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マダガスカルの牛乳生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年に更新したデータによると、マダガスカルの牛乳生産量は1961年に約29万4,000トンから始まり、その後長期的には増加傾向を示してきました。ただし、2000年代には停滞や減少を見せる時期もあり、特に2018年には約47万8,000トンと大きく減少しました。その後は緩やかに回復し、2022年には約49万1,000トンとなっています。一方で1960年代からの他国との比較では規模は依然として小さく、課題が多い状況です。

年度 生産量(トン)
2022年 491,962
2021年 488,491
2020年 476,707
2019年 482,212
2018年 478,059
2017年 545,677
2016年 544,423
2015年 543,272
2014年 539,142
2013年 575,000
2012年 570,000
2011年 560,000
2010年 555,000
2009年 555,000
2008年 549,000
2007年 530,000
2006年 520,000
2005年 510,000
2004年 490,000
2003年 470,000
2002年 475,000
2001年 480,000
2000年 535,000
1999年 530,000
1998年 525,000
1997年 520,000
1996年 515,000
1995年 510,000
1994年 500,000
1993年 495,000
1992年 490,000
1991年 480,000
1990年 477,000
1989年 475,000
1988年 470,000
1987年 466,000
1986年 460,000
1985年 450,000
1984年 465,000
1983年 460,000
1982年 454,000
1981年 450,000
1980年 440,000
1979年 430,000
1978年 427,000
1977年 386,000
1976年 375,000
1975年 370,000
1974年 359,000
1973年 347,000
1972年 337,000
1971年 328,000
1970年 355,000
1969年 353,000
1968年 360,000
1967年 357,000
1966年 354,000
1965年 324,000
1964年 313,000
1963年 312,000
1962年 310,000
1961年 294,000

マダガスカルの牛乳生産推移を過去60年以上にわたり観察すると、1961年の生産量約29万4,000トンから、全体的には徐々に増加しました。例えば、1980年には約44万トン、1990年には約47万7,000トン、2000年には約53万5,000トンと、1年単位で数千トン規模の伸びが見られる時期があります。しかし、2001年以降になると突然の減少期があり、2003年までには約47万トン近くまで落ち込みました。その後持ち直す動きは見られるものの、2018年に再び47万8,000トンにまで生産量が減少しており、この経過に関しては新たな課題が挙げられます。

他国との比較を行うと、中国やインドなどは世界的に急速な農業技術の進展を背景に、同時期に牛乳生産量を飛躍的に増加させてきました。一方で、マダガスカルは農業技術の普及や地域間での乳製品流通の課題が重なり、同様の成長を見せることが困難であったと推測されます。また、日本や韓国、ヨーロッパ諸国(アメリカ、フランス、ドイツなど)では酪農産業が先進的な管理手法を取り入れることで付加価値の高い乳製品供給を実現していますが、マダガスカルの場合、基礎的な設備整備から遅れが見られるのが現状です。

特に2018年の減少は、新型コロナウイルス感染症や天候不順、湿害など農業従事者を取り巻く環境変化が影響した可能性も考えられます。同年以降、徐々に回復の兆しを見せていますが、世界規模で増大する食料需要に対応するためには、さらに一層の努力が求められます。

地政学的な視点から見ると、マダガスカルは地中海性気候のもとで農業が営まれる一方、サイクロンなどの自然災害のリスクが高い地域でもあります。これらの災害は、特定地域の酪農業を毎年のように脅かしており、牛の飼育頭数や牧草供給の減少へつながる可能性があります。また、近年では世界的な資源競争の影響で酪農用飼料や燃料の価格が急騰しており、地元農家にとっては大きな負担となっています。

この現状を踏まえ、牛乳生産量を増加させるためには、いくつかの具体的な対策が必要です。まず、小規模酪農家への技術支援の充実が挙げられます。例えば、安価で耐久性のある設備の提供や、近代的な搾乳技術のトレーニングを普及させることで生産性の向上を図ることができます。また、物流網を強化し、農村部から都市部へ安定的に製品を供給できる仕組みを整えることも重要です。さらに、国際社会や非政府組織(NGO)との協力を深め、災害時には迅速に支援を受けられる体制を作るべきでしょう。

最後に重要なのは、環境の変化や社会的な課題に対応する長期的な計画の導入です。例えば、乾燥地帯向けの耐久性のある牧草栽培、また二酸化炭素排出量削減に寄与する酪農の環境技術導入など、環境と経済の両立を目指す政策が求められます。このように、マダガスカルの牛乳生産量を安定的に増やし、近隣諸国や国際市場で競争力を高めるためには、農業従事者だけでなく、行政や多国間の連携が不可欠です。データが示唆するように、長期的な持続可能性を見据えた政策は、今後のマダガスカル酪農業の成長を左右する大きな鍵となるでしょう。