国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年最新データによると、ブルキナファソの落花生生産量は、特に近年大きな伸びを見せています。過去60年以上のデータから、生産量は1960年代の7万トン前後から徐々に増加し、2023年には約68万トンに達しました。特に2016年以降、急激な増加が確認されており、2020年には60万トンを突破、その後も高い生産性を維持しています。一方で、年ごとに大きな変動がみられ、気候変動や農業施策の影響が考えられる状況です。
ブルキナファソの落花生生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 683,183 |
22.2% ↑
|
2022年 | 559,064 |
17.14% ↑
|
2021年 | 477,254 |
-24.31% ↓
|
2020年 | 630,526 |
59.17% ↑
|
2019年 | 396,129 |
20.12% ↑
|
2018年 | 329,783 |
-1.36% ↓
|
2017年 | 334,328 |
-35.63% ↓
|
2016年 | 519,345 |
41.94% ↑
|
2015年 | 365,887 |
9.15% ↑
|
2014年 | 335,223 |
-4.14% ↓
|
2013年 | 349,688 |
12.34% ↑
|
2012年 | 311,273 |
17.32% ↑
|
2011年 | 265,322 |
-22% ↓
|
2010年 | 340,166 |
2.89% ↑
|
2009年 | 330,624 |
-4.52% ↓
|
2008年 | 346,292 |
41.39% ↑
|
2007年 | 244,922 |
13.68% ↑
|
2006年 | 215,447 |
-2.3% ↓
|
2005年 | 220,525 |
-10.1% ↓
|
2004年 | 245,307 |
-31.5% ↓
|
2003年 | 358,121 |
10.65% ↑
|
2002年 | 323,642 |
7.49% ↑
|
2001年 | 301,092 |
78.01% ↑
|
2000年 | 169,146 |
-40.18% ↓
|
1999年 | 282,754 |
31.63% ↑
|
1998年 | 214,807 |
41.2% ↑
|
1997年 | 152,128 |
-31.02% ↓
|
1996年 | 220,534 |
22.16% ↑
|
1995年 | 180,532 |
-11.06% ↓
|
1994年 | 202,976 |
-1.62% ↓
|
1993年 | 206,322 |
43.88% ↑
|
1992年 | 143,400 |
45.14% ↑
|
1991年 | 98,800 |
-26.4% ↓
|
1990年 | 134,235 |
2.82% ↑
|
1989年 | 130,549 |
-20.49% ↓
|
1988年 | 164,200 |
43.01% ↑
|
1987年 | 114,817 |
-24.57% ↓
|
1986年 | 152,211 |
23.28% ↑
|
1985年 | 123,464 |
48.75% ↑
|
1984年 | 83,000 |
0.83% ↑
|
1983年 | 82,316 |
16.5% ↑
|
1982年 | 70,658 |
-9.02% ↓
|
1981年 | 77,667 |
43.98% ↑
|
1980年 | 53,943 |
-30.69% ↓
|
1979年 | 77,831 |
5.38% ↑
|
1978年 | 73,858 |
29.41% ↑
|
1977年 | 57,073 |
-21.48% ↓
|
1976年 | 72,686 |
-16.64% ↓
|
1975年 | 87,200 |
-1.91% ↓
|
1974年 | 88,900 |
41.41% ↑
|
1973年 | 62,865 |
4.07% ↑
|
1972年 | 60,408 |
-8.72% ↓
|
1971年 | 66,182 |
-2.25% ↓
|
1970年 | 67,702 |
-4.67% ↓
|
1969年 | 71,019 |
-16.45% ↓
|
1968年 | 85,000 |
6.25% ↑
|
1967年 | 80,000 |
2.56% ↑
|
1966年 | 78,000 |
6.85% ↑
|
1965年 | 73,000 |
4.29% ↑
|
1964年 | 70,000 |
40% ↑
|
1963年 | 50,000 |
-16.67% ↓
|
1962年 | 60,000 |
-14.29% ↓
|
1961年 | 70,000 | - |
ブルキナファソの落花生生産量の推移を見ると、長期的には一貫して増加傾向にありますが、特定の年における大きな変動が特徴的です。例えば、1961年から1980年代までは比較的低い生産量が続いており、特に1980年の5.4万トンは非常に低い水準でした。しかし、1985年以降、10万トンを超え始め、その後1993年の20.6万トン、2000年代以降の30万トン超え、そして2020年代初頭には50万トン以上の記録的な生産量を達成しています。2023年の68万トンは過去最高であり、ブルキナファソ農業が進化を続けていることを物語っています。
この増加の背後には、いくつかの要因が考えられます。まず、農業技術の向上が挙げられます。種子改良や灌漑技術の導入は、土地利用効率の改善に寄与した可能性があります。また、政府や国際機関による農業支援策、例えば肥料の供給や農民への教育プログラムも生産量の増加に貢献していると推察されます。さらに、地域経済における落花生の重要性が高まり、生産を促進する動機付けとなっているとも考えられます。
しかし一方で、課題も残されています。長期的な増加傾向にもかかわらず、年ごとの生産量の変動が大きい点が特に懸念されます。この背景には、気候変動が大きな影響を与えている可能性があります。ブルキナファソはサヘル地域に位置するため、干ばつや洪水といった気象災害が農業に甚大な影響を及ぼします。このため、気候変動に対するレジリエンスを強化する取り組みが必要です。
具体的には、持続可能な農業実践の普及が求められます。例えば、土地の保水力を高めるためのアグロフォレストリー(農業と森林の両立を目指す農法)や、干ばつ耐性のある作物の導入が有力な解決策です。また、気象データの活用による早期警戒システムの構築や、灌漑インフラの拡充も非常に重要です。これらの対策は、農家の所得の安定化にもつながり、農業分野全体の底上げを実現します。
さらに、地域衝突や政治的安定も無視できない要素です。ブルキナファソは近年、テロや紛争の影響を多かれ少なかれ受けています。これらが農業活動や物流に支障をきたしている可能性があります。ここで、国際社会の協力が重要となります。国連やアフリカ連合を通じた平和的安定の取り組みや、地域協力による貿易促進は、生産性向上に寄与するでしょう。
また、国際市場における需要の変化も注目すべき点です。落花生は食用油やスナック菓子の原料として国際需要が継続的に存在し、アフリカ全体でも重要な輸出作物となっています。一方で、同じ農産物であるカカオやコーヒーと比較すると価格競争力を強化する余地があり、品質改善や認証制度(例:フェアトレード)の導入が効果的です。
結論として、ブルキナファソの落花生生産量は今後も成長が期待されますが、気象リスクへの対策や農業基盤の充実がその成長を支える重要な鍵となるでしょう。長期的な視点での政策立案と国際協力が、ブルキナファソの農業分野における成功に必要不可欠です。