国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2020年度のブルーベリー生産量ランキングによると、世界最大のブルーベリー生産国はアメリカ合衆国で、生産量は315,520トンに達しました。2位はペルーで179,305トン、3位はカナダで148,465トンです。これら上位3か国が世界全体の生産量の大部分を占めています。一方、ヨーロッパを含む他の地域では分散した規模で生産が行われており、ポーランド(55,300トン)やスペイン(48,520トン)などが存在感を示しています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
北アメリカ | 315,520 |
| 2 |
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南アメリカ | 179,305 |
| 3 |
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北アメリカ | 148,465 |
| 4 |
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南アメリカ | 128,619 |
| 5 |
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ヨーロッパ | 55,300 |
| 6 |
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南アメリカ | 50,293 |
| 7 |
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ヨーロッパ | 48,520 |
| 8 |
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アフリカ | 34,000 |
| 9 |
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ヨーロッパ | 15,420 |
| 10 |
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ヨーロッパ | 11,300 |
| 11 |
|
ヨーロッパ | 9,200 |
| 12 |
|
ヨーロッパ | 7,881 |
| 13 |
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ヨーロッパ | 6,750 |
| 14 |
|
オセアニア | 6,159 |
| 15 |
|
オセアニア | 3,681 |
| 16 |
|
ヨーロッパ | 3,600 |
| 17 |
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ヨーロッパ | 1,570 |
| 18 |
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ヨーロッパ | 1,170 |
| 19 |
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ヨーロッパ | 720 |
| 20 |
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ヨーロッパ | 700 |
| 21 |
|
アジア | 662 |
| 22 |
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ヨーロッパ | 650 |
| 23 |
|
ヨーロッパ | 650 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 600 |
| 25 |
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ヨーロッパ | 600 |
| 26 |
|
ヨーロッパ | 420 |
| 27 |
|
ヨーロッパ | 150 |
| 28 |
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ヨーロッパ | 110 |
| 29 |
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ヨーロッパ | 110 |
| 30 |
|
ヨーロッパ | 90 |
| 31 |
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ヨーロッパ | 80 |
| 32 |
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ヨーロッパ | 40 |
| 33 |
|
ヨーロッパ | 23 |
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2020年度のブルーベリー生産ランキングは、世界各国における農業の特色と地理的条件を反映したものです。世界第1位であるアメリカ合衆国の生産量315,520トンは、栽培面積の広さと高度な農業技術、さらに輸出市場での優位性によるものです。アメリカ産ブルーベリーは品質が評価され、特に北米市場を中心に大きな需要を持っています。2位のペルーは、近年急速に地位を高めた国です。南米の気候の恩恵を受けた持続的な栽培条件と、効率的な輸出体制が結果に繋がっています。全体的に、トップ5の国(アメリカ、ペルー、カナダ、チリ、ポーランド)が主要な生産を占め、多くの国の生産量を大幅に上回っています。
生産の分布を見ると、南北アメリカが主な生産地域として台頭している一方で、ヨーロッパ諸国では中規模の産出が行われています。ポーランド、スペイン、モロッコといった国々は、それぞれの国内市場に加えて欧州内での需要を支えています。アジアやオセアニア地域では生産量がやや少ない傾向にありますが、オーストラリアやニュージーランド、ロシア連邦などもその気候条件に応じた生産活動を展開しています。
しかしながら、このデータはブルーベリー栽培における課題も浮き彫りにしています。第一に、栽培地が特定の地域に偏っており、生産量も集中しています。その結果、主要生産国に異常気象や疫病の影響が及ぶと、世界全体の供給量に大きな影響を与える恐れがあります。たとえば、アメリカやペルーのような主要輸出国に異常気象や労働力不足が発生した場合、多くの国で供給不足が生じる可能性があります。
さらに、環境負荷も重要な課題です。ブルーベリー栽培は灌漑や肥料使用の観点で環境への影響が指摘されています。特に、水資源が限られた土地での集中的な灌漑は地域生態系に負担となる場合があります。また、輸出市場向けの大規模な生産はフードマイル(→食品輸送距離が環境に与える影響の指標)の問題も無視できません。ペルーやチリからアメリカ、ヨーロッパへの長距離輸送は炭素排出量の増加を引き起こし、持続可能性への課題を提示しています。
ブルーベリー生産の拡大が求められる未来に向けて、各国および国際機関にはいくつかの取り組みが示唆されます。その一つは、生産地の多様化を図ることです。ブルーベリー栽培に適した新地域を見つけ、資源を分散化することでリスクを軽減できるでしょう。また、持続可能な農法の導入が急務です。省水型灌漑技術や、化学肥料削減のための有機農業の推進が鍵となります。さらに、輸出国と消費国の間の協力関係を強化し、物流の効率化とフードマイル削減を目指すべきです。
最後に、消費者側ではブルーベリーの栄養価に基づいた需要が引き続き増加すると予測されます。健康志向の高まりやスーパーフードとしての位置づけが世界市場を拡大しています。しかし、この需要に対応するためには、生産が影響を受けにくい体制を整えると同時に、環境および社会的な持続可能性も考慮した取り組みが不可欠です。国際的な連携を通じて、ブルーベリー生産の課題を克服し、消費者と環境に優しい農業を実現することが期待されます。