Skip to main content

マダガスカルのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月の最新データによると、マダガスカルにおけるキュウリ類の生産量は1960年代から一貫して増加を見せていましたが、1975年以降には大きな波が見られ始め、2000年代以降は減少傾向に転じています。2023年の生産量は627トンで、ピーク時の1976年の1,105トンと比べると約56.8%減少しています。この減少傾向は、雨量の変動、農業技術の課題、そして経済的・地政学的要因が背景として考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 627
-0.39% ↓
2022年 629
0.08% ↑
2021年 629
-0.01% ↓
2020年 629
-0.21% ↓
2019年 630
0.46% ↑
2018年 627
-0.27% ↓
2017年 629
-0.82% ↓
2016年 634
2.48% ↑
2015年 619
-2.37% ↓
2014年 634
-2.46% ↓
2013年 650
-7.14% ↓
2012年 700
-2.08% ↓
2011年 715
-3.22% ↓
2010年 739
-2.98% ↓
2009年 761
-2.75% ↓
2008年 783
-2.58% ↓
2007年 804
-2.65% ↓
2006年 826
-4.35% ↓
2005年 863
-2.75% ↓
2004年 887
-1.82% ↓
2003年 904
-1.78% ↓
2002年 920
-1.74% ↓
2001年 937
-1.41% ↓
2000年 950
-1.04% ↓
1999年 960
1.05% ↑
1998年 950
-1.04% ↓
1997年 960
1.05% ↑
1996年 950
5.56% ↑
1995年 900
2.17% ↑
1994年 881
2.47% ↑
1993年 860
3.58% ↑
1992年 830
1.18% ↑
1991年 820
0.04% ↑
1990年 820
0.24% ↑
1989年 818
2.25% ↑
1988年 800 -
1987年 800
2.56% ↑
1986年 780
4% ↑
1985年 750
2.74% ↑
1984年 730
4.29% ↑
1983年 700
20.69% ↑
1982年 580
-10.08% ↓
1981年 645
12.17% ↑
1980年 575
-19.58% ↓
1979年 715
18.18% ↑
1978年 605
-34.95% ↓
1977年 930
-15.84% ↓
1976年 1,105
0.91% ↑
1975年 1,095
61.03% ↑
1974年 680
-15% ↓
1973年 800
3.63% ↑
1972年 772
5.03% ↑
1971年 735
5% ↑
1970年 700 -
1969年 700
16.67% ↑
1968年 600 -
1967年 600
20% ↑
1966年 500
11.11% ↑
1965年 450
12.5% ↑
1964年 400
14.29% ↑
1963年 350
16.67% ↑
1962年 300 -
1961年 300 -

マダガスカルはアフリカ大陸の南東部に位置し、温暖な気候と豊かな自然環境を持つ一方で、農業基盤の整備に遅れが見られる国の一つです。キュウリ類においても重要な作物の一つとされますが、その生産量はここ数十年で著しい変動が見られています。

データによると、1961年から1973年にかけて、キュウリ類の生産量は緩やかに増加しましたが、1975年に突然1,095トンという急増を記録し、その後1978年には605トンまで急減しました。このような急激な変動の一因として、当時の農業政策や自然災害の影響が指摘されています。特に1970年代後半には全国的な経済混乱が発生しており、それが農業生産にも影響した可能性があります。

2000年代以降に注目すると、キュウリ類の生産量は低下傾向にあります。2000年の950トンから2023年の627トンへの減少は、農業用地の土壌劣化、適切な灌漑技術の欠如、そして気候変動に伴う干ばつや洪水などの自然災害が背景にあると考えられます。また、農家がキュウリ類ではなく、キャッサバや米などのより安定的な作物の生産に切り替えた点も考慮すべきです。マダガスカルは貧困率が高いため、農家は短期間で利益の見込める作物に依存する傾向があります。

他の国と比較した場合、日本や中国、アメリカといった農業技術が高度化した国々では、キュウリの生産量は安定しているか増加しています。特に科学的な農業手法(例:自動化灌漑や気候予測に基づく栽培手法)の導入は生産量の安定化に寄与しています。一方で、マダガスカルはこれらの技術革新が進んでおらず、それが持続可能な農業の発展を阻む一因と考えられます。

地政学的には、アフリカ南部内での水資源競争がマダガスカルの農業にも影響を与えている可能性があります。また、過去の地域衝突や政情不安がインフラ整備を遅らせ、農業発展に必要な基盤構築を困難にしています。さらに、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、国際貿易や輸送が停滞したことも農業資材の供給に悪影響を与えました。

将来的な対策として、政府および国際社会が協力し、いくつかの具体的な取り組みが必要です。第一に、効率的で持続可能な灌漑システムの導入を支援することです。これにより、水資源の利用効率が向上し、生産性の増加が期待されます。次に、農業教育やトレーニングを通じて、農家に対する技術支援を行うべきです。さらに、農業基盤の強化と自然災害対策の一環として、耐干ばつ性の高い品種の導入も有効です。これらの取り組みは、地元の農業の安定化に直結すると考えられます。

結論として、マダガスカルのキュウリ類生産量に見られる長期的な変動は、地理的・気候的な要因だけでなく、経済的・政策的要因も複雑に絡み合っています。今後、農業分野の持続可能性を確保するためには、地元政府と国際社会の連携が欠かせないでしょう。それに加え、気候変動への適応策や農業技術の向上が、鍵を握っているといえます。

キーワード検索