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マダガスカルのサツマイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、2022年におけるマダガスカルのサツマイモ生産量は1,132,742トンでした。1961年には303,000トンであったことから、過去60年間で生産量が約3.7倍に増加したことになります。一方で、長期的な増加傾向の中にも、生産量の大きな変動が見られ、一部の年には減産が顕著に現れています。また、2005年以降は急激な生産量の伸びが観察されており、特に2010年代後半以降には100万トンを超える高い生産量を維持しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,301,244
14.88% ↑
2022年 1,132,742
-1.33% ↓
2021年 1,148,026
1.77% ↑
2020年 1,128,064
1.34% ↑
2019年 1,113,142
2.22% ↑
2018年 1,088,922
5.25% ↑
2017年 1,034,651
-7.05% ↓
2016年 1,113,176
5.49% ↑
2015年 1,055,248
-7.5% ↓
2014年 1,140,758
2.24% ↑
2013年 1,115,777
1.49% ↑
2012年 1,099,390
-0.32% ↓
2011年 1,102,950
20% ↑
2010年 919,127
0.91% ↑
2009年 910,857
0.91% ↑
2008年 902,665
0.91% ↑
2007年 894,553
0.91% ↑
2006年 886,518
0.91% ↑
2005年 878,500
62.01% ↑
2004年 542,234
10% ↑
2003年 492,940
-0.02% ↓
2002年 493,030
-6.11% ↓
2001年 525,130
2.44% ↑
2000年 512,640
-1.42% ↓
1999年 520,000
1.96% ↑
1998年 510,000 -
1997年 510,000
2% ↑
1996年 500,000
11.11% ↑
1995年 450,000
-19.64% ↓
1994年 560,000
12% ↑
1993年 500,000
10.63% ↑
1992年 451,948
-7.39% ↓
1991年 487,989
0.41% ↑
1990年 486,000
0.58% ↑
1989年 483,200
3.49% ↑
1988年 466,900
0.03% ↑
1987年 466,760
-0.08% ↓
1986年 467,140
3.81% ↑
1985年 450,000
-2.7% ↓
1984年 462,500
-0.11% ↓
1983年 463,000
30.02% ↑
1982年 356,090
-10.66% ↓
1981年 398,575
6.78% ↑
1980年 373,255
2.39% ↑
1979年 364,545
12.18% ↑
1978年 324,960
-16.21% ↓
1977年 387,845
-17.88% ↓
1976年 472,295
69.1% ↑
1975年 279,300
4.46% ↑
1974年 267,380
8.53% ↑
1973年 246,355
-20.95% ↓
1972年 311,625
-4.86% ↓
1971年 327,545
-6.31% ↓
1970年 349,590
-4.69% ↓
1969年 366,785
0.89% ↑
1968年 363,560
1.79% ↑
1967年 357,170
2.47% ↑
1966年 348,545
2.27% ↑
1965年 340,815
0.78% ↑
1964年 338,170
2.48% ↑
1963年 330,000
13.79% ↑
1962年 290,000
-4.29% ↓
1961年 303,000 -

マダガスカルのサツマイモ生産量推移を見ると、1960年代から2020年代にかけて全体的な増加が確認されます。しかし、その一方で一部の時期には大きな減少も記録されています。例えば1960年代後半には比較的安定した増加が見られましたが、1970年代初頭には生産量が大きく落ち込みました。その背景には、同国を襲った自然災害や農業政策の変化、あるいは国際市場の影響が考えられます。1970年代半ば以降は再び増加に転じ、特に2005年以降では急激な伸びを示し、2022年には1,132,742トンという大きな生産量に達しています。

この長期的な増加傾向は、国内の農業技術の向上や作付面積の拡大、あるいはサツマイモの需要増が寄与したと考えられます。サツマイモは、マダガスカルにおいて主食や副産物として広く利用されており、その栄養価の高さや加工品への応用の容易さが、同国の食糧自給率向上に貢献しています。

2011年以降は特に注目すべき年次で、この年には初めて100万トンを超える生産量を達成しました。その後、2014年にはピークとなる1,140,758トンを記録し、以降は100万トンを下回らない生産量を維持しています。ただし、この間にもいくつかの年次にわたり減少が観察され、2015年や2017年には再び生産量が減少しました。この変化の背景には異常気象や土壌劣化の影響が考えられ、これはサツマイモ栽培に耐えうる耕地の保全が課題であることを示唆しています。

また、地政学的な背景も影響を与えています。マダガスカルは他国からの輸入依存を減らし、食糧自給率の向上を目指していますが、過去には国内の政治的不安定や経済問題が農作物生産に影響を及ぼすことがありました。さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、農業従事者や流通に影響が出た可能性も考えられます。幸い、2020年以降のデータでは生産量が早い段階で回復し、継続的な増加が見られます。

未来を考えるにあたり、いくつかの課題と提案が挙げられます。まず、気候変動による異常気象への対応が重要です。サツマイモは比較的耐久性の高い作物とはいえ、土壌の劣化や降雨パターンの乱れが悪影響を及ぼします。そのため、農地の管理技術や灌漑設備の整備を推進する必要があります。また、農業従事者に対する教育および資金支援を通じて、持続可能な農法の確立が求められます。

加えて、国際市場での位置づけを強化するため、サツマイモ加工製品や輸出戦略の確立も重要です。サツマイモは粉末化やチップスなど多岐にわたる製品開発が可能であり、マダガスカルの農業収益を向上させる潜在力を秘めています。国際連合や他国との協力による農業支援プログラムの活用も視野に入れるべきでしょう。

長期的に見ると、マダガスカルのサツマイモ生産は成長の余地を残しつつも、自然災害や社会的課題への対応を求められています。食糧安全保障の観点からも、同国の経験と教訓は他の農業国にも示唆を与えるものです。この分野での取り組みを継続させ、さらなる持続可能な成長を実現することが期待されます。