Skip to main content

マルタのジャガイモ生産量推移(1961年~2023年)

国連食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、マルタのジャガイモ生産量は1961年の25,349トンに始まり、1997年に40,493トンでピークを迎えましたが、その後は劇的に減少しています。特に2010年代以降の生産量は著しく低下し、2022年には7,120トンとなりました。このデータは、マルタ特有の地理的、気候的要因に加え、農業従事者の減少や経済的な構造変化が影響していることを示唆しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 5,500
-22.75% ↓
2022年 7,120 -
2021年 7,120
-10.89% ↓
2020年 7,990
-11.12% ↓
2019年 8,990
-3.95% ↓
2018年 9,360
7.09% ↑
2017年 8,740
28.06% ↑
2016年 6,825
-14.87% ↓
2015年 8,017
-36.17% ↓
2014年 12,559
-0.67% ↓
2013年 12,644
-0.37% ↓
2012年 12,691
-32.92% ↓
2011年 18,919
21.74% ↑
2010年 15,541
54.35% ↑
2009年 10,069
-47.01% ↓
2008年 19,000
34.31% ↑
2007年 14,146
-23.33% ↓
2006年 18,450
-5.47% ↓
2005年 19,518
-14.33% ↓
2004年 22,783
-2.25% ↓
2003年 23,308
-15.35% ↓
2002年 27,536
8.67% ↑
2001年 25,339
-27.54% ↓
2000年 34,969
-3.6% ↓
1999年 36,274
0.43% ↑
1998年 36,117
-10.81% ↓
1997年 40,493
26.54% ↑
1996年 32,000
-0.62% ↓
1995年 32,200
0.63% ↑
1994年 32,000
18.52% ↑
1993年 27,000
12.5% ↑
1992年 24,000
35.59% ↑
1991年 17,700
4.12% ↑
1990年 17,000
-2.86% ↓
1989年 17,500
25% ↑
1988年 14,000
-6.67% ↓
1987年 15,000
7.14% ↑
1986年 14,000
7.69% ↑
1985年 13,000
-7.14% ↓
1984年 14,000
-7.68% ↓
1983年 15,164
21.45% ↑
1982年 12,486
-15.89% ↓
1981年 14,845
-45.01% ↓
1980年 26,995
23.93% ↑
1979年 21,783
24.77% ↑
1978年 17,458
-13.85% ↓
1977年 20,264
-8.22% ↓
1976年 22,078
20.39% ↑
1975年 18,338
-10.24% ↓
1974年 20,430
3.82% ↑
1973年 19,678
-11.75% ↓
1972年 22,297
18.56% ↑
1971年 18,806
8.36% ↑
1970年 17,355
-23.03% ↓
1969年 22,548
17.77% ↑
1968年 19,145
4.33% ↑
1967年 18,351
11.51% ↑
1966年 16,457
-0.63% ↓
1965年 16,562
-24.39% ↓
1964年 21,904
-17.46% ↓
1963年 26,536
4.68% ↑
1962年 25,349 -
1961年 25,349 -

マルタのジャガイモ生産量の推移を見ると、1960年代から1990年代にかけて比較的安定していたものの、1997年の40,493トンでピークに達した後、以降は急速に低下しています。2000年代に入り、年を追うごとに減産が進み、2010年代以降は特に深刻な減少を示しました。2022年の生産量である7,120トンは、1961年の約3分の1に相当します。

この生産量の変化の背景には、いくつかの要因が考えられます。まず、マルタは地中海に位置する小規模な島国で、国土面積の制約が農地の拡大を困難にしています。都市化の進展や観光業の発展が進むにつれ、農業に利用できる土地が減少しています。また、気候変動の影響も深刻です。地中海地域全体では降雨量の減少と気温の上昇が観測されており、特にマルタのような小規模な農業国にとって、水資源の確保は農業生産に大きな課題となっています。

他にも、農業従事者の減少が問題視されています。産業構造の転換により、若年層が農業を敬遠し他業種へ移る傾向が強まりました。そのため、経験豊富な農業従事者が高齢化し、人手不足が生産量の低下につながっています。また、マルタの農業セクターは主に中小規模の農家によって支えられていますが、こうした農家は市場価格の変動や輸入農産物との競争の影響を強く受けやすいです。

さらに、地政学的なリスクの影響も無視できません。マルタは地中海の中央に位置しており、周辺地域の紛争や気候変動による移民の流入が社会的・経済的負担を増加させています。加えて、輸送コストの高騰や供給チェーンの影響が、農業資材の確保や生産の効率化に影響を与えている可能性も考えられます。

以上の課題に対して、いくつかの具体的な対策が求められます。まず、気候変動への対応として、灌漑技術の改善や水資源の管理を通じて、干ばつに強い農業システムの構築を進めるべきです。また、農業従事者の減少を食い止めるため、農業に若者を取り込むプログラムや研修機会を提供することが重要です。さらに、地元農産物の競争力を強化するために、生産者と小売業者の連携を促進し、地元産品に対する付加価値を向上させる取り組みも必要です。

今後、マルタ政府だけでなく、国際機関や近隣諸国との連携を強化し、資源共有や技術協力を進めることも有効でしょう。例えば、EU内での協力プログラムを利用し、農業資源やマーケティングの戦略を共有することが考えられます。また、国際的にも注目される気候変動問題に対しグローバルな支援を引き出し、長期的な解決策を模索することが求められます。

マルタのジャガイモ生産量の現状は、単なる統計データではなく、これに関わる農家や地域社会の将来にも影響を与えています。水資源の管理や人材育成などの具体的な対策を講じることで、持続可能な農業を実現し、地域の発展に寄与することが重要です。