国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによると、ブルキナファソにおける羊肉の生産量はこれまで増加傾向を示してきました。1961年の2,600トンから2023年の23,972トンまで徐々に拡大しており、特に1980年代から2000年代にかけては大幅な成長が確認されています。しかし、2015年から2017年の間に一時的な急減があり、その後再び増加に転じています。この推移には、地域の気候変動や社会的、経済的な要因が影響を与えていると考えられます。
ブルキナファソの羊肉生産量推移(1961年~2023年)
| 年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
|---|---|---|
| 2023年 | 23,972 |
1.48% ↑
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| 2022年 | 23,623 |
1.48% ↑
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| 2021年 | 23,279 |
1.48% ↑
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| 2020年 | 22,939 |
3.1% ↑
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| 2019年 | 22,249 |
10.77% ↑
|
| 2018年 | 20,085 |
39.3% ↑
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| 2017年 | 14,419 |
-0.08% ↓
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| 2016年 | 14,430 |
-20.45% ↓
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| 2015年 | 18,140 |
-9.64% ↓
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| 2014年 | 20,075 |
-7.6% ↓
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| 2013年 | 21,726 |
3% ↑
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| 2012年 | 21,093 |
3% ↑
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| 2011年 | 20,479 |
3% ↑
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| 2010年 | 19,882 |
3% ↑
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| 2009年 | 19,304 |
3% ↑
|
| 2008年 | 18,741 |
3.05% ↑
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| 2007年 | 18,187 |
2.95% ↑
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| 2006年 | 17,666 |
3% ↑
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| 2005年 | 17,151 |
3% ↑
|
| 2004年 | 16,652 |
3% ↑
|
| 2003年 | 16,167 |
-6.85% ↓
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| 2002年 | 17,356 |
3% ↑
|
| 2001年 | 16,850 |
3% ↑
|
| 2000年 | 16,359 |
3% ↑
|
| 1999年 | 15,883 |
3% ↑
|
| 1998年 | 15,421 |
3% ↑
|
| 1997年 | 14,972 |
3% ↑
|
| 1996年 | 14,536 |
3% ↑
|
| 1995年 | 14,112 |
3% ↑
|
| 1994年 | 13,702 |
3% ↑
|
| 1993年 | 13,302 |
3% ↑
|
| 1992年 | 12,914 |
3% ↑
|
| 1991年 | 12,539 |
6.09% ↑
|
| 1990年 | 11,819 |
18.34% ↑
|
| 1989年 | 9,988 |
8.56% ↑
|
| 1988年 | 9,200 |
6.48% ↑
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| 1987年 | 8,640 |
8% ↑
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| 1986年 | 8,000 |
5.26% ↑
|
| 1985年 | 7,600 |
5.56% ↑
|
| 1984年 | 7,200 |
-5.88% ↓
|
| 1983年 | 7,650 |
13.84% ↑
|
| 1982年 | 6,720 |
15.07% ↑
|
| 1981年 | 5,840 |
12.31% ↑
|
| 1980年 | 5,200 |
30.33% ↑
|
| 1979年 | 3,990 |
-13.07% ↓
|
| 1978年 | 4,590 |
14.75% ↑
|
| 1977年 | 4,000 |
17.65% ↑
|
| 1976年 | 3,400 |
4.62% ↑
|
| 1975年 | 3,250 |
11.11% ↑
|
| 1974年 | 2,925 |
12.5% ↑
|
| 1973年 | 2,600 |
-32.2% ↓
|
| 1972年 | 3,835 |
-3.91% ↓
|
| 1971年 | 3,991 |
4.07% ↑
|
| 1970年 | 3,835 |
7.27% ↑
|
| 1969年 | 3,575 |
30.95% ↑
|
| 1968年 | 2,730 |
-23.64% ↓
|
| 1967年 | 3,575 |
0.36% ↑
|
| 1966年 | 3,562 |
14.64% ↑
|
| 1965年 | 3,107 |
0.42% ↑
|
| 1964年 | 3,094 |
19% ↑
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| 1963年 | 2,600 | - |
| 1962年 | 2,600 | - |
| 1961年 | 2,600 | - |
ブルキナファソの羊肉生産量のデータは、同国が畜産業における持続可能な発展を模索している状況を示しています。初期の1960年代から1970年代にかけて非常に緩やかながら増加が見られましたが、1980年代に入ると生産量が急速に上昇しました。この背景として、当時の政府による農業政策の強化や、畜産の技術改善が貢献した可能性があります。また、ブルキナファソ独特の農村コミュニティにおける羊の重要性、宗教行事や慣習上の需要拡大も生産量増加を支えたと考えられます。
2000年代以降はほぼ着実な増加が続いていましたが、2015年から2017年の間に大幅な減少が記録されました。この時期は干ばつや不規則な降雨など、環境要因による畜産業への直接的な影響があった可能性が挙げられます。また、同時期にブルキナファソ内外の地域紛争も発生しており、これらが物流の停滞や畜産業労働の一時的な縮小をもたらしたと推察されます。
2020年以降、再び羊肉生産量が回復基調に入り、2023年には過去最高の23,972トンに達しました。この回復は、政府や地域の国際協力による災害対応策や畜産インフラの再整備が奏功した結果とみられます。ただし依然として、気候変動の進行や地域紛争が将来的な不安定要因となる可能性は残っています。
ブルキナファソが直面している課題には、以下の要素が鑑みられます。まず第一に、頻発する干ばつや水不足は、放牧地の劣化や飼料不足を引き起こしており、持続的な生産性を脅かしています。土壌の劣化対策として、牧草地の管理や灌漑技術の導入が推奨されます。さらに、地域紛争や治安の悪化が畜産基盤の破壊や市場の縮小につながるため、平和維持活動や地域統合政策の推進は欠かせない課題です。
また、畜産の効率化と輸出市場の拡大も重要なポイントとなってきます。特に、日本や欧州、アジア諸国における高品質な羊肉需要に応えるため、品質管理技術の導入や検疫システムの強化が求められます。同時に、小農家や地域コミュニティの所得向上を図るためには、適切な金融支援や持続可能な畜産技術の普及が鍵となります。
結論として、ブルキナファソにおける羊肉生産は今後も成長が期待される一方で、気候変動や地域衝突、インフラ不足などの課題を克服することが求められます。同国政府のみならず、国際機関や近隣諸国との協力が必要であり、具体的には技術協力プロジェクトの推進、地域的な紛争解決枠組みの強化、さらに気候変動対策のためのグリーンインフラ投資が求められます。このような取り組みによって、持続可能な畜産業の発展が実現されるでしょう。