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クック諸島のパパイヤ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が2024年7月に更新した最新データによると、クック諸島のパパイヤ生産量は、1960年代には20トン程度で安定し、1970年代後半から急激に増加しました。その後、1980年代から1990年代中頃までは大きな上昇を示し、1997年にはピークとなる2,000トンを超えました。しかし、それ以降は一時的な増減を経て、生産量が減少傾向に転じ、2000年代以降は500~800トンの範囲で推移。近年の2023年では581トンにまで減少しています。この推移は、地政学的リスク、気候条件、産業構造の変化などさまざまな要因と関係しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 581
-2.16% ↓
2022年 594
-0.06% ↓
2021年 594
0.37% ↑
2020年 592
-0.54% ↓
2019年 596
-0.01% ↓
2018年 596
1.68% ↑
2017年 586
-3.22% ↓
2016年 605
1.59% ↑
2015年 596
-3.12% ↓
2014年 615
1.65% ↑
2013年 605
0.83% ↑
2012年 600
5.26% ↑
2011年 570
-3.39% ↓
2010年 590
-15.51% ↓
2009年 698
-7.05% ↓
2008年 751
-6.09% ↓
2007年 800
3.03% ↑
2006年 777
2.3% ↑
2005年 759
16.77% ↑
2004年 650
-25.71% ↓
2003年 875
-7.99% ↓
2002年 951
5.67% ↑
2001年 900
-9.42% ↓
2000年 994
9.43% ↑
1999年 908
-60.52% ↓
1998年 2,300
15% ↑
1997年 2,000
11.11% ↑
1996年 1,800
20% ↑
1995年 1,500
25% ↑
1994年 1,200
14.29% ↑
1993年 1,050
10.53% ↑
1992年 950
-4.62% ↓
1991年 996
66% ↑
1990年 600
-33.33% ↓
1989年 900
-9.55% ↓
1988年 995
148.75% ↑
1987年 400
-33.33% ↓
1986年 600
20% ↑
1985年 500
-16.67% ↓
1984年 600
20% ↑
1983年 500
11.11% ↑
1982年 450
25% ↑
1981年 360
28.57% ↑
1980年 280
40% ↑
1979年 200
25% ↑
1978年 160
33.33% ↑
1977年 120
50% ↑
1976年 80
33.33% ↑
1975年 60
20% ↑
1974年 50
25% ↑
1973年 40 -
1972年 40 -
1971年 40
33.33% ↑
1970年 30 -
1969年 30
50% ↑
1968年 20 -
1967年 20 -
1966年 20 -
1965年 20 -
1964年 20 -
1963年 20 -
1962年 20 -
1961年 20 -

クック諸島のパパイヤ生産量の推移を見ると、初期段階の1960年代は非常に低い水準で安定していましたが、1970年代後半から1980年にかけて、生産量が急激に成長したことが特徴的です。この時期の成長は、パパイヤが主要な輸出品目としての地位を確立し始めたことや、農業技術の向上により栽培効率が大幅に改善したことなどが背景にあります。この結果、1979年には200トン、1981年には360トンと、順調な拡大が記録されました。

さらに、1983年から1997年にかけては増産ペースが加速し、特に1997年には生産量が2,300トンとピークを迎えました。この成長は、主に国際市場での需要拡大が要因と考えられます。この時期、特に日本やアメリカなどの主要な輸出先で、健康志向の広まりによってパパイヤを含む熱帯果実の需要が増したことがクック諸島の生産量拡大を後押ししました。

しかし、1990年代後半から2000年代にかけて生産量は減少傾向に転じます。この背景には、気候変動による天候不順や土壌劣化、また自然災害の頻発が挙げられます。例えば、台風の影響や長期的な干ばつにより、生産効率が著しく低下した可能性があります。また、市場競争の激化により、低価格競争への対応が難しく、輸出量が伸び悩んだのも一因と考えられます。特に1999年以降、生産量は900トン前後で推移し、それ以降も安定化することなく、変動を続けています。

2023年時点では、生産量が581トンとピーク時のわずか4分の1規模に落ち込んでいます。この現状から、クック諸島のパパイヤ産業は深刻な課題に直面していると言えます。この要因の一つとして、地政学的リスクの影響を指摘できます。同地域を取り巻く海洋貿易ルートの変化や、輸出先での関税政策の変更が輸出環境を悪化させている可能性があります。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響で国際的な物流網が混乱し、輸出業務に大きな支障が出たことも無視できません。

一方、クック諸島の比較的小規模な農業経済は、隣国のニュージーランドやフィジーが展開する大規模農業と対照的であり、市場での競争力を維持するための戦略的対策が必要です。例えば、クオリティを高めたブランド化戦略や、オーガニック製品としての生産切り替えは有望です。さらに、地域間協力による輸出ルートの多様化や、ICT(情報通信技術)を活用した生産・流通管理の効率化も検討すべき課題です。

今後は、環境変化を見据えた長期的な農業計画の策定が求められます。具体的には、先進農業技術の導入による作物耐性の向上、持続可能な農業の促進、また若い世代の農業参入を支援する政策などが挙げられます。加えて、災害時のリスク分散策として、地域防災インフラの整備も重要です。国際的な補助金の活用や、環太平洋諸国との連携を強化することでこれらの課題を克服する道が開けるでしょう。

総じて、クック諸島のパパイヤ産業の未来を切り開くには、国際市場での競争力強化と地域的リスクに対応した柔軟な取組みが求められます。適切な政策と協力が実現すれば、再び生産量を安定させ、国際市場での信頼を取り戻すことが可能です。

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