国連食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、サントメ・プリンシペのサトイモ生産量は、1961年から2022年までの間に大きく変動してきました。1980年代までは比較的一定の生産量を維持していましたが、1990年代初頭から急激な増加を見せ、その後2000年代後半には減少に転じました。近年(2016年以降)はやや安定した水準にありますが、最高生産量を記録した1999年の23,060トンや、2002年の26,000トンと比較すると、今なお減少傾向が続いている点が注目されます。
サントメ・プリンシペのサトイモ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 10,937 |
7.89% ↑
|
2022年 | 10,137 |
1.37% ↑
|
2021年 | 10,000 | - |
2020年 | 10,000 |
-0.77% ↓
|
2019年 | 10,077 |
-1.94% ↓
|
2018年 | 10,277 |
-2.24% ↓
|
2017年 | 10,512 |
4% ↑
|
2016年 | 10,108 |
68.47% ↑
|
2015年 | 6,000 |
-10.28% ↓
|
2014年 | 6,687 |
-16.67% ↓
|
2013年 | 8,025 |
-10% ↓
|
2012年 | 8,916 |
-10% ↓
|
2011年 | 9,907 |
-23.47% ↓
|
2010年 | 12,946 |
-19.09% ↓
|
2009年 | 16,000 |
-13.3% ↓
|
2008年 | 18,453 |
-7.73% ↓
|
2007年 | 20,000 |
-13.04% ↓
|
2006年 | 23,000 |
-11.54% ↓
|
2005年 | 26,000 |
0.79% ↑
|
2004年 | 25,795 |
1.16% ↑
|
2003年 | 25,500 |
-1.92% ↓
|
2002年 | 26,000 |
4% ↑
|
2001年 | 25,000 |
1.61% ↑
|
2000年 | 24,605 |
6.7% ↑
|
1999年 | 23,060 |
2.49% ↑
|
1998年 | 22,500 |
10.95% ↑
|
1997年 | 20,279 |
26.74% ↑
|
1996年 | 16,000 |
94.06% ↑
|
1995年 | 8,245 |
-3% ↓
|
1994年 | 8,500 |
21.43% ↑
|
1993年 | 7,000 |
16.67% ↑
|
1992年 | 6,000 |
305.95% ↑
|
1991年 | 1,478 |
-39.18% ↓
|
1990年 | 2,430 |
12.5% ↑
|
1989年 | 2,160 |
-4.85% ↓
|
1988年 | 2,270 |
11.27% ↑
|
1987年 | 2,040 |
13.33% ↑
|
1986年 | 1,800 |
-10% ↓
|
1985年 | 2,000 |
-33.33% ↓
|
1984年 | 3,000 | - |
1983年 | 3,000 | - |
1982年 | 3,000 | - |
1981年 | 3,000 | - |
1980年 | 3,000 |
36.36% ↑
|
1979年 | 2,200 | - |
1978年 | 2,200 |
46.67% ↑
|
1977年 | 1,500 |
50% ↑
|
1976年 | 1,000 | - |
1975年 | 1,000 | - |
1974年 | 1,000 | - |
1973年 | 1,000 |
-33.33% ↓
|
1972年 | 1,500 |
-25% ↓
|
1971年 | 2,000 |
-33.33% ↓
|
1970年 | 3,000 | - |
1969年 | 3,000 | - |
1968年 | 3,000 | - |
1967年 | 3,000 | - |
1966年 | 3,000 | - |
1965年 | 3,000 | - |
1964年 | 3,000 | - |
1963年 | 3,000 | - |
1962年 | 3,000 | - |
1961年 | 3,000 | - |
サントメ・プリンシペのサトイモ生産量推移データを詳しく見ると、いくつかの重要な変化点が浮かび上がります。まず、1961年から1970年代前半までは年間約3,000トンの安定した生産量を誇っていました。しかし、1971年以降、生産量が急激に減少し、特に1973年から1976年にかけての1,000トンという水準は歴史的に見ても最低レベルでした。この背景には、当時の政治的不安定やインフラ不足、また、輸出よりも自国の食料確保が優先された食料政策が影響を与えた可能性があります。
1980年代から1990年代にかけては、農業技術の向上や政府の農業支援政策などが要因となり徐々に回復を見せ、1997年には20,279トン、1999年には23,060トンを記録しました。特に1992年以降の急増は目を見張るものがあります。この時期は、他の作物からサトイモへ生産のシフトが進んだ可能性があり、輸出市場の伸び、および国内需要の拡大も要因の一つとして考えられます。
しかしながら、2006年を境に再び下降傾向が見られるようになり、2010年代には生産量が著しく減少しました。例えば、2006年の23,000トンが2011年にはわずか9,907トンへ減少しました。この背景には、気候変動の影響や人口増加による農地の競合、さらには農業従事者の高齢化や移民問題など、複合的な要因が考えられます。また、近年の自然災害や新型コロナウイルスの影響も少なからず影響している可能性があり、農業経済全体の回復に遅れを生じさせたと考えられます。
2022年においては10,137トンと、2016年以降ある程度安定した値を維持していますが、過去のピーク値と比較すると依然として低い水準です。これは、技術革新の活用や農地の効率的な使用、気候変動への適応が依然として課題であることを示しています。
今後の課題としては、持続可能な農業技術の導入、気候変動に強いサトイモ品種の開発、そして輸送インフラの整備に重点を置くことが挙げられます。また、国際市場における競争力を強化するため、品質向上や輸出戦略の模索も重要となるでしょう。なお、アジアの主要国(例えば中国やインド)では、サトイモの需要増加が見られるため、彼らとの市場連携を深めることも有効です。
また、農業セクターを発展させるためには、地域経済の発展や教育を通じて若者が農業に興味を持つような取り組みが重要です。これにより労働力不足の解消にもつながり、さらなる生産拡大が期待できます。国際機関や近隣諸国との連携で気候変動への対策を講じ、災害への備えも強化する必要があります。
結論として、過去から現在におけるサントメ・プリンシペのサトイモ生産量の推移を見ると、一時的な増減を繰り返しながらも、将来に向けた持続可能な発展のためには新たな課題に取り組む必要性が浮き彫りとなりました。具体的な行動として、技術革新、生産プロセスの効率化、国際市場への参入支援が期待されます。これらの取り組みが成功すれば、サントメ・プリンシペは世界市場における農業の一つのモデルとなる可能性を持っています。