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ノルウェーの大麦生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、ノルウェーの大麦生産量は1961年から2023年の間に大きな変動を見せています。2023年の生産量は405,000トンで、過去60年以上のデータの中でもかなり低い水準に達しています。特に2023年は、2020年の638,500トンから急激に減少しており、天候や環境要因の影響が懸念されます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 405,000
-31.47% ↓
2022年 591,000
-3.4% ↓
2021年 611,800
-4.18% ↓
2020年 638,500
12.91% ↑
2019年 565,500
28.26% ↑
2018年 440,900
-23.2% ↓
2017年 574,100
-9.56% ↓
2016年 634,800
24.3% ↑
2015年 510,700
-3.17% ↓
2014年 527,400
2.35% ↑
2013年 515,300
-10.1% ↓
2012年 573,200
15.89% ↑
2011年 494,600
-8.61% ↓
2010年 541,200
14.42% ↑
2009年 473,000
-15.26% ↓
2008年 558,200
15.02% ↑
2007年 485,300
-9.73% ↓
2006年 537,600
-8.77% ↓
2005年 589,300
-6.53% ↓
2004年 630,500
7.81% ↑
2003年 584,800
-1.37% ↓
2002年 592,900
-4.94% ↓
2001年 623,700
8.75% ↑
2000年 573,500
-8.03% ↓
1999年 623,600
0.68% ↑
1998年 619,400
-6.59% ↓
1997年 663,100
-2.73% ↓
1996年 681,700
24.67% ↑
1995年 546,800
4.27% ↑
1994年 524,400
-16.85% ↓
1993年 630,700
29.24% ↑
1992年 488,000
-26.38% ↓
1991年 662,900
-10.37% ↓
1990年 739,621
20.5% ↑
1989年 613,800
13.28% ↑
1988年 541,834
-4.35% ↓
1987年 566,500
3.71% ↑
1986年 546,248
-13.91% ↓
1985年 634,500
-2.22% ↓
1984年 648,900
13.98% ↑
1983年 569,300
-8.66% ↓
1982年 623,300
2.62% ↑
1981年 607,400
-6.7% ↓
1980年 651,000
0.28% ↑
1979年 649,154
-2.86% ↓
1978年 668,251
6.04% ↑
1977年 630,167
29.61% ↑
1976年 486,186
9.34% ↑
1975年 444,648
-31.5% ↓
1974年 649,109
21.39% ↑
1973年 534,711
2.52% ↑
1972年 521,547
-8.32% ↓
1971年 568,877
-2% ↓
1970年 580,475
19.53% ↑
1969年 485,614
-21.83% ↓
1968年 621,255
27.97% ↑
1967年 485,459
19.84% ↑
1966年 405,104
-16.46% ↓
1965年 484,900
1.02% ↑
1964年 480,000
3.67% ↑
1963年 463,000
35.1% ↑
1962年 342,700
-19.87% ↓
1961年 427,700 -

ノルウェーの大麦生産量データに基づくと、この60年以上の期間に推移にはいくつかの明確なトレンドが見られます。1960年代から70年代は生産が安定し、特に1968年には621,255トンと高い記録を達成しました。その後も一定の上限と下限を繰り返しながら1980年代から90年代にかけて一部の年で上昇が見られ、1990年には739,621トンと過去最高の生産量を記録しました。しかしその後、特に2000年代からは安定性が損なわれ、顕著な年ごとの波があります。2023年に至っては405,000トンと、この期間で最も低い水準の一つに達しています。

この変動には様々な要因が関連していると考えられます。その一つは天候条件です。ノルウェーは寒冷な気候であり、降水量や季節外れの気温変動が収穫量に大きく影響を与えます。また、気候変動により近年では干ばつや予測困難な天候が頻繁化しており、それが2023年のような急激な減少の背景にある可能性があります。さらに、農地利用の変化や農業従事者の減少といった社会的な要因も影響を及ぼしていると思われます。

人口規模が比較的小さいノルウェーでは大麦生産は国内市場の需要を満たす程度を基本としてきましたが、気候変動の影響が拡大するにつれ、この自給構造が脅かされています。一方、日本をはじめとする他国との比較では、ノルウェーの大麦生産量は全体の生産規模において世界的には小規模です。例えば、同時期のインドや中国の生産量と比較すると、ノルウェーの数字は非常に控えめなものですが、気候や地理的特徴に基づいた適応型の農作物生産として重要な役割を担っています。

2023年の大幅な減少について具体的に考察すると、コロナ禍が引き起こした物流の混乱や、ウクライナ紛争に伴う肥料供給の遅延が原因の一つと考えられます。また、ノルウェー政府が推進する持続可能な農業政策と化学物質の使用制限も短期的な影響を与えている可能性があります。

今後の課題と対策ですが、まず第一に気候変動に対応する農業技術の導入が急務です。この点で、気候変動に強い作物の品種改良や、新しい灌漑技術の開発が期待されます。また、大麦生産を基盤とする国内農業の強化には、若年層を対象とした農業教育の拡充や、農業従事者への補助金支援なども考えられます。さらに、ノルウェー国内だけでなくスカンジナビア諸国との協力が重要です。例えば、関連技術開発や天候情報の共有など、地域間の連携で効率を高めることが可能です。

地政学的背景に目を向けると、ノルウェーの大麦生産量は特定の紛争や資源争奪と直接の関連性は深くないものの、ウクライナ紛争による影響が肥料やその他農業関連資材の価格高騰を通じて間接的に波及しています。このような状況に対しては、政府が農業資材の輸入を安定化させるための国際的な交渉を進めることが求められます。

結論として、ノルウェーの大麦生産量の推移は、同国の農業が気候や社会的要因にどれほど敏感に反応するかを如実に示しています。そして2023年の減少傾向は危機の一端ともとれますが、その一方で将来に向けた農業の持続可能性を高めるための契機とも捉えられます。政府および国際協力による戦略的な対応が今後の鍵を握ることは間違いないでしょう。