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ノルウェーのジャガイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによりますと、ノルウェーのジャガイモ生産量は1961年に1,222,200トンでピークを記録した後、長期的には減少傾向にありました。しかし、2020年以降は増加に転じ、2022年には376,400トンまで回復しています。一方で、1960年代と比較すると、約30%程度まで減少しており、農業生産と国内需要の間に新たな課題が生じています。背景には農業政策の変化や気候影響がある可能性が考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 313,500
-16.71% ↓
2022年 376,400
2.03% ↑
2021年 368,900
2.13% ↑
2020年 361,200
8.73% ↑
2019年 332,200
1.78% ↑
2018年 326,400
3.45% ↑
2017年 315,500
-10.06% ↓
2016年 350,800
14.94% ↑
2015年 305,200
-14.68% ↓
2014年 357,700
12.48% ↑
2013年 318,000
4.36% ↑
2012年 304,700
3.11% ↑
2011年 295,500
-11.31% ↓
2010年 333,200
0.21% ↑
2009年 332,500
-16.54% ↓
2008年 398,400
20.8% ↑
2007年 329,800
-12.82% ↓
2006年 378,300
19.49% ↑
2005年 316,600
-20.13% ↓
2004年 396,400
8.07% ↑
2003年 366,800
-5.95% ↓
2002年 390,000
-2.65% ↓
2001年 400,600
12.37% ↑
2000年 356,500
-6.33% ↓
1999年 380,600
-12.95% ↓
1998年 437,200
-7.14% ↓
1997年 470,800
12.23% ↑
1996年 419,500
4.93% ↑
1995年 399,800
1.29% ↑
1994年 394,700
-13.14% ↓
1993年 454,400
-11.04% ↓
1992年 510,800
23.05% ↑
1991年 415,100
-14.69% ↓
1990年 486,586
6.92% ↑
1989年 455,100
-5.7% ↓
1988年 482,600
30.33% ↑
1987年 370,300
-7.05% ↓
1986年 398,400
-9.48% ↓
1985年 440,100
-9.94% ↓
1984年 488,700
3.98% ↑
1983年 470,000
-10.58% ↓
1982年 525,600
-0.72% ↓
1981年 529,400
-7.2% ↓
1980年 570,500
20.54% ↑
1979年 473,300
-24.27% ↓
1978年 625,000
-3.99% ↓
1977年 651,000
24.95% ↑
1976年 521,000
19.66% ↑
1975年 435,386
-48.61% ↓
1974年 847,238
26.05% ↑
1973年 672,141
5.99% ↑
1972年 634,126
-10.46% ↓
1971年 708,166
-17.35% ↓
1970年 856,800 -
1969年 856,835
-6.08% ↓
1968年 912,327
13.08% ↑
1967年 806,766
-26% ↓
1966年 1,090,201
-3.83% ↓
1965年 1,133,594
41.06% ↑
1964年 803,600
-34.01% ↓
1963年 1,217,700
32.47% ↑
1962年 919,200
-24.79% ↓
1961年 1,222,200 -

ノルウェーのジャガイモ生産量は、1960年代初頭に年間100万トンを超える高い生産水準を誇っていました。特に1961年の1,222,200トンという記録は、当時の国内農業におけるジャガイモの重要性を象徴しています。しかし、以降、交通の発展や都市化、農業構造の変化に伴い、生産量は着実に減少していっています。2022年のデータでは376,400トンにとどまっており、最高水準と比較すると、大きく縮小したことがわかります。

この長期的な生産減少の主要因と考えられるのは、ノルウェーの農業政策と人口動態の変化です。一つには、農業の多様化および高付加価値作物へのシフトが影響を及ぼしています。小規模農家の減少や大規模化の遅れも、ジャガイモ生産に特有の構造的課題を生んでいます。また、国内の食生活も変化し、ジャガイモの消費が減ったことで供給調整が進んだ可能性があります。加えて、雇用の都市部集中や高齢化により、農業労働力の確保が困難になっているという現状も指摘されます。

気候変動の影響にも注視が必要です。ジャガイモは比較的低温で湿潤な気候に適応する作物であるものの、近年の気候不安定化が収穫量の変動に影響を及ぼしている可能性が高いです。2017年から2022年にかけての僅かな生産量の回復は、農業技術や設備改善の成果の一部と見ることができる一方、気候条件への脆弱さを完全に克服しているわけではありません。

他国と比較すると、ノルウェーのジャガイモ生産量は少量といえます。例えば、インドや中国では数千万トン規模で生産され、輸出を視野に入れた大規模農業が展開されています。一方で、ノルウェーは自国内消費と自給率の確保を優先した小規模経済を基盤としており、農業の輸出志向は強くありません。このような背景が、国際競争力の低下と、生産量減少の長期トレンドを招いていると言えます。

将来の課題として、持続可能な生産体制の確立が重要です。ノルウェーのような先進国では、環境保全と農業生産のバランスを取る必要があります。これには、気候に適応したジャガイモ育種や、持続可能な灌漑技術・肥料活用法の導入が含まれます。また、スマート農業技術の導入による労働力の最適化も不可欠です。さらに政策の面では、ジャガイモを含む農業全般を支える経済的なインセンティブを強化し、若年層の農業参入を促進することが望まれます。

地域課題を解決するためには、北欧諸国間での協力関係も鍵を握ります。ノルウェー単独では取り組みに限界があるため、隣国スウェーデンやフィンランドとの共同研究や技術開発を進めるべきです。これには、種子の改良や気候変動適応対策に関するプロジェクトが含まれます。また、EUや国際農業機関との連携を深め、地域間交流を通じて最先端技術を導入することも効果的です。

最終的に、生産量減少だけでなく、気候変動や国際市場、国内需要との折り合いをつけながら、ノルウェー独自の農業の在り方を再定義する必要があります。この方向性を明確化することで、持続可能かつ競争力のある農業が実現できるでしょう。国際協力と技術革新を基軸にした政策の強化が、今後の必須課題となります。