クック諸島のマンゴー・マンゴスチン・グアバの生産量は、1961年から2023年まで大きく変動しており、長期的なトレンドとしては、ピーク時の1980~1990年代前半を経て2020年代には著しく減少しています。1960年代には平均で1,800トン前後の安定した生産量からスタートし、1980年ごろには2,300トンのピークに達しました。しかし、その後の1990年代中盤以降顕著な減少傾向となり、2000年代初頭には1,000トンを切るようになりました。2020年代に入ると年間254トンという非常に低い水準で推移しています。
クック諸島のマンゴー・マンゴスチン・グアバ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 254 | - |
2022年 | 254 |
0.06% ↑
|
2021年 | 254 |
-0.11% ↓
|
2020年 | 254 |
0.04% ↑
|
2019年 | 254 |
0.25% ↑
|
2018年 | 254 |
-0.62% ↓
|
2017年 | 255 |
0.51% ↑
|
2016年 | 254 |
0.87% ↑
|
2015年 | 252 |
-3.18% ↓
|
2014年 | 260 |
4% ↑
|
2013年 | 250 |
31.58% ↑
|
2012年 | 190 |
0.53% ↑
|
2011年 | 189 |
-17.47% ↓
|
2010年 | 229 |
-21.1% ↓
|
2009年 | 290 |
-9.05% ↓
|
2008年 | 319 |
6.37% ↑
|
2007年 | 300 |
-11.75% ↓
|
2006年 | 340 |
-0.62% ↓
|
2005年 | 342 |
36.83% ↑
|
2004年 | 250 |
-58.33% ↓
|
2003年 | 600 |
-50% ↓
|
2002年 | 1,200 |
-22.57% ↓
|
2001年 | 1,550 |
-13.47% ↓
|
2000年 | 1,791 |
-19.18% ↓
|
1999年 | 2,216 |
-17.92% ↓
|
1998年 | 2,700 |
8% ↑
|
1997年 | 2,500 |
400% ↑
|
1996年 | 500 |
-50% ↓
|
1995年 | 1,000 |
-33.33% ↓
|
1994年 | 1,500 |
-16.67% ↓
|
1993年 | 1,800 |
-10% ↓
|
1992年 | 2,000 |
-0.76% ↓
|
1991年 | 2,015 |
15.89% ↑
|
1990年 | 1,739 |
-24.39% ↓
|
1989年 | 2,300 | - |
1988年 | 2,300 |
2.22% ↑
|
1987年 | 2,250 |
-2.17% ↓
|
1986年 | 2,300 | - |
1985年 | 2,300 |
2.22% ↑
|
1984年 | 2,250 |
2.27% ↑
|
1983年 | 2,200 |
-4.35% ↓
|
1982年 | 2,300 | - |
1981年 | 2,300 |
4.55% ↑
|
1980年 | 2,200 |
10% ↑
|
1979年 | 2,000 |
5.26% ↑
|
1978年 | 1,900 | - |
1977年 | 1,900 |
-5% ↓
|
1976年 | 2,000 | - |
1975年 | 2,000 |
5.99% ↑
|
1974年 | 1,887 |
-0.79% ↓
|
1973年 | 1,902 |
0.11% ↑
|
1972年 | 1,900 |
1.6% ↑
|
1971年 | 1,870 |
1.08% ↑
|
1970年 | 1,850 |
2.78% ↑
|
1969年 | 1,800 | - |
1968年 | 1,800 | - |
1967年 | 1,800 |
2.86% ↑
|
1966年 | 1,750 | - |
1965年 | 1,750 |
2.94% ↑
|
1964年 | 1,700 |
3.03% ↑
|
1963年 | 1,650 |
3.13% ↑
|
1962年 | 1,600 | - |
1961年 | 1,600 | - |
国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、クック諸島のマンゴー・マンゴスチン・グアバ生産量は、長期にわたる大きな変動を経て減少傾向が続いています。このデータは、クック諸島の農業部門の現状を理解するのみならず、その背景にある気候変動、資源管理の問題、また市場需要の変化などを把握するための重要な指標となります。
1960年代から1980年代初頭にかけて、生産量は年間1,600~2,300トンに達しており、農業が安定していた時期といえます。この時代、クック諸島における農業は主に島内消費や地域の小規模貿易に依存しており、土壌の質や気候条件も適していたと考えられます。しかし、1990年代中盤以降、急激な生産量の低下が見られています。1995年には1,000トン、1996年には500トンにまで減少し、2000年代初旬にはさらに減少が顕著となりました。この背景には、いくつかの要因が考えられます。
1つめの要因は、気候変動による影響です。南太平洋の島嶼国は、熱帯性気候に支えられた農業が主力産業ですが、高温化や台風の頻発、大量降雨の変動が影響し、農地の利用可能性が制限された可能性があります。また、特に2000年代のデータで大幅な減少が観察されることから、長期的な環境変化が作物の生産性や収量を減少させたと推測されます。農地の拡大が難しい島の特性も、この問題を一層深刻化させています。
2つめの要因として、若年層を中心とする人口流出や農業従事者の減少があります。クック諸島では、移住や労働力人口のほかの産業への転換が進んでいることが知られています。これにより農業部門は人手不足に陥り、生産体制が崩壊した可能性があります。
さらに、地政学的リスクや国際市場の変化も影響しています。他国との貿易競争や、南太平洋諸島全体での農産品市場の需要低下が、クック諸島の農産品生産効率へのプレッシャーを増大させています。
2020年以降のデータでは生産量が254トンという安定した水準で推移していますが、これは最低水準にあることを意味します。この数字には、世界的な新型コロナウイルスのパンデミックの影響を含む可能性があり、国際的な貿易の停滞や輸送コストの増加が農産品輸出においてさらなる障壁となったことも否定できません。
今後の対策として、政府や国際機関は、気候変動に対するレジリエンスを向上させる取り組みを進めることが必要です。具体的には、耐候性の高い果樹品種の導入や、農業技術の向上を支援する施策が挙げられます。また、国内外の若者が農業分野に戻れる魅力的な雇用環境づくりも急務です。さらに、南太平洋諸国との連携を強化し、気候や市場変動に共同で対応する枠組みを整備することも重要です。
これらの対策を進める中で、生産量は持続可能な範囲で回復を目指すべきですが、一方で無秩序な拡大や環境破壊を避ける慎重な姿勢も必要です。国際市場に対しては、「グリーン製品」としてのブランド化や、地域限定の特産品としてのポジショニング強化が戦略となり得るでしょう。これにより、生産量の回復と合わせて、経済利益の向上も目指すことが期待されます。