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バルバドスのニンジン・カブ類生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が更新した2024年7月の最新データによると、バルバドスのニンジン・カブ類の生産量は、多年にわたり大きな変動を示してきました。特に、1970年代から1980年代にかけて生産は急上昇しましたが、それ以降は長期的に低下傾向が見られ、2010年代から2023年にかけてはさらに減少しています。近年では2022年に340トンと一時的な回復を示しましたが、2023年には226トンと再び減少しました。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 226
-33.61% ↓
2022年 340
166.33% ↑
2021年 128
-27.77% ↓
2020年 177
-47.71% ↓
2019年 338
-16.2% ↓
2018年 403
154.96% ↑
2017年 158
17.57% ↑
2016年 135
-50.35% ↓
2015年 271
-12.58% ↓
2014年 310
5.08% ↑
2013年 295
20.9% ↑
2012年 244
67.12% ↑
2011年 146
-44.7% ↓
2010年 264
33.33% ↑
2009年 198
-21.74% ↓
2008年 253
-17.05% ↓
2007年 305
-4.09% ↓
2006年 318
-31.91% ↓
2005年 467
-43.53% ↓
2004年 827
-18.28% ↓
2003年 1,012
26.5% ↑
2002年 800
-1.23% ↓
2001年 810
-29.57% ↓
2000年 1,150
4.55% ↑
1999年 1,100
22.22% ↑
1998年 900
15.09% ↑
1997年 782
-54.51% ↓
1996年 1,719
46.67% ↑
1995年 1,172
255.15% ↑
1994年 330
-68.48% ↓
1993年 1,047
-0.48% ↓
1992年 1,052
-32% ↓
1991年 1,547
6.91% ↑
1990年 1,447
-18.2% ↓
1989年 1,769
28.19% ↑
1988年 1,380
-11.6% ↓
1987年 1,561
58.48% ↑
1986年 985
16.71% ↑
1985年 844
-64.22% ↓
1984年 2,359
-9.27% ↓
1983年 2,600
7.62% ↑
1982年 2,416
12.63% ↑
1981年 2,145
-10.44% ↓
1980年 2,395
11.76% ↑
1979年 2,143
18.14% ↑
1978年 1,814
53.73% ↑
1977年 1,180
4.89% ↑
1976年 1,125
-5.54% ↓
1975年 1,191
24.97% ↑
1974年 953
-12.57% ↓
1973年 1,090
10.44% ↑
1972年 987
-13.04% ↓
1971年 1,135
31.52% ↑
1970年 863
495.17% ↑
1969年 145
-58.57% ↓
1968年 350
16.67% ↑
1967年 300
20% ↑
1966年 250
25% ↑
1965年 200
11.11% ↑
1964年 180
20% ↑
1963年 150
25% ↑
1962年 120
20% ↑
1961年 100 -

FAOが発表したデータを分析すると、バルバドスのニンジン・カブ類の生産量は、1960年代には緩やかな増加基調にありましたが、1970年代には急激な増大が見られました。1979年には2,143トン、1983年のピーク時には2,600トンと、増加率は劇的でした。この時期の生産量の拡大は、農業技術の向上や輸出促進政策などが背景にあると考えられます。

しかし1980年代中盤以降、突如として生産量は急落し、この減少基調は以降の数十年間に持続しました。例えば、1994年には330トン、2008年には253トンと、ピーク時の10分の1以下にまで減少しています。2023年の生産量226トンは、この減少トレンドの一環であるといえます。これらの減少の背景には、農業環境の変化や主要作物の転換、輸入依存の増加、農業労働力の削減がある可能性が挙げられます。

特に注目すべき点は、2000年代後半から減少が顕著となったことです。この時期は、地球温暖化による気候変動の影響が本格化するとともに、バルバドスを含むカリブ地域全体で干ばつや台風などの自然災害が頻発していた時期とも重なります。これに加え、グローバリゼーションの進行による輸入品の増加が国内農家の経営を圧迫した可能性も指摘されています。経済政策の影響も否定できず、政府による農業支援の減少やインフラ整備の停滞が影響している可能性があります。

また、2020年に始まった新型コロナウイルス感染症のパンデミックも、農業生産量に直接的・間接的な影響を与えました。パンデミックによって物流が滞り、農業関連資材の供給不足が国内生産をさらに難しくしたと考えられます。

このような長期的な生産量の低迷には、いくつかの課題が浮かび上がります。まず第一に、バルバドスは気候変動に対する脆弱性が高い島嶼国家であるため、農業分野において気候変動への適応策が急務です。耐乾性や病害虫耐性のある品種の導入、省水型灌漑技術の普及などがその対策として考えられます。第二に、若年層の農業参入を促進するための教育や補助政策、例えば農業技術訓練プログラムや新規事業支援策などが重要です。さらに、地域間協力による農業インフラの改善、例えば灌漑システムの近代化や道路網の整備も不可欠です。

国際的視野においても、バルバドスは持続可能な農業システム構築のモデルとなることで、他国と協力しながら新しい技術やノウハウを導入できる可能性があります。カリブ共同体(CARICOM)などの地域協力体制を活用し、他の近隣諸国との農業技術共有を加速させることも、効果的な手段となるでしょう。

総じて、バルバドスのニンジン・カブ類の生産量は、過去半世紀以上にわたる隆盛から衰退を示していますが、この現象の原因は単一の要因に帰することはできません。気候変動、政府の政策、地域経済、そしてグローバル市場の影響が複雑に絡み合っています。将来的には、国や国際機関が支援する形での持続可能な農業の発展を目指し、地元の農家と地域政府が協力して生産体制の再構築を進める必要があります。このようなプロセスを通して、国内の食料安全保障を強化し、経済の多角化に貢献する道筋が開けると期待されます。