国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、2022年の世界のフォニオ生産量ランキングでは、ギニアが圧倒的な生産量を誇り487,535トンで第1位となりました。続いて、2位がナイジェリア(84,170トン)、3位がマリ(37,833トン)でした。このランキングから、フォニオの生産は主に西アフリカ地域に集中していることが分かります。
順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
---|---|---|---|
1 | ギニア | アフリカ | 487,535 |
2 | ナイジェリア | アフリカ | 84,170 |
3 | マリ | アフリカ | 37,833 |
4 | コートジボワール | アフリカ | 18,912 |
5 | ブルキナファソ | アフリカ | 8,187 |
6 | セネガル | アフリカ | 6,623 |
7 | ニジェール | アフリカ | 6,050 |
8 | ベナン | アフリカ | 4,528 |
9 | トーゴ | アフリカ | 4,471 |
10 | ギニアビサウ | アフリカ | 399 |
フォニオは西アフリカを中心に栽培される古代穀物で、特に乾燥地帯での栽培に適していることから「未来の食糧」として注目を集めています。2022年の統計では、ギニアが他を大きく引き離しての断トツの生産量を示しており、全世界の生産量の大部分を占めています。首位のギニアは独自の農業政策や気候条件が功を奏し、約48万トン以上を生産しています。これには、主に国内消費を支える目的と、輸出市場への対応という両面が関わっていると考えられます。一方で、2位のナイジェリアと3位のマリは、ギニアと比べると生産量が抑えられており、それぞれ約8万トンと4万トンで、規模の格差が見られます。これらの国々は人口も多く、国内需要の拡大が生産量に影響していると思われます。
興味深い点として、上位10か国全てが西アフリカに属していることが挙げられます。フォニオの生育には砂質土壌と少ない降水量が適しているため、この地域の自然条件が好ましいと考えられます。しかし一方で、この地域は気候変動や地政学的課題に直面しており、それが農業生産に影響を及ぼしている可能性があります。例えば、ブルキナファソやマリといった国では、内戦や地域衝突などの不安定な社会状況が生産と流通に影響を及ぼしていると予想されます。また、気候変動に伴う旱魃リスクが増加しており、持続可能な農業技術の導入が喫緊の課題となっています。
さらに、フォニオはグルテンフリーかつ豊富な栄養価を持つ穀物で、国際市場でも徐々に需要が増しています。例えば欧州や北米で健康食品としての需要が高まりつつあり、これが新たな輸出機会を生む可能性を秘めています。しかし、これを実現するには、安定的な生産と高い品質管理、さらには効率的な輸出ルートの整備が重要となります。
日本を含む東アジア地域では、フォニオの消費はまだ限られていますが、食の多様化や健康志向の高まりとともに、潜在的な需要の増加が見込まれます。そのため、日本の食品企業がこの穀物を新たな商材として注目する動きも期待されます。
今後、この分野での主要な課題としては、気候変動の影響への対応や農業インフラの整備、地域紛争への対処が挙げられます。特に持続可能な農業技術の普及や灌漑施設の整備は、収量の安定化と生産拡大に寄与するでしょう。また、国際的な支援の枠組みを強化し、農業技術協力や市場流通の向上を図ることで、西アフリカの地域経済全体の成長につなげることが可能です。このような努力が進むことで、フォニオが西アフリカや世界全体の食糧安全保障に貢献していく未来が期待されます。