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バルバドスのメロン生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が最新のデータを発表した2024年7月からの報告によると、バルバドスのメロン生産量は大きな変動を伴いながら増減を繰り返しており、特に2022年に1,925トンと劇的な増加を見せました。2023年は1,135トンと減少したものの、それ以前の多くの年と比較すると依然として高い生産量を維持しています。これらの数値からは、この国でのメロンの生産状況が、経済や天候、地政学的な要因に大きく影響されている様子が伺えます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,135
-41.03% ↓
2022年 1,925
546.91% ↑
2021年 298
-23.58% ↓
2020年 389
-24.68% ↓
2019年 517
-24.3% ↓
2018年 683
64.8% ↑
2017年 414
40.36% ↑
2016年 295
-26.37% ↓
2015年 401
-14.13% ↓
2014年 467
20.39% ↑
2013年 388
11.97% ↑
2012年 346
11.61% ↑
2011年 310
28.8% ↑
2010年 241
-3.98% ↓
2009年 251
35.68% ↑
2008年 185
-61.22% ↓
2007年 477
53.87% ↑
2006年 310
-18.42% ↓
2005年 380
1.06% ↑
2004年 376
9.62% ↑
2003年 343
22.06% ↑
2002年 281
-2.49% ↓
2001年 288
-3.94% ↓
2000年 300
3.45% ↑
1999年 290
0.61% ↑
1998年 288
-2.75% ↓
1997年 296
-25.9% ↓
1996年 400
1.78% ↑
1995年 393
274.29% ↑
1994年 105
-12.5% ↓
1993年 120
53.85% ↑
1992年 78
-36.59% ↓
1991年 123
2.5% ↑
1990年 120 -

バルバドスはカリブ海地域の中でも小規模な経済を持つ国で、その農業生産は国内の食糧供給と観光産業に重要な役割を果たしています。特にメロンの生産量は、観光客への供給や輸出作物としての価値があり、経済的意義が大きいと考えられます。しかし、発表されたデータからわかるのは、メロン生産がこの30年以上の間に一貫したトレンドを持たず、激しい変動を伴って推移している点です。

1990年代序盤の120~123トン程度の生産量が、1995年に393トンへと4倍近く急増し、その後も変動を繰り返しています。このうち、2007年の477トン、2014年の467トンなど比較的安定した増加傾向が記録された一方で、2008年や2009年には生産量の落ち込みが顕著でした。コロナ禍の影響が直撃した2020年には389トンと再び減少しましたが、驚くことに2022年には1,925トンと急激な伸びを示し、翌2023年は1,135トンと持ち直しました。

これらの波動の背景には、農業に影響を与えるさまざまな要因が存在する可能性があります。一つには、バルバドスの地理的条件と気候の変動が直接影響していることが考えられます。特に、カリブ海地域はハリケーンや干ばつなどの自然災害に見舞われやすく、これが生産量を不安定にする主因といえるでしょう。さらに、地政学的背景として、主要な農産物の国際的な需要と供給のバランスが変動することで、輸出版の生産に影響している可能性を指摘することも出来ます。また、灌漑設備や肥料の供給、地元農家の資金調達能力など、農業インフラの状況も無視できない課題です。

2022年の記録的な1,925トンという生産量は、おそらく天候条件の好転や生産手法の改良、あるいは政府や国際機関による農業支援策が奏功した結果と解釈できますが、この持続性があるかどうかは不透明です。2023年に1,135トンへ減少したことから、バルバドスがメロン生産を安定的に高水準で維持するには追加の取り組みが必要とされています。例えば、気候変動に対応するための農業技術の導入や災害リスクを軽減するためのレジリエントなインフラ整備は重要な課題です。

さらに、経済的・政策的視点から考えると、農業従事者への継続的な投資や国際市場でのマーケティング強化も必要です。例えば、カリブ共同体(CARICOM)内での農業協力を活用し、地域全体での供給網の強化や輸出促進の枠組みを築くことが挙げられます。他国の事例を見ると、中国やアメリカでは農業工学やバイオテクノロジーを利用して生産量を飛躍的に向上させた例があります。これらの技術の導入は、バルバドスにおいても有効な解決策の一つとなるでしょう。

最終的に、バルバドスの長期的な成功の鍵は、持続可能な農業の実現にあるといえます。そのためには、国際的な協力とともに、地域独自の課題に合わせた施策の実行が求められます。気候変動や市場の不確実性に直面する中、柔軟な政策の構築と適応力ある技術の導入が、安定的なメロン生産を支える基盤となるでしょう。