国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、バルバドスにおけるカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量は1981年の527トンから2023年の468トンまで長期的に推移し、浮き沈みのある変化が見られます。1995年にはこれまでで最大の1,080トンを記録しましたが、その後は減少傾向にあります。直近の2020年代では、生産量は概ね400~700トンの範囲で推移しており、2023年の生産量は468トンとなりました。これらの数値は、バルバドスの農業および食品安全保障における重要な課題を反映しています。
バルバドスのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 468 |
-7.25% ↓
|
2022年 | 505 |
11.34% ↑
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2021年 | 454 |
-26.88% ↓
|
2020年 | 620 |
-11.72% ↓
|
2019年 | 703 |
-11.24% ↓
|
2018年 | 792 |
89.41% ↑
|
2017年 | 418 |
-16.52% ↓
|
2016年 | 501 |
62.47% ↑
|
2015年 | 308 |
-39.33% ↓
|
2014年 | 508 |
-4.69% ↓
|
2013年 | 533 |
183.51% ↑
|
2012年 | 188 |
13.25% ↑
|
2011年 | 166 |
-7.78% ↓
|
2010年 | 180 |
-5.76% ↓
|
2009年 | 191 |
-23.29% ↓
|
2008年 | 249 |
55.63% ↑
|
2007年 | 160 |
32.23% ↑
|
2006年 | 121 |
-40.69% ↓
|
2005年 | 204 |
-29.9% ↓
|
2004年 | 291 |
-34.75% ↓
|
2003年 | 446 |
68.3% ↑
|
2002年 | 265 |
-41.11% ↓
|
2001年 | 450 |
12.5% ↑
|
2000年 | 400 |
14.29% ↑
|
1999年 | 350 |
-50% ↓
|
1998年 | 700 |
-6.67% ↓
|
1997年 | 750 |
-6.25% ↓
|
1996年 | 800 |
-25.93% ↓
|
1995年 | 1,080 |
81.21% ↑
|
1994年 | 596 |
30.13% ↑
|
1993年 | 458 |
224.82% ↑
|
1992年 | 141 |
39.6% ↑
|
1991年 | 101 |
-41.95% ↓
|
1990年 | 174 |
8.07% ↑
|
1989年 | 161 |
-59.24% ↓
|
1988年 | 395 |
-28.96% ↓
|
1987年 | 556 |
65.97% ↑
|
1986年 | 335 |
-7.46% ↓
|
1985年 | 362 |
74.04% ↑
|
1984年 | 208 |
-63.89% ↓
|
1983年 | 576 |
16.84% ↑
|
1982年 | 493 |
-6.45% ↓
|
1981年 | 527 | - |
バルバドスにおけるカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量の推移データを見ると、特に際立つ特徴は、1981年から2023年までの間に大きなばらつきがあることです。例えば、1995年には1,080トンを記録して生産量がピークに達した一方、1991年には最も低い101トンにまで落ち込みました。このような生産量の変動幅は、作物の市場価値、降雨量や干ばつなどの自然条件、国際情勢、農業インフラの整備状況など、複数の要因に影響されています。
まず、バルバドスは小規模なカリブ海の島国であり、農業用地が限られているため、農作物生産量は自然災害や土地利用の変化による影響を受けやすい地域です。1990年代中頃のような好調な時期には、生産技術の向上や天候条件の安定が寄与した可能性があります。しかし特に1990年~1993年といった生産量が極端に停滞している年については、例えば干ばつや洪水、または輸入の増加による地元産品の競争力低下などが要因であったと推測されます。
さらに、新型コロナウイルス感染症のパンデミックがもたらした社会的・経済的影響を考えると、2020年以降の生産量の減少にも影響を与えた可能性があります。具体的には、人員や農業資材の供給不足、輸送インフラの混乱が作物生産全体の効率に支障を来したと考えられます。
地域課題として挙げられるのは、バルバドスのような小国が持つ農業における脆弱性です。気候変動の進行に伴い、暴風雨や干ばつといった極端な天候イベントが増加すると予想されています。これにより、安定した収穫が難しくなるだけでなく、農村経済や食品価格の急騰といった社会的影響も表面化するでしょう。また、近年ではグローバルな貿易ルールの変動や食品輸入の増加が、バルバドス国内の市場競争を厳しくする可能性があります。
一方で、持続可能な農業を推進するための政策やテクノロジーの強化が解決策として有望です。例えば、灌漑設備の整備、土壌管理技術の導入、耐旱性や病害虫抵抗性のある品種の栽培を実施することで、生産の安定化を目指すことができます。また、観光業が重要な収入源であるバルバドスでは、新鮮な農産物を地域の外食産業と連携させる試みも良い方向性と言えるでしょう。これに加えて、デジタル農業技術を導入し、生産から流通までのプロセスを効率化することで収益性を向上させることも可能です。
国際的には、気候変動対策への国際協力や資金援助を通じて、小規模島嶼国の農業を支援する事が不可欠です。周辺国との地域連携や情報共有も含め、持続可能な農業生産システムを構築するための基盤を整えるべきです。この他、国際市場での競争力を高めるため、バルバドス独自の農産物をブランド化し、付加価値をつける取り組みが推奨されます。
総じて言えるのは、バルバドスが直面する課題は、単に農業だけでなく、社会、経済、環境全般に及んでいるということです。今後、国内外の協力を得て、柔軟でレジリエントな農業政策を構築することが、バルバドスの持続的な発展に寄与する鍵となるでしょう。