える重要な役割を果たすでしょう。