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バルバドスのサツマイモ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が2024年7月に更新した最新データによると、バルバドスのサツマイモ生産量は1960年代初期に9,078トン、1962年には12,000トンとピークを迎えましたが、それ以降は急激な減少傾向が見られました。近年においては、生産量が1,000トンから2,500トンの範囲で大きな変動を繰り返し、不安定な推移を示しています。2022年には2,543トンに達し、直近ではわずかながら回復が見受けられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,791
9.76% ↑
2022年 2,543
82.13% ↑
2021年 1,396
-9.86% ↓
2020年 1,549
-25.98% ↓
2019年 2,093
26.48% ↑
2018年 1,654
41.73% ↑
2017年 1,167
-58.22% ↓
2016年 2,794
109.29% ↑
2015年 1,335
8.36% ↑
2014年 1,232
0.98% ↑
2013年 1,220
1.5% ↑
2012年 1,202
137.08% ↑
2011年 507
-56.89% ↓
2010年 1,176
32.43% ↑
2009年 888
0.45% ↑
2008年 884
-33.78% ↓
2007年 1,335
-39.35% ↓
2006年 2,201
5.61% ↑
2005年 2,084
8.94% ↑
2004年 1,913
-26.7% ↓
2003年 2,610
77.79% ↑
2002年 1,468
-43.54% ↓
2001年 2,600
-3.7% ↓
2000年 2,700
-22.86% ↓
1999年 3,500
-16.67% ↓
1998年 4,200
-12.5% ↓
1997年 4,800
-5.88% ↓
1996年 5,100
-1.3% ↓
1995年 5,167
63% ↑
1994年 3,170
40.83% ↑
1993年 2,251
-6.95% ↓
1992年 2,419
25.21% ↑
1991年 1,932
-26.98% ↓
1990年 2,646
4.3% ↑
1989年 2,537
2.38% ↑
1988年 2,478
-30.74% ↓
1987年 3,578
63.23% ↑
1986年 2,192
6.1% ↑
1985年 2,066
5.57% ↑
1984年 1,957
-54.49% ↓
1983年 4,300
16.22% ↑
1982年 3,700
23.33% ↑
1981年 3,000
-35.22% ↓
1980年 4,631
108.7% ↑
1979年 2,219
-55.52% ↓
1978年 4,989 -
1977年 4,989
73.59% ↑
1976年 2,874
-35.33% ↓
1975年 4,444
117.74% ↑
1974年 2,041
-51.15% ↓
1973年 4,178
-45.35% ↓
1972年 7,645
13.06% ↑
1971年 6,762
18.76% ↑
1970年 5,694
15.08% ↑
1969年 4,948
-17.53% ↓
1968年 6,000
-14.29% ↓
1967年 7,000
-1.69% ↓
1966年 7,120
9.54% ↑
1965年 6,500
8.33% ↑
1964年 6,000
-25% ↓
1963年 8,000
-33.33% ↓
1962年 12,000
32.19% ↑
1961年 9,078 -

バルバドスのサツマイモ生産量の推移を分析すると、過去60年以上にわたって大きく減少していることが明らかです。1962年に12,000トンという過去最高の生産量が記録されましたが、その後、1970年代から特に顕著な減少期に入りました。この時期は輸入依存度の増加、国内農業従事者の減少、あるいは台風や干ばつといった気候災害が影響を及ぼしていた可能性があります。また、近年においては、気候変動が農業生産に与える悪影響が他国と同様にバルバドスにも顕著に表れていることが推測されます。

特筆すべきは、2000年以降の生産量が1,000トン台にまで減少し、その後も2,000トン台前半との間で変動を繰り返している点です。2016年に2,794トンまで回復したものの、翌年には再び1,167トンへと急落し、長期的な安定には至っていない状況です。2022年には2,543トンと持ち直しましたが、依然として1960年代の生産量とは大きな差があります。

この生産量の不安定さは、いくつかの要因に起因していると思われます。まず、バルバドスの地理的な条件が一因と考えられます。同国は小さな島国であり、耕作可能な土地が限られるため、農業生産が自然災害や土地の劣化に大きく依存します。さらに、農業従事者の高齢化や都市化の進展により、農村人口の減少と農業生産意欲の低下が進行している可能性が指摘されています。

地政学的な背景としては、バルバドスのようなカリブ諸国が輸入依存型の経済構造を有していることも無視できません。輸入に依存することで国内農業の競争力が低下し、結果として農業生産の伸びが抑えられるという悪循環に陥る場合があります。このような構造的課題を乗り越えるためには、農業の多様化を進めると同時に、国内生産の活性化を目指す政策の実施が求められます。

具体的な対策としては、農家への技術支援や融資制度の強化が必要です。高収量種への転換や灌漑設備の整備、あるいは気候変動に耐性のある作物の導入といった手法は、実績のある解決策となり得ます。また、地域間協力を活用し、近隣国との協力体制を強化することも重要です。たとえば、共有の農業研究、技術支援、輸出振興のプラットフォームを設けることで、競争力が向上し、外的ショックへの耐性も強まるでしょう。

さらに、過去に発生した自然災害や、新型コロナウイルスによる経済的打撃も無視できません。このような外部要因による影響を軽減するためには、長期的な視点で食料安全保障の強化を進める必要があります。災害対応計画の整備に加え、作物の保険制度やサツマイモを含む主要作物の貯蔵技術の向上が推奨されます。

結論として、バルバドスのサツマイモ生産量は、単なる農産物の指標を超えて、気候的、経済的、地政学的な複雑な要素が絡み合う課題を内包しています。この推移が示す現状を深く理解した上で、政府や国際機関が連携し、包摂的かつ持続可能な農業発展の方向性を探ることが急務となっています。