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バルバドスのサトイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、バルバドスのサトイモ生産量は大きな変動を伴いながら推移してきました。1960年代から1970年代にかけて700トン前後で推移していた生産量は、その後減少傾向を示しました。1980年代以降に急激な減少が目立ち、2008年にはわずか41トンという最低記録を記録しました。その後は微増と減少を繰り返し、直近の2022年には88トンで、過去と比較して非常に低水準で推移しています。この長期的な減少傾向からは、地政学的・経済的・気候的な要因が関与している可能性が強く示唆されます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 87
-0.26% ↓
2022年 88
0.06% ↑
2021年 88
0.66% ↑
2020年 87
-1.45% ↓
2019年 88
0.98% ↑
2018年 87
2.5% ↑
2017年 85
-7.42% ↓
2016年 92
8.58% ↑
2015年 85
-6.83% ↓
2014年 91
-9.36% ↓
2013年 100
0.98% ↑
2012年 100
397.5% ↑
2011年 20
-91.23% ↓
2010年 228
850% ↑
2009年 24
-41.46% ↓
2008年 41
-72.85% ↓
2007年 151
-3.82% ↓
2006年 157
-10.29% ↓
2005年 175
-12.5% ↓
2004年 200
-9.09% ↓
2003年 220
10% ↑
2002年 200
16.31% ↑
2001年 172
-4.47% ↓
2000年 180
12.5% ↑
1999年 160
-10.66% ↓
1998年 179
-2.38% ↓
1997年 183
4.84% ↑
1996年 175
1.74% ↑
1995年 172
44.54% ↑
1994年 119
-75.16% ↓
1993年 479
173.71% ↑
1992年 175
-7.89% ↓
1991年 190
-23.39% ↓
1990年 248
2.9% ↑
1989年 241
-31.14% ↓
1988年 350
-22.22% ↓
1987年 450
-18.18% ↓
1986年 550 -
1985年 550
-8.33% ↓
1984年 600 -
1983年 600 -
1982年 600 -
1981年 600
1.69% ↑
1980年 590 -
1979年 590
1.72% ↑
1978年 580 -
1977年 580 -
1976年 580 -
1975年 580 -
1974年 580 -
1973年 580 -
1972年 580
0.35% ↑
1971年 578
5.09% ↑
1970年 550
8.7% ↑
1969年 506
-25.59% ↓
1968年 680
-9.33% ↓
1967年 750
-2.85% ↓
1966年 772
10.29% ↑
1965年 700 -
1964年 700 -
1963年 700 -
1962年 700 -
1961年 700 -

バルバドスはカリブ海地域に位置する小さな島国で、農業は歴史的に国内の食糧供給と経済の一部を支える重要な産業でした。しかし、サトイモを含む農産物の生産量は長年にわたり低迷しており、特にサトイモについては60年以上のデータから明らかなように厳しい生産の減少トレンドが見られます。

1960年代から1970年代初頭にかけては700トン前後で安定を保っていたサトイモ生産量も、1980年代を境に著しく縮小しました。この時期の減少の背景には、農村人口の都市部への移動による労働力不足や、農業を支える政策の十分な整備がなされなかったことが挙げられます。また、1980年代後半から1990年代にかけては、グローバル化の流れの中で輸入農産物の市場拡大が進み、国内農業の競争力が低下した可能性があります。

2008年には生産量がわずか41トンにまで減少し、この国のサトイモ生産は危機的状況に陥りました。この時期にはハリケーンなどの自然災害が地域に影響を与えたことや、気候変動による降水量パターンの変化が主要な原因として考えられます。同様に、農産業インフラの整備の遅れや農業技術の不足も問題を悪化させたと言えるでしょう。その後も生産量が増減を繰り返しているものの、最新の2022年の88トンという値は、1960年代の700トンと比較して大幅な低下を示しています。

このような低迷傾向の克服には、政府と国際機関の協力が不可欠です。例えば、持続可能な農業技術の導入や、農民への資金援助プログラムの充実が挙げられます。また、地域間での協力を進め、カリブ海諸国全体としての農産業強化策を模索することも効果的でしょう。さらに、生産量低下に影響を与えた気候変動への対策を明確にし、耐気候的な農作物の育種や、防災インフラの改善に取り組むことが重要です。

地域的には、カリブ海諸国全般が災害の多発や小規模農業の競争力低下といった共通の課題を抱えており、これらに対するリスク分散策として、国際的な共同対応の枠組みが求められています。国連機関や地域的な貿易連帯組織を通じての農産物貿易や技術供与も、今後有効な一手となるでしょう。

結論として、バルバドスにおけるサトイモ生産量の長期的低迷は、農業の構造的な脆弱性を浮き彫りにしていると言えます。この問題に対処するためには、単に生産量を回復させるだけでなく、農業基盤の再構築に向けた長期的かつ具体的な戦略が求められます。国際援助の前提となるデータ収集の精度向上も進めながら、持続的な農業発展のモデルを確立していくべきです。