国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによれば、ブルキナファソのジャガイモ生産量は、長期的には大きな増加傾向を見せています。一方で、短期的には1983年から2022年にかけて定期的な波動が記録されています。特に、1990年代には生産量が急激に落ち込みましたが、2000年代後半以降には再び上昇し、2010年代では目覚ましい成長を遂げました。最近では2020年以降やや低下が見られますが、全体的な生産量は高い水準を維持しています。最新の2022年の生産量は28,855トンでした。
ブルキナファソのジャガイモ生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 28,855 |
2021年 | 27,376 |
2020年 | 35,274 |
2019年 | 37,000 |
2018年 | 29,000 |
2017年 | 32,000 |
2016年 | 13,000 |
2015年 | 13,000 |
2014年 | 13,000 |
2013年 | 17,000 |
2012年 | 16,098 |
2011年 | 16,760 |
2010年 | 17,385 |
2009年 | 9,793 |
2008年 | 8,443 |
2007年 | 4,776 |
2006年 | 3,909 |
2005年 | 3,121 |
2004年 | 1,376 |
2003年 | 1,200 |
2002年 | 1,129 |
2001年 | 1,395 |
2000年 | 3,376 |
1999年 | 2,200 |
1998年 | 1,362 |
1997年 | 1,554 |
1996年 | 1,230 |
1995年 | 2,356 |
1994年 | 3,581 |
1993年 | 3,775 |
1992年 | 8,000 |
1991年 | 8,200 |
1990年 | 8,058 |
1989年 | 9,605 |
1988年 | 7,966 |
1987年 | 7,876 |
1986年 | 9,188 |
1985年 | 7,459 |
1984年 | 6,000 |
1983年 | 3,000 |
FAOのデータを分析すると、ブルキナファソのジャガイモ生産は1983年に3,000トンという低い水準から始まり、1980年代後半には1万トン近くまで成長しました。しかし、1990年代に入ると、生産量は長期的な減少傾向を見せ、1996年には1,230トンと過去最低値を記録しています。この時期の劇的な減少の背景には、灌漑施設の不足や農業技術の遅れ、さらには気候変動による厳しい干ばつの影響が要因として挙げられます。また、政治的不安定さや資源分配の不均衡も農業生産に悪影響を及ぼした可能性があります。
その後、2000年代中頃から徐々に生産量が回復し、特に2010年には17,385トンと、10年足らずで4倍以上の大幅な増加が記録されました。この急激な成長は、政府と国際機関による農業支援プログラムや農業技術への投資、種子の改良などが影響を与えたと推測されます。また、この時期は降水量も比較的安定しており、天候条件も生産増加を支えた要因と考えられます。
2017年から2019年にかけては3万トンを超える生産量を記録し、2019年には37,000トンと過去最高値に達しました。しかし、2021年以降はやや下落する傾向にあり、2022年の生産量は28,855トンでした。この減少の背景として、地政学的リスクや地域的な衝突による農業環境の悪化が挙げられます。ブルキナファソでは最近、内戦の激化やテロリズムの蔓延が農村部の農業生産に大きな打撃を与えています。加えて、気候変動による干ばつの頻発や降水量の不安定も持続的な生産拡大の妨げとなっています。
ジャガイモは栄養価が高く、特に農村部で食品安全を確保する重要な作物です。しかしブルキナファソは、灌漑施設や農業インフラの整備状況が未だ十分ではありません。また、現地の農業従事者の多くは小規模農家であり、適切な技術や金融支援が不足している状況も課題です。
今後、農業生産をさらに向上させるためには、いくつかの具体策が求められます。第一に、灌漑設備の拡充や農業インフラの整備を加速し、気象条件への依存を軽減する必要があります。第二に、技術教育やトレーニングプログラムを通じて、農業従事者に最新の農業技術を提供することが重要です。また、気候変動に対応した耐乾性や病害抵抗性を備えた品種の導入も効果的です。さらに、金融機関による小規模農家への貸付制度や補助金の拡大を行い、農家が適切な農業資材を入手できる環境を整えるべきです。
地政学的に見ると、ブルキナファソの安定を確保することもジャガイモ生産の持続的発展に欠かせません。国内の政情安定化への取り組みと並行して、隣国との地域協力枠組みを強化し、農業技術や水資源の共有を進めることが必要です。特に西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)などの地域機関との連携を深めることで、相互の農業成長が期待されます。
結論として、ブルキナファソのジャガイモ生産量は数十年にわたり大きく変動してきましたが、特に近年の増加は施策と環境の改善の成果と言えます。一方で、持続的な発展を遂げるためには、基盤的な農業環境の改善に加え、地政学的リスクへの対処や地域間協力の強化が求められます。ブルキナファソ自身の努力はもちろんのこと、国際機関や周辺国からの支援がカギとなるでしょう。