国連食糧農業機関(FAO)の最新データによれば、カメルーンにおける馬肉生産量は1961年の650トンから徐々に減少傾向をたどり、2023年には155トンまで減少しています。特に1970年代後半から急激な減少が見られ、以降数十年にわたって生産量が低位で推移しています。このデータは、カメルーンにおける馬肉生産の長期的な現象を反映しており、その背景には経済、文化、地政学的な要因が影響していると考えられます。
カメルーンの馬肉推移(1961年~2023年)
年度 | (トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 155 |
-6.68% ↓
|
2022年 | 166 |
-2.73% ↓
|
2021年 | 170 |
-3.59% ↓
|
2020年 | 177 |
-6.03% ↓
|
2019年 | 188 |
-8% ↓
|
2018年 | 204 |
-17.25% ↓
|
2017年 | 247 |
4.52% ↑
|
2016年 | 236 |
-4.44% ↓
|
2015年 | 247 |
-3.72% ↓
|
2014年 | 257 |
-4.34% ↓
|
2013年 | 268 |
-5.54% ↓
|
2012年 | 284 |
-4.95% ↓
|
2011年 | 299 |
4.55% ↑
|
2010年 | 286 |
4.76% ↑
|
2009年 | 273 |
16.67% ↑
|
2008年 | 234 |
2.86% ↑
|
2007年 | 228 |
40% ↑
|
2006年 | 163 |
1.63% ↑
|
2005年 | 160 |
11.82% ↑
|
2004年 | 143 |
-47.62% ↓
|
2003年 | 273 | - |
2002年 | 273 |
2.44% ↑
|
2001年 | 267 | - |
2000年 | 267 | - |
1999年 | 267 |
2.5% ↑
|
1998年 | 260 | - |
1997年 | 260 |
2.56% ↑
|
1996年 | 254 | - |
1995年 | 254 |
2.63% ↑
|
1994年 | 247 | - |
1993年 | 247 | - |
1992年 | 247 | - |
1991年 | 247 |
5.56% ↑
|
1990年 | 234 | - |
1989年 | 234 | - |
1988年 | 234 |
-14.29% ↓
|
1987年 | 273 |
-8.7% ↓
|
1986年 | 299 |
-8% ↓
|
1985年 | 325 | - |
1984年 | 325 | - |
1983年 | 325 |
4.17% ↑
|
1982年 | 312 | - |
1981年 | 312 |
33.33% ↑
|
1980年 | 234 | - |
1979年 | 234 | - |
1978年 | 234 |
5.88% ↑
|
1977年 | 221 |
-15% ↓
|
1976年 | 260 |
-20% ↓
|
1975年 | 325 |
-16.67% ↓
|
1974年 | 390 |
-14.29% ↓
|
1973年 | 455 |
-5.41% ↓
|
1972年 | 481 |
-17.78% ↓
|
1971年 | 585 |
-8.16% ↓
|
1970年 | 637 |
-10.91% ↓
|
1969年 | 715 | - |
1968年 | 715 |
1.85% ↑
|
1967年 | 702 | - |
1966年 | 702 |
12.5% ↑
|
1965年 | 624 |
-4% ↓
|
1964年 | 650 |
-12.28% ↓
|
1963年 | 741 |
5.56% ↑
|
1962年 | 702 |
8% ↑
|
1961年 | 650 | - |
カメルーンの馬肉生産量は、1960年代初頭には650トン程という安定した生産量を誇っていましたが、1970年以降急激に生産量が減少しています。そして、ここ数十年の間は更にその水準が落ち込み、2023年には過去最低の155トンという数据となっています。この長期的な推移を詳しく見ていくと、いくつかの特徴的な時期や要因が浮かび上がってきます。
特に注目すべきは、1970年代中盤で、当時325トン前後まで激減したことです。この期間には、人口の増加に伴う農業用地拡大や都市化が進み、馬の飼育環境が厳しさを増したことが要因の一つと考えられます。1970年代の世界的な食肉消費の動向を見ると、牛肉や鶏肉が主流となり、馬肉の需要が徐々に低下していたことも背景として考えられるでしょう。また、文化的要因として、カメルーンにおける食肉の好みの変化や宗教的制約が地域の消費行動に影響を与えていた可能性があります。
さらに、20世紀後半以降の政治的・経済的な不安定さやインフラの未発達も、馬肉の生産や流通に悪影響をもたらしたと推測されます。加えて、感染症の流行や疫病対策が十分整備されていない中で、馬の飼育環境がさらに脅かされ、飼育数そのものが減少したことも原因の一つです。
近年のデータに目を向けると、2000年代後半から総じて200トン台の水準が続いていましたが、2019年以降は再び減少傾向に入り、2023年には過去最低の155トンまで落ち込んでいます。この減少の背景として、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる物流の停滞や、生産活動の縮小が挙げられます。同時に、気候変動の影響による干ばつや自然災害が飼料生産に及ぼした影響も無視できない要因です。
このようなデータの示す現状から、いくつかの課題が浮かび上がります。まず第一に、馬肉生産全体の経済的価値の低下が農家にとっての収益性を著しく下げており、馬の飼育および生産から撤退するケースが増えています。また、馬肉生産に関する管理や指導体制の未整備が、生産効率を低下させている点も深刻です。
今後の対策として、いくつかの具体的な提言を行います。まず、馬肉の需要を再活性化させるため、付加価値を高めた馬肉製品の開発や、国内市場および輸出市場の拡大に取り組むことが重要です。例えば、高品質な加工食品として馬肉を海外に向けてプロモーションすることで、収益性を向上させることが期待されます。また、馬の飼育環境を改善するため、インフラや技術支援の整備、感染症対策の強化が必要です。さらに、気候変動への対策として、耐災性のある農業と飼育技術を開発し、持続可能な生産体制を構築することも重要な課題となるでしょう。
地域全体の安定性を高めるためには、国際的な協力も欠かせません。特に世界銀行や国連食糧農業機関などの国際機関からの支援を受け、持続的な農業モデルの確立を進めることが必要です。また、隣国との連携を図ることで、馬肉の国際的な需給バランスを調整し、カメルーンの生産活動を強化することが可能になります。
結論として、カメルーンにおける馬肉生産量の推移は、人口増加、経済的困難、そして文化的要因といった複数の要素に影響を受けた結果といえます。これを将来的に改善するためには、国内外の多面的な支援と効果的な政策の実施が求められています。