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カンボジアのトウモロコシ生産量推移(1961-2022)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、カンボジアのトウモロコシ生産量は、過去数十年にわたって増減を繰り返してきましたが、2000年以降劇的な増加を経験しています。近年では、2017年と2018年に1,231,500トンというピークを記録し、その後は減少と回復を繰り返し、2022年には再び1,163,000トンへと回復を見せています。この動向は国内の農業開発政策や海外市場への依存度の影響を受けており、今後の政策と国際市場の変化が影響を与えることが予測されます。

年度 生産量(トン)
2022年 1,163,000
2021年 699,000
2020年 900,000
2019年 895,000
2018年 1,231,500
2017年 1,231,500
2016年 542,300
2015年 333,100
2014年 474,000
2013年 848,400
2012年 950,909
2011年 717,000
2010年 773,269
2009年 924,026
2008年 611,865
2007年 523,000
2006年 376,938
2005年 247,760
2004年 256,665
2003年 314,591
2002年 148,897
2001年 185,589
2000年 156,972
1999年 95,274
1998年 48,510
1997年 42,423
1996年 64,563
1995年 54,900
1994年 45,000
1993年 45,414
1992年 60,000
1991年 60,000
1990年 88,000
1989年 54,000
1988年 41,000
1987年 38,000
1986年 51,000
1985年 42,000
1984年 48,000
1983年 43,000
1982年 51,000
1981年 85,000
1980年 101,000
1979年 70,000
1978年 80,000
1977年 80,000
1976年 75,000
1975年 65,000
1974年 70,000
1973年 72,700
1972年 79,600
1971年 121,700
1970年 137,000
1969年 117,600
1968年 154,000
1967年 149,900
1966年 135,800
1965年 139,000
1964年 203,900
1963年 183,200
1962年 151,800
1961年 174,300

カンボジアにおけるトウモロコシ生産量の推移を見ると、1960年代から1980年代にかけての生産量は10万トン前後にとどまり、不安定な時期を経ていました。この間、地域紛争や内戦、経済的混乱が続き、農業全般が低迷していたため、生産量も限られていました。1980年代後半に再び安定を取り戻したものの、大きな飛躍は1990年代以降となり、2000年代に入ってからは急速に生産量が増加しています。とくに2007年から2012年にかけては毎年50万トン以上を記録し、2017年と2018年には過去最高の1,231,500トンに達しました。

このような急成長の背景には、いくつかの要因が考えられます。まず、国内外の需要増加が挙げられます。トウモロコシは、食糧用だけでなく飼料用や産業用途でも利用され、経済成長国である中国やベトナムへの輸出需要が高まったことで、カンボジアの農家にとって魅力的な作物となりました。さらに、農業技術の進展や肥料・農薬使用の普及、政府による農業支援プロジェクトの効果も生産性向上に寄与しています。

一方で、近年のデータを見ると、生産量には再び変動が見られることが特徴です。2018年にピークを記録した後は、2019年から2021年にかけて減少し、2022年に再び増加しています。この変動には複数の要因が関与していると考えられます。まず、カンボジアの農業部門は、気候変動の影響を受けやすく、異常気象や干ばつが直接的に収穫量に影響を与えることが報告されています。また、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大が農業労働力や物流網に一時的な混乱を引き起こし、生産と輸出に影響を与えた可能性もあります。さらに、輸出市場の需要変動や価格競争も、生産量や農業経営に影響を及ぼしています。

未来に向けて、カンボジアがトウモロコシ生産の持続可能性を確保し、さらに安定した成長を遂げるためには、いくつかの課題に取り組むべきです。第一に、気候変動への適応策が必要です。具体的には、干ばつ耐性の高いトウモロコシ品種の導入や灌漑設備の普及、農業気象情報の提供といった対策が重要です。第二に、輸出市場での競争力を高めるために、品質管理体制の強化や高付加価値製品(有機作物やトレーサビリティ対応の作物)の開発が推奨されます。第三に、国内の農業労働環境を改善することで、農家の意欲を高め、若年層の農業参入を促進させることも持続的な発展に寄与します。

このように、カンボジアのトウモロコシ生産量は、国内外の需要、地政学的影響、自然環境など多様な要因に影響を受けています。その一方で、適切な政策と技術導入により、その成長を加速させ持続可能性を高めていく余地が十分にあります。特に、近隣国や国際機関との連携を深めることで、貿易の安定化や技術支援の恩恵を享受し、さらなる発展が期待されます。