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カンボジアのレモン・ライム生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、カンボジアのレモン・ライム生産量は1961年の5,000トンから、2023年には3,004トンと、全体を俯瞰すると長期的に様々な変動が見られます。過去には地政学的な影響や内紛などで急激に生産量が減少した時期がありましたが、その後徐々に増加し、安定的な供給が見られるようになっています。近年では3,000トン前後で推移しており、安定した生産基盤が整ってきたことが伺えます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 3,004
0.67% ↑
2022年 2,984
0.56% ↑
2021年 2,967
-1.15% ↓
2020年 3,002
0.63% ↑
2019年 2,983
2.25% ↑
2018年 2,917
0.98% ↑
2017年 2,889
0.97% ↑
2016年 2,861
0.99% ↑
2015年 2,833
0.99% ↑
2014年 2,805
1.41% ↑
2013年 2,767
1.51% ↑
2012年 2,725
1.54% ↑
2011年 2,684
1.56% ↑
2010年 2,643
1.58% ↑
2009年 2,602
1.61% ↑
2008年 2,560
0.21% ↑
2007年 2,555
10% ↑
2006年 2,323
0.98% ↑
2005年 2,300
-9.56% ↓
2004年 2,543
3.62% ↑
2003年 2,454
3.34% ↑
2002年 2,375
3.26% ↑
2001年 2,300 -
2000年 2,300 -
1999年 2,300
4.55% ↑
1998年 2,200
10% ↑
1997年 2,000
11.11% ↑
1996年 1,800
20% ↑
1995年 1,500
7.14% ↑
1994年 1,400
0.53% ↑
1993年 1,393
3.77% ↑
1992年 1,342
3.23% ↑
1991年 1,300
4% ↑
1990年 1,250
8.7% ↑
1989年 1,150
15% ↑
1988年 1,000
11.11% ↑
1987年 900
5.88% ↑
1986年 850
13.33% ↑
1985年 750
20.97% ↑
1984年 620
3.33% ↑
1983年 600
20% ↑
1982年 500
11.11% ↑
1981年 450
2.27% ↑
1980年 440
4.76% ↑
1979年 420
-28.81% ↓
1978年 590
-14.49% ↓
1977年 690
-8% ↓
1976年 750
-6.25% ↓
1975年 800
-11.11% ↓
1974年 900
-10% ↓
1973年 1,000
-11.5% ↓
1972年 1,130
13% ↑
1971年 1,000 -
1970年 1,000 -
1969年 1,000
-50% ↓
1968年 2,000
-60% ↓
1967年 5,000 -
1966年 5,000
-28.57% ↓
1965年 7,000 -
1964年 7,000
16.67% ↑
1963年 6,000
20% ↑
1962年 5,000 -
1961年 5,000 -

カンボジアのレモン・ライム生産量についてのデータを遡ると、1960年代の初期には5,000トン以上の生産量がありました。しかし、その後、1968年から1970年代にかけては地政学的背景、特に内戦の影響と見られる大幅な生産量減少が記録されています。この時期、生産量は最も低い1979年には420トンまで落ち込みました。内戦や社会的不安定の中で、農地の荒廃や労働力の減少が生産活動に影響した可能性が高いです。

1980年代以降になると、生産量は徐々に回復基調を見せ始めます。1983年には600トンと、1979年の420トンと比べると約43%増加しています。そして、1990年代までには1,000トン超えを回復し、農業インフラの再整備や新たな技術導入の発展が復興の後押しとなったと考えられます。

さらに、2000年には2,300トンを記録し、21世紀に入ると大きな変動はあまり見られなくなりました。2020年代の近年では、概ね2,900~3,000トンの範囲内で安定して推移しています。この安定性は、農業技術の向上や市場環境の整備が寄与していると考えられます。一方で、2021年に一時的に2,967トンに低下したのは、新型コロナウイルスのパンデミックによる物流の停滞や労働人口の減少が影響した可能性が示唆されます。

カンボジアのレモン・ライム生産量は一定の成長を遂げましたが、依然として地理的条件や気候変動の影響を受けやすい現状があります。特に、灌漑設備や台風被害への対策などにおけるインフラ整備の進展が課題といえるでしょう。また、近年の3,000トンという生産量を踏まえると、地域市場への供給において限界が出る可能性もあります。他国と比較すると、中国やインド、アメリカなどの大規模な農業生産国と比して生産規模は非常に小さいため、輸出競争力の点でも課題が残ります。

今後の提言として、第一に農業アプローチの多様化が挙げられます。例えば、耐病性や高収量を誇る品種の導入や、灌漑手法など、水資源の効率的な管理が挙げられます。さらに、アセアン諸国間での農業技術共有の推進や共同研究も、さらなる安定及び生産性向上をもたらす要因となるでしょう。気候変動リスクが増大している中、早急な適応計画も必要です。

結論として、カンボジアのレモン・ライム生産量は長年の不安定な時期を乗り越え、現時点では安定期に入っているといえるでしょう。しかし、内外の市場競争や気候要因に直面しているため、これ以上の飛躍を遂げるには数々の課題解決と、更なる技術革新が鍵となります。政府や国際機関には、持続的農業のための支援体制と政策の更なる強化が期待されます。