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マルタのメロン生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、マルタのメロン生産量は、1960年代から2023年までの間に大きな変動を経て、近年では減少傾向が見られます。メロン生産量は1961年の1,329トンから始まり、1990年代半ばにはピークとなる15,430トンを記録しましたが、その後減少に転じ、2023年には1,790トンまで低下しました。この変動には、気候変動や農業生産体制の変化などが関係していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,790
-24.15% ↓
2022年 2,360
3.96% ↑
2021年 2,270
0.44% ↑
2020年 2,260
8.65% ↑
2019年 2,080
-24.64% ↓
2018年 2,760
-3.53% ↓
2017年 2,861
13.32% ↑
2016年 2,525
-15.4% ↓
2015年 2,984
-13.75% ↓
2014年 3,460
-0.35% ↓
2013年 3,472
-6.14% ↓
2012年 3,699
-6.43% ↓
2011年 3,953
35.1% ↑
2010年 2,926
-26.43% ↓
2009年 3,977
-8.13% ↓
2008年 4,329
-5.75% ↓
2007年 4,593
2.82% ↑
2006年 4,467
-13.33% ↓
2005年 5,154
-6.29% ↓
2004年 5,500
3.77% ↑
2003年 5,300
6% ↑
2002年 5,000
-37.5% ↓
2001年 8,000
-42.4% ↓
2000年 13,890
7.67% ↑
1999年 12,900
-16.4% ↓
1998年 15,430
21.69% ↑
1997年 12,680
26.8% ↑
1996年 10,000
26.69% ↑
1995年 7,893
17.28% ↑
1994年 6,730
27.76% ↑
1993年 5,268
33.6% ↑
1992年 3,943
51.65% ↑
1991年 2,600
-3.7% ↓
1990年 2,700
-1.82% ↓
1989年 2,750
5.77% ↑
1988年 2,600 -
1987年 2,600 -
1986年 2,600
4% ↑
1985年 2,500 -
1984年 2,500
2.67% ↑
1983年 2,435
-22.7% ↓
1982年 3,150
31.74% ↑
1981年 2,391
26.98% ↑
1980年 1,883
-8.28% ↓
1979年 2,053
21.41% ↑
1978年 1,691
-1.23% ↓
1977年 1,712
-15.33% ↓
1976年 2,022
77.84% ↑
1975年 1,137
0.8% ↑
1974年 1,128
-38.8% ↓
1973年 1,843
28.97% ↑
1972年 1,429
-28.55% ↓
1971年 2,000
41.54% ↑
1970年 1,413
-0.14% ↓
1969年 1,415
-22.12% ↓
1968年 1,817
-0.6% ↓
1967年 1,828
28.55% ↑
1966年 1,422
-33.33% ↓
1965年 2,133
14.31% ↑
1964年 1,866
-19.57% ↓
1963年 2,320
16% ↑
1962年 2,000
50.49% ↑
1961年 1,329 -

1961年から2023年までのマルタのメロン生産量の推移を見ると、初期の安定した低い生産量(約1,000~3,000トン)から1990年代後半には顕著な増加傾向に転じたことがわかります。特に1992年から1998年までの6年間での急激な伸びは特徴的で、約4,000トンから15,000トン超まで増加しました。この要因としては、農業技術の進展や輸出市場の活性化、また国内政策の支援が寄与した可能性があります。1990年代はマルタの農業にとって最も華やかな時期と言えるでしょう。

しかし、2000年以降に生産量が急減しました。2001年には8,000トン、2002年には5,000トンまで落ち込み、その後も再び増加することなく減少傾向が続いています。2023年にはわずか1,790トンという記録的な低水準に到達しました。この減少の背景には、いくつかの理由が考えられます。まず挙げられるのがマルタの地政学的な制約です。地中海の小国であるマルタでは、気候変動の影響が顕著であり、高温や干ばつが頻発しています。このような環境ストレスが作物全般の生産に大きな影響を及ぼしていると考えられます。また、土地資源の不足や都市化の進行、農業従事者の高齢化も長期的な生産減少の要因として注目されます。

さらに、2008年のリーマン・ショックや2020年の新型コロナウイルス感染症の世界的な流行など、経済的な出来事も農業セクター全体に影響を与えた可能性があります。これにより、国内市場での消費減少や輸出の停滞が発生し、生産性の低迷を助長したと推測されます。また、EU加盟後の農業政策の変化もマルタのメロン生産に影響を与えた一因と考えられます。

未来を見据えると、以下のような課題解決が必要です。まず、持続可能な農業技術の導入は急務です。例えば、高収量品種への切り替えや、効率的な水資源管理を可能にする灌漑技術の採用が挙げられます。また、農業従事者を増やすための政策的支援も欠かせません。若年層に農業の魅力を伝え、彼らがこの産業に参加するきっかけをつくる施策が求められます。さらに、気候変動への適応戦略として、耐暑性や耐乾性を備えた品種の研究開発を促進することも現実的な対策案の一つです。

同時に、地域間での共通課題の解決を図ることも重要です。近隣の地中海諸国との緊密な協力により、気候変動の影響を緩和し、広域的な対策を実施できます。たとえば、農業技術の共有や共同研究プロジェクトを実施することで、地中海全体の農業生産基盤の強化が期待できます。

結論として、マルタのメロン生産は長期的には減少傾向にあるものの、これを改善する具体的な方法は存在します。農業技術の持続可能性を高め、気候変動への適応能力を強化し、地域協力を深めることにより、将来的には生産量を安定させ、再び増加傾向へ転じる可能性があると言えるでしょう。