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マルタのカリフラワー・ブロッコリー生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、2023年現在、マルタにおけるカリフラワー・ブロッコリーの生産量は4,670トンと報告されています。過去60年以上のデータを平坦化すると、全体的に生産量は波があるものの、特に1990年代半ばから増加傾向を示しました。ただし、近年は減少に転じ、特に2020年代には不安定な数値が見られます。このような動向は、天候条件、農業政策、地域経済の変化などが影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 4,670
0.65% ↑
2022年 4,640
-14.71% ↓
2021年 5,440
14.29% ↑
2020年 4,760
-9.16% ↓
2019年 5,240
-3.32% ↓
2018年 5,420
-10.55% ↓
2017年 6,059
-10.58% ↓
2016年 6,776
16.91% ↑
2015年 5,796
-13.01% ↓
2014年 6,663
1.57% ↑
2013年 6,560
16.31% ↑
2012年 5,640
-17.68% ↓
2011年 6,851
9.56% ↑
2010年 6,253
15.26% ↑
2009年 5,425
-11.62% ↓
2008年 6,138
-5.76% ↓
2007年 6,513
0.46% ↑
2006年 6,483
-0.73% ↓
2005年 6,531
18.08% ↑
2004年 5,531
100.4% ↑
2003年 2,760
-41.99% ↓
2002年 4,758
9.94% ↑
2001年 4,328
-31.62% ↓
2000年 6,329
-13.09% ↓
1999年 7,282
12.1% ↑
1998年 6,496
-10.16% ↓
1997年 7,231
11.25% ↑
1996年 6,500
21.65% ↑
1995年 5,343
15.62% ↑
1994年 4,621
21.66% ↑
1993年 3,799
21.25% ↑
1992年 3,133
1.88% ↑
1991年 3,075
6.85% ↑
1990年 2,878
-4.07% ↓
1989年 3,000 -
1988年 3,000 -
1987年 3,000 -
1986年 3,000 -
1985年 3,000 -
1984年 3,000
2.18% ↑
1983年 2,936
14.6% ↑
1982年 2,562
0.75% ↑
1981年 2,543
-31.93% ↓
1980年 3,736
7.36% ↑
1979年 3,480
-11.18% ↓
1978年 3,918
10.62% ↑
1977年 3,542
7.73% ↑
1976年 3,288
-12.83% ↓
1975年 3,772
3.54% ↑
1974年 3,643
8.75% ↑
1973年 3,350
-21.47% ↓
1972年 4,266
15.36% ↑
1971年 3,698
31.51% ↑
1970年 2,812
-41.57% ↓
1969年 4,813
-1.72% ↓
1968年 4,897
13.65% ↑
1967年 4,309
108.77% ↑
1966年 2,064
12.66% ↑
1965年 1,832
-20.42% ↓
1964年 2,302
-1.54% ↓
1963年 2,338
1.65% ↑
1962年 2,300
-11.54% ↓
1961年 2,600 -

FAOがまとめた1961年から2023年までのデータでは、マルタのカリフラワー・ブロッコリー生産量は、大部分で数千トン規模の推移を示してきました。1960年代は、1,800~4,800トンと著しい変動を記録しました。この時期の生産量の不安定さは、気候条件や農業技術がまだ進んでいなかったこと、また輸送インフラの整備状況が限定的だったことが要因として考えられます。一方、1990年代中盤から2000年代中盤にかけては生産量が急激に増加し、1997年には過去最高の7,282トンを記録しました。

こうした1990年代から2000年代初頭の拡大傾向は、農業技術の向上、品種改良、EU加盟に伴う補助金政策などが影響していると分析できます。特にEU加盟のプロセスを踏む中で、農作物に関連した政策支援や施設整備が行われたことが成果に結びついたと考えられます。しかし、この好調な時期の後、2018年以降のデータを見ると、生産量は減少傾向に入りました。2020年には4,760トン、2023年には4,670トンと、1990年代の水準に逆戻りしている現状です。

この減少の背景には、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる供給チェーンの混乱や、人材不足、農家の高齢化が挙げられます。さらに、気候変動による異常気象の頻発も、影響を与えています。例えば、近年マルタを含む地中海地域では、干ばつや高温の影響で農作物の生産量が不安定化していることが指摘されています。また、他国からの安価な輸入野菜が市場を席巻することで、マルタ国内での生産意欲が減退した可能性もあります。

マルタの生産推移を見ると、現地農業が直面する課題を明確にする良い事例といえます。即応すべき問題としては、まず気候変動への適応策の強化が求められます。例えば、耐乾性の高い作物の導入や農業灌漑システムの革新が挙げられます。また、農業経済の多様化を図り、農家が収入源を分散できるようにしなければなりません。これには、観光産業との連携を強化し、「マルタ産」のブランド価値を高める工夫が有効でしょう。

さらに、地域間での協力体制を構築し、予測可能な形で交渉を進めることが必要です。他のEU加盟国や近隣地域と連携して、マーケットの安定化を図る施策が役立つはずです。また、地政学的リスクにも目を向けるべきです。ウクライナ危機によるエネルギーコストの高騰や肥料の値上がりが、間接的に農産物の生産コストに影響を与えている可能性があります。これらの外的要因を克服するためには、エネルギー効率化をサポートする政策や国際的な資源協力の枠組みが欠かせません。

結論として、マルタのカリフラワー・ブロッコリー生産量の推移は、同国農業の発展とその限界を浮き彫りにしています。国際機関やEUと連携して、環境変化に耐えうる農業基盤を整えることが重要です。具体的には、省エネルギー型施設整備、農業人材の確保、輸出入管理の改善が必要です。未来志向の対策を講じることで、持続可能な農業を支える一助とするべきでしょう。