バルバドスにおけるヤギ肉生産量の推移を見ると、1960年代初頭には94トンから始まり、1970年には112トンと増加傾向が見られましたが、1971年以降は年々減少し、1990年前後には24トンを下回る水準に低下しました。その後、おおむね横ばい状態が続き、2000年代後半から2023年にかけては30トン前後で推移しています。歴史的に見ても、減少期間と横ばい期間が顕著であり、持続的な回復基調には至っていません。
バルバドスのヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 30 |
0.2% ↑
|
2022年 | 30 |
0.44% ↑
|
2021年 | 30 |
0.44% ↑
|
2020年 | 30 |
0.17% ↑
|
2019年 | 30 |
1.1% ↑
|
2018年 | 29 |
0.76% ↑
|
2017年 | 29 |
-0.14% ↓
|
2016年 | 29 |
0.35% ↑
|
2015年 | 29 |
-0.79% ↓
|
2014年 | 29 |
-6.12% ↓
|
2013年 | 31 |
0.88% ↑
|
2012年 | 31 |
10% ↑
|
2011年 | 28 | - |
2010年 | 28 | - |
2009年 | 28 | - |
2008年 | 28 | - |
2007年 | 28 | - |
2006年 | 28 | - |
2005年 | 28 | - |
2004年 | 28 |
2.56% ↑
|
2003年 | 27 |
1.56% ↑
|
2002年 | 27 |
3.78% ↑
|
2001年 | 26 |
2.78% ↑
|
2000年 | 25 |
5.88% ↑
|
1999年 | 24 | - |
1998年 | 24 | - |
1997年 | 24 | - |
1996年 | 24 | - |
1995年 | 24 | - |
1994年 | 24 | - |
1993年 | 24 | - |
1992年 | 24 | - |
1991年 | 24 | - |
1990年 | 24 | - |
1989年 | 24 |
-10.53% ↓
|
1988年 | 27 |
-13.64% ↓
|
1987年 | 31 |
-15.38% ↓
|
1986年 | 36 |
-13.33% ↓
|
1985年 | 42 |
-21.05% ↓
|
1984年 | 53 |
-15.56% ↓
|
1983年 | 63 |
-10% ↓
|
1982年 | 70 | - |
1981年 | 70 |
-13.79% ↓
|
1980年 | 81 | - |
1979年 | 81 | - |
1978年 | 81 |
-3.33% ↓
|
1977年 | 84 | - |
1976年 | 84 |
-7.69% ↓
|
1975年 | 91 | - |
1974年 | 91 |
-7.14% ↓
|
1973年 | 98 | - |
1972年 | 98 |
-6.67% ↓
|
1971年 | 105 |
-6.25% ↓
|
1970年 | 112 |
2.56% ↑
|
1969年 | 109 |
2.63% ↑
|
1968年 | 106 |
2.7% ↑
|
1967年 | 104 |
5.71% ↑
|
1966年 | 98 |
2.94% ↑
|
1965年 | 95 |
3.03% ↑
|
1964年 | 92 |
1.54% ↑
|
1963年 | 91 |
-4.41% ↓
|
1962年 | 95 |
1.49% ↑
|
1961年 | 94 | - |
国際連合食糧農業機関がまとめた最新データによると、バルバドスのヤギ肉生産量は、1960年代半ばには年間100トンを超えていました。しかしその後、1970年以降に生産量が著しく低下し、1980年代中盤には40トンを割り込み、1990年前後には24トンにまで落ち込みました。この加工肉量の縮小傾向は、地域的な農業施策の変化や、輸入肉に対する依存度の増加、土地の利用転換など、一連の経済的制約が影響していると考えられます。さらに、気候変動などの地政学的要因も、ヤギの飼育に必要な牧草供給や、水資源への制限をもたらした可能性があります。
観察されるデータの特徴として、1990年代以降はほぼ24~30トンの範囲内で推移しており、大きな変動が見られません。この生産量の停滞期は、生産における基盤的な改革、例えば家畜の繁殖技術の導入や、生産効率向上のための助成金不足が原因とされます。また、この時期には輸入品が可能になったことから、バルバドス国内での小規模農家や畜産業者の競争力が削がれたと考えられます。
ヤギ肉という食文化の点では、バルバドス内での需要は根強いものの、それが国内生産の増加に結びつくことはありませんでした。他の主要国と比較しても、例えば中国ではヤギ肉生産が1,000万トンを超える水準を長年維持している一方で、バルバドスの小規模市場は競争力を確保するのが難しい状況です。アメリカやヨーロッパ諸国においても、高付加価値のニッチ市場戦略を取る事例があるため、バルバドスにもそのような視点を取り入れるべきです。
今後、持続可能な発展のためには、いくつかの課題の克服が必要です。まずは気候変動の影響を受けにくい飼育システムの構築と、そのための新たな技術導入が重要です。同時に、以下のような具体的な提案が考えられます。地域農家に対する資金援助プログラムを策定し、ヤギ肉の高品質化を目指す取り組みを推進するほか、販路の拡大を図るための海外市場の開拓や観光産業との連携を強化することが得策です。また、国内消費者にヤギ肉の栄養価や文化的価値を再認識してもらう啓発活動を行うことで、需要を底上げすることも可能と考えられます。
地政学的背景に目を向けると、バルバドスは輸入依存度が高い経済構造であるため、国際的な食品供給網における混乱や価格高騰が、国内の畜産業にさらなる困難をもたらすリスクがあります。特に昨今のパンデミックの影響や、物流の制約が、輸入肉の価格に与える影響を考えると、国内生産量の安定確保の重要性がますます高まります。このような課題に対し、国内での独自生産を増やす仕組みづくりと、近隣カリブ諸国との協力体制を強化する必要があります。
総じて、バルバドスのヤギ肉生産量の推移は、輸入肉市場と地元の農家との間で課題が顕在化している状況を反映しています。これを好転させるためには、効率的かつ高品質な生産体制の確立、国内需要の再喚起、および国際市場への戦略的展開が必要です。政府は政策支援を強化し、民間セクターとも連携して現地の生産動向をポジティブに転換させるべきです。このような取り組みによって、バルバドスのヤギ肉産業が持続的かつ安定した成長を遂げることが期待されます。