国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、ブルキナファソのオレンジ生産量は、1977年の200トンから2022年の624トンまで、長期的には安定した増加傾向を示しています。特に1982年以降の生産量の増加は目を見張るもので、近年は600トンを超える水準で安定しています。ただし、2000年代初頭には減少が観察され、気候変動や農業技術の進展、政策の影響、自然災害などが生産量に与えた影響が示唆されます。
ブルキナファソのオレンジ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 629 |
0.71% ↑
|
2022年 | 624 |
0.56% ↑
|
2021年 | 621 |
0.56% ↑
|
2020年 | 617 |
0.45% ↑
|
2019年 | 614 |
0.9% ↑
|
2018年 | 609 |
0.67% ↑
|
2017年 | 605 |
0.29% ↑
|
2016年 | 603 |
0.45% ↑
|
2015年 | 600 |
-0.41% ↓
|
2014年 | 603 |
-1.17% ↓
|
2013年 | 610 |
1.67% ↑
|
2012年 | 600 |
3.73% ↑
|
2011年 | 578 |
1.03% ↑
|
2010年 | 573 |
1.16% ↑
|
2009年 | 566 |
1.08% ↑
|
2008年 | 560 |
1.8% ↑
|
2007年 | 550 |
10% ↑
|
2006年 | 500 |
-9.09% ↓
|
2005年 | 550 |
1.24% ↑
|
2004年 | 543 |
0.38% ↑
|
2003年 | 541 |
0.4% ↑
|
2002年 | 539 |
0.23% ↑
|
2001年 | 538 |
-0.81% ↓
|
2000年 | 542 |
-6.24% ↓
|
1999年 | 578 |
10.84% ↑
|
1998年 | 522 |
0.83% ↑
|
1997年 | 517 |
0.9% ↑
|
1996年 | 513 |
0.9% ↑
|
1995年 | 508 |
0.88% ↑
|
1994年 | 504 |
0.85% ↑
|
1993年 | 500 |
0.81% ↑
|
1992年 | 496 |
0.84% ↑
|
1991年 | 491 |
8.74% ↑
|
1990年 | 452 |
-9.6% ↓
|
1989年 | 500 | - |
1988年 | 500 | - |
1987年 | 500 | - |
1986年 | 500 | - |
1985年 | 500 | - |
1984年 | 500 |
25% ↑
|
1983年 | 400 | - |
1982年 | 400 |
100% ↑
|
1981年 | 200 | - |
1980年 | 200 | - |
1979年 | 200 | - |
1978年 | 200 | - |
1977年 | 200 | - |
ブルキナファソのオレンジ生産量は、1977年に200トンという控えめな数値でスタートしましたが、1980年代初頭からしっかりとした増加基調に入り、2022年には624トンに到達しました。このデータは、ブルキナファソが長年にわたって農業生産の向上に取り組み、一部の地域において果樹栽培の重要性が高まっていることを示唆しています。なお、オレンジ生産量は、地域の気候条件、農業技術の進展、政策支援、そして国際市場への対応能力に強く依存しています。
1982年ごろの生産量が約2倍に跳ね上がった背景には、ある程度の技術革新や意識的な農業奨励政策が影響していると考えられます。さらに1990年代後半から2000年代にかけて、生産量は500トン台で一定の増減を繰り返しています。この期間の停滞要因として、干ばつや収穫における困難、インフラ不足が考えられます。また2006年には一時的な下落が見られますが、その後は回復し、2012年以降は総じて600トンを超える水準での推移が維持されています。
2022年時点での624トンという生産量は、ブルキナファソ全体の経済規模や農業への依存度を考慮するとまだ控えめであり、隣国や他のオレンジ生産国と比べると競争力は高くない状況です。例えば、インドやブラジルといった主要なオレンジ生産国では生産量が何百万トンにも達しており、農業インフラや技術、気候条件の違いが大きな要因となっています。同時に、日本や韓国と比較すると、これらの国々は国土における果実生産特化の比率が低いにも関わらず、ここ数十年で品種改良や高付加価値の果実マーケットを創出することで自国経済を牽引しています。
ブルキナファソでは、オレンジの生産量向上に向けた課題として、灌漑設備の整備、品種改良の推進、国際市場との接続性を強化する流通インフラの構築が挙げられます。また、気候変動による干ばつといった地政学的リスクへの対応も欠かせません。近隣諸国との協力体制の強化や農業技術移転の枠組みづくりは、生産性向上の鍵を握るでしょう。たとえば、隣国コートジボワールなど、生産規模の大きな国々との連携を進め、共通の農業振興計画を開発することは技術面だけでなく市場開拓にも寄与すると考えられます。
さらに、ブルキナファソの農業は、国内の社会的安定性にも重要な役割を果たしています。農村地域における雇用創出や生計安定を促進するため、政府の支援やマイクロファイナンスなどを活用した投資促進が急務です。このような施策が、農民一人ひとりの生活向上にも直接的に寄与するため、同国の社会経済の基盤強化につながるでしょう。
最後に、新型コロナウイルスの影響による物流や市場運営の停滞が過去数年間のオレンジ生産量にどれほど影響を及ぼしたかについてもさらなる分析が必要です。世界的な供給チェーンの混乱を教訓に、ブルキナファソ独自の地域特性に対応したフードセキュリティ強化策を立案することが、今後の政策課題として重要です。
結論として、ブルキナファソのオレンジ生産量は長期的な増加傾向にありますが、他国と比較した際の生産競争力や、気候変動や自然災害といった課題への対応がさらなる生産量拡大への大きな壁となっています。これに対して、農業技術向上、インフラ整備、地域協力の推進がこれからの重要な取り組みになるでしょう。国や国際機関は、こうした具体的な対策を講じることでブルキナファソの農業発展を支えるべきです。