国際連合食糧農業機関の最新データによると、カメルーンにおける落花生の生産量は、長期的には顕著な増加傾向を示してきました。特に2000年代以降の生産量拡大が目立ち、2020年には8,016,32トンに達しました。しかし、2021年以降生産量が急減し、2023年には540,000トンに留まりました。この変動は農業政策、自然災害、経済的要因などに影響されている可能性が考えられます。
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カメルーンの落花生生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 540,000 |
8% ↑
|
2022年 | 500,000 | - |
2021年 | 500,000 |
-37.63% ↓
|
2020年 | 801,632 |
10.44% ↑
|
2019年 | 725,825 |
9.29% ↑
|
2018年 | 664,128 |
11.44% ↑
|
2017年 | 595,961 |
-0.86% ↓
|
2016年 | 601,104 |
-1.25% ↓
|
2015年 | 608,731 |
5.2% ↑
|
2014年 | 578,626 |
-9.01% ↓
|
2013年 | 635,947 |
0.34% ↑
|
2012年 | 633,799 |
12.33% ↑
|
2011年 | 564,230 |
5.23% ↑
|
2010年 | 536,187 |
6.56% ↑
|
2009年 | 503,175 |
3.92% ↑
|
2008年 | 484,199 |
7.81% ↑
|
2007年 | 449,123 |
8.47% ↑
|
2006年 | 414,046 |
19.51% ↑
|
2005年 | 346,448 |
53.49% ↑
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2004年 | 225,720 |
3.53% ↑
|
2003年 | 218,027 |
3.47% ↑
|
2002年 | 210,712 |
6.62% ↑
|
2001年 | 197,631 |
0.47% ↑
|
2000年 | 196,702 |
6.69% ↑
|
1999年 | 184,364 |
42.92% ↑
|
1998年 | 129,000 |
43.33% ↑
|
1997年 | 90,000 |
-47.44% ↓
|
1996年 | 171,238 |
46.36% ↑
|
1995年 | 117,000 | - |
1994年 | 117,000 |
18.18% ↑
|
1993年 | 99,000 |
10% ↑
|
1992年 | 90,000 |
-5.26% ↓
|
1991年 | 95,000 |
8.42% ↑
|
1990年 | 87,622 |
17.19% ↑
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1989年 | 74,766 |
-23.71% ↓
|
1988年 | 98,000 |
0.5% ↑
|
1987年 | 97,517 |
-0.17% ↓
|
1986年 | 97,680 |
1.23% ↑
|
1985年 | 96,492 |
-2.74% ↓
|
1984年 | 99,209 |
-17.33% ↓
|
1983年 | 120,000 |
-14.89% ↓
|
1982年 | 141,000 |
8.8% ↑
|
1981年 | 129,600 |
3.05% ↑
|
1980年 | 125,760 |
-18.86% ↓
|
1979年 | 155,000 |
34.6% ↑
|
1978年 | 115,159 |
-56.89% ↓
|
1977年 | 267,100 |
-6.97% ↓
|
1976年 | 287,100 |
16.85% ↑
|
1975年 | 245,700 |
4.24% ↑
|
1974年 | 235,700 |
-5.19% ↓
|
1973年 | 248,600 |
4.85% ↑
|
1972年 | 237,100 |
8.46% ↑
|
1971年 | 218,600 |
9.79% ↑
|
1970年 | 199,100 |
-0.94% ↓
|
1969年 | 200,980 |
3.95% ↑
|
1968年 | 193,350 |
5.03% ↑
|
1967年 | 184,090 |
24.32% ↑
|
1966年 | 148,081 |
4.78% ↑
|
1965年 | 141,319 |
17.26% ↑
|
1964年 | 120,521 |
4.65% ↑
|
1963年 | 115,167 |
12.86% ↑
|
1962年 | 102,043 |
22.75% ↑
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1961年 | 83,130 | - |
カメルーンの落花生生産の推移を振り返ると、1961年からおおむね増加に転じ、1970年代中盤における一時減少を経て、2000年以降急速に生産量が伸び続けてきました。特に2005年から2010年代半ばにかけての急激な上昇は注目に値し、この間に生産の近代化や政府の農業振興政策が進んだ可能性が伺えます。落花生はカメルーンの農業輸出品目としてだけでなく、国内消費の重要な栄養源としての役割も担っています。
一方で、1950年代から1990年代にかけての数十年間、落花生生産には停滞期が見られました。例えば1978年には115,159トンにまで落ち込みましたが、これには生態的要因、すなわち雨季の変動や土壌劣化の影響が含まれていたと考えられます。また、この期間は国内外の市場低迷や国際的な農産物価格の変動も影響を及ぼした可能性があります。
高度成長期を迎えた2000年代以降、特に2020年には過去最高の801,632トンまで生産量が増加しました。この要因としては、新しい品種の導入、生産技術の改善、大規模農家や協同組合による生産効率向上が挙げられます。他国と比較すると、カメルーンの増加率はたとえばインド(世界的な落花生生産大国)やナイジェリア(アフリカにおける競合国)に次ぐ勢いを示していました。ただし、2021年以降の急減、具体的には2021年と2022年の500,000トンへの低下は異常値とみなせる変動であり、その原因解明が必要です。
この減少は気象異常、特に旱魃や洪水などの自然災害、または労働力不足や生産コストの上昇が関連している可能性があります。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う物流の遅延や供給鎖の寸断も影響したと考えられます。さらに、地域的な地政学リスクや農地を巡る衝突が生産活動に与えた負の影響も否定できません。
今後の課題としては、まず安定した生産基盤の整備が挙げられます。これには乾燥に強い作物の新品種開発、灌漑インフラ整備、そして小規模農家への支援拡充が必要です。また、国連や地域的な共同体と協力し、カメルーン産の落花生を国際市場で優位に立たせるマーケティング戦略を推進することが重要です。価格の変動を吸収するための政府による安定価格政策の導入や、金融的リスクを緩和する農家向けの保険制度の導入も有効だと考えられます。
さらに重要なのは、地政学的背景を考慮し、隣国や地域の紛争や緊張関係が国境を超えた経済活動に悪影響を与えないような枠組みを構築することです。特に自然災害や気候変動による直接的な影響を回避するための国際的な気候対策も並行して進めるべきです。
総じて、カメルーンの落花生生産量は長期にわたって力強い成長を維持してきたものの、近年の急激な変動は生産の持続可能性に関する懸念を浮上させています。カメルーン政府および国際社会が連携して農業政策の拡充と地域の安定化を図ることで、今後の安定成長を実現する可能性があります。これにより、落花生は同国の食糧および経済の安全保障を強固にする重要な基盤の一つとなり得るでしょう。