Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が2024年7月に更新したデータによると、マダガスカルのカリフラワー・ブロッコリーの生産量は1961年から2023年の間で大きく変動してきました。1960年代から1970年代中盤にかけては生産量が増加しましたが、その後は不安定な推移を見せ、1980年代以降は著しい減少傾向が確認されます。最近のデータでは年間生産量が250~300トン程度で推移しており、ピーク時の1973年(1,720トン)から大幅に減少しています。この減少は輸出用野菜としての競争力の低下や気候変動の影響、また国内農業インフラの問題とも関連している可能性があります。
マダガスカルのカリフラワー・ブロッコリー生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 273 |
-0.53% ↓
|
2022年 | 275 |
0.96% ↑
|
2021年 | 272 |
-0.32% ↓
|
2020年 | 273 |
-2.18% ↓
|
2019年 | 279 |
5.57% ↑
|
2018年 | 264 |
-4.06% ↓
|
2017年 | 276 |
-7.32% ↓
|
2016年 | 297 |
16.05% ↑
|
2015年 | 256 |
-17.55% ↓
|
2014年 | 311 |
-4.39% ↓
|
2013年 | 325 |
-2.99% ↓
|
2012年 | 335 |
-6.56% ↓
|
2011年 | 359 |
-5.79% ↓
|
2010年 | 381 |
-5.7% ↓
|
2009年 | 404 |
-5.61% ↓
|
2008年 | 428 |
-5.44% ↓
|
2007年 | 452 |
-5.01% ↓
|
2006年 | 476 |
-10.28% ↓
|
2005年 | 531 |
-4.98% ↓
|
2004年 | 558 |
-2.83% ↓
|
2003年 | 575 |
-2.7% ↓
|
2002年 | 591 |
-2.54% ↓
|
2001年 | 606 |
-2.26% ↓
|
2000年 | 620 |
-1.59% ↓
|
1999年 | 630 |
1.61% ↑
|
1998年 | 620 |
-1.59% ↓
|
1997年 | 630 |
1.61% ↑
|
1996年 | 620 |
1.64% ↑
|
1995年 | 610 |
0.79% ↑
|
1994年 | 605 |
0.87% ↑
|
1993年 | 600 |
1.69% ↑
|
1992年 | 590 |
0.84% ↑
|
1991年 | 585 |
0.88% ↑
|
1990年 | 580 |
1.22% ↑
|
1989年 | 573 |
14.6% ↑
|
1988年 | 500 |
-2.91% ↓
|
1987年 | 515 |
25.61% ↑
|
1986年 | 410 |
-18% ↓
|
1985年 | 500 |
13.64% ↑
|
1984年 | 440 |
100% ↑
|
1983年 | 220 |
100% ↑
|
1982年 | 110 |
100% ↑
|
1981年 | 55 |
-89.22% ↓
|
1980年 | 510 |
40.88% ↑
|
1979年 | 362 |
-67.68% ↓
|
1978年 | 1,120 |
3.23% ↑
|
1977年 | 1,085 |
24.71% ↑
|
1976年 | 870 |
-44.05% ↓
|
1975年 | 1,555 |
12.68% ↑
|
1974年 | 1,380 |
-19.77% ↓
|
1973年 | 1,720 |
44.54% ↑
|
1972年 | 1,190 |
22.05% ↑
|
1971年 | 975 |
8.33% ↑
|
1970年 | 900 | - |
1969年 | 900 |
-10% ↓
|
1968年 | 1,000 |
17.65% ↑
|
1967年 | 850 |
6.25% ↑
|
1966年 | 800 |
6.67% ↑
|
1965年 | 750 |
7.14% ↑
|
1964年 | 700 |
7.69% ↑
|
1963年 | 650 |
8.33% ↑
|
1962年 | 600 |
9.09% ↑
|
1961年 | 550 | - |
マダガスカルのカリフラワーとブロッコリーの生産量データは、同国の農業の動向や地域的条件を理解する上で重要な指標を示しています。本データによれば、生産量は1961年の550トンから70年代初頭にかけて増加し、1973年には1,720トンという記録的な高水準に達しました。この数値は、当時の国内農業の発展と輸出市場への対応が順調であったことを示唆しています。しかし、その後、生産量は急激に下降し、1979年には362トン、1981年にはわずか55トンと歴史的な低水準にまで減少しました。この厳しい減少は、国内外の複数の要因によるものと考えられます。
その一因として、マダガスカルの経済や政策の不安定性が挙げられます。この期間、農業における支援体制やインフラの整備が十分でなかったため、小規模農家が適切な生産方法を継続できなくなった可能性があります。また、天候や気候の変動が生産の安定性を損なったことも考慮されます。同国は熱帯性のモンスーン気候に属しており、大雨や干ばつなどの自然災害が農業に影響を及ぼす可能性が大きい国の一つです。
1980年代以降の生産量の推移を見ても、わずかな回復の兆しは観測されるものの、全体として顕著な減少傾向が続きました。2023年の数値では273トンと、1973年のピーク時から約84%の減少を記録しています。この長期的なトレンドからは、農業従事者の減少や土地の利用効率の低下、さらには輸出用野菜としての競争力低下の影響が伺えます。世界市場では、中国、インド、アメリカなどの主要生産国が豊富な供給量を確保しており、マダガスカルなどの小規模生産国が国際市場でのシェアを保つことがさらに難しくなっています。
さらに、地政学的な背景として、マダガスカルは孤立した島国であり、輸送インフラが未発達であることが輸出市場へのアクセスを制約していると言えます。また、農業支援政策が限られていることも、農家の競争力向上を妨げている要因と考えられます。地元での消費を中心とした市場に依存している農家が多く、外貨獲得への道筋が狭まっています。
この現状を改善するためには、いくつかの具体的な施策が考えられます。まず、農業インフラの整備に注力し、灌漑設備や肥料の供給を安定化させることが重要です。また、気候変動に対応するための耐性の高い作物の導入や、科学的な栽培技術の導入を推進する必要があります。さらに、輸出を拡大するためには輸送インフラの整備や農産物貿易に関する政府間協定の締結が威力を発揮するでしょう。
新型コロナの影響も農業にとって重要な要因であり、供給チェーンの寸断や都市部への人員の移動の制限が農業労働力に影響を及ぼした可能性があります。加えて、自然災害が頻発する地域であることから、これらのリスクを軽減するために国際的な支援を受けることも検討すべきです。
結論として、マダガスカルのカリフラワー・ブロッコリー生産量の推移からは、地域の農業基盤の脆弱性や国際市場での競争力強化の必要性が浮き彫りとなっています。国や国際機関は、資金援助や技術支援を通じて同国の農業の発展を支援する必要があります。同時に、地元農家に対して作物の多様化や市場の多元化を促す施策を進めることで、持続可能な農業の基盤作りが求められます。