最新のFood and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)のデータによると、スウェーデンのブルーベリー生産量は近年目覚ましい増加を見せています。1960年代から1980年代初頭までは1,000~3,000トンの範囲で推移していましたが、1990年から2000年にかけて極端に低下しました。その後、2000年代以降徐々に回復し、2010年代半ばには急速な成長を遂げ、2022年には100トンに達しました。特に2010年以降の増加は顕著で、年々着実に生産量が増加しています。
スウェーデンのブルーベリー生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 120 |
20% ↑
|
2022年 | 100 | - |
2021年 | 100 |
11.11% ↑
|
2020年 | 90 | - |
2019年 | 90 |
12.5% ↑
|
2018年 | 80 |
14.29% ↑
|
2017年 | 70 |
16.67% ↑
|
2016年 | 60 | - |
2015年 | 60 | - |
2014年 | 60 |
50% ↑
|
2013年 | 40 | - |
2012年 | 40 |
33.33% ↑
|
2011年 | 30 | - |
2010年 | 30 |
50% ↑
|
2009年 | 20 | - |
2008年 | 20 | - |
2007年 | 20 |
100% ↑
|
2006年 | 10 | - |
2005年 | 10 | - |
2004年 | 10 | - |
2003年 | 10 |
73.91% ↑
|
2002年 | 6 |
116.17% ↑
|
2001年 | 3 |
297.01% ↑
|
2000年 | 1 |
3.08% ↑
|
1999年 | 1 |
1.56% ↑
|
1998年 | 1 |
1.59% ↑
|
1997年 | 1 |
1.61% ↑
|
1996年 | 1 |
1.64% ↑
|
1995年 | 1 |
1.67% ↑
|
1994年 | 1 |
3.45% ↑
|
1993年 | 1 |
1.75% ↑
|
1992年 | 1 |
1.79% ↑
|
1991年 | 1 | - |
1990年 | 1 |
-99.98% ↓
|
1989年 | 2,350 | - |
1988年 | 2,350 |
-2.08% ↓
|
1987年 | 2,400 |
-5.88% ↓
|
1986年 | 2,550 |
-5.56% ↓
|
1985年 | 2,700 |
-10% ↓
|
1984年 | 3,000 | - |
1983年 | 3,000 | - |
1982年 | 3,000 |
-3.23% ↓
|
1981年 | 3,100 |
-3.13% ↓
|
1980年 | 3,200 |
-3.03% ↓
|
1979年 | 3,300 |
3.13% ↑
|
1978年 | 3,200 | - |
1977年 | 3,200 |
28% ↑
|
1976年 | 2,500 |
4.17% ↑
|
1975年 | 2,400 |
-4% ↓
|
1974年 | 2,500 |
13.64% ↑
|
1973年 | 2,200 |
-8.33% ↓
|
1972年 | 2,400 |
84.62% ↑
|
1971年 | 1,300 | - |
1970年 | 1,300 |
4% ↑
|
1969年 | 1,250 |
2.46% ↑
|
1968年 | 1,220 | - |
1967年 | 1,220 |
1.67% ↑
|
1966年 | 1,200 | - |
スウェーデンのブルーベリー生産量の変遷を観察すると、いくつかの特徴的な傾向が浮かび上がります。1966年から1989年までの期間では、生産量はおおむね安定して推移しており、2,000~3,000トンが平均的な数値でした。しかし1990年以降の約10年間、ブルーベリー生産量はほぼ停止状態と言えるレベルまで低下し、1990年から2000年にかけて1トンを維持する状況が続きました。この劇的な減少には、環境的な制約や市場動向、労働力不足などが関与したと考えられます。
2001年以降、生産量は徐々に回復しはじめましたが、その回復曲線は緩やかなものでした。しかし、2010年頃から明確な上昇トレンドが見えてきました。この背景には、気候の変化や栽培技術の改良、政策による農業支援の強化が関連していると考えられます。特に、2010年代後半には一層の成長が見られ、2018年以降には毎年10トン以上の増加を記録し、2022年には遂に100トンに到達しました。ブルーベリー産業への投資が増え、国内外でスーパーフードとしてのブルーベリーの需要が高まったことも、この成長を後押ししたと言えるでしょう。
一方で、気候変動の影響や土地利用の変化は、スウェーデンのブルーベリー産業にとって依然として克服すべき課題です。例えば、異常気象による収穫量の不安定化や、それに伴う価格変動が小規模農家に悪影響を及ぼす可能性があります。また、1990年代のような大幅な生産量低下が再発しないためにも、自然災害や病害虫対策を含む長期的な対策が必要と言えます。
この点を踏まえ、スウェーデン政府や農業団体には、ブルーベリー生産を支える持続可能な栽培モデルの構築が求められます。例えば、精密農業技術の導入や、気候変動適応型の農法の推進が挙げられるでしょう。さらに、地域間協力の枠組みを拡大し、労働力確保のための移民政策を適切に整備することも重要です。国内市場だけでなく、国際市場での競争力を高めるために、品質管理や輸出促進活動を強化することも不可欠です。
結論として、スウェーデンのブルーベリー生産量は、長い低迷期を経た後、着実な回復と発展を遂げています。しかし、今後も市場需要の変化や気候リスクなど、多くの課題があります。これらに対処するための科学的アプローチと政策的支援が、ブルーベリー産業のさらなる成長と持続可能性を確保する鍵となるでしょう。国際市場での需要増や健康志向の高まりに対応しながら、安定した供給体制を構築するための努力が期待されます。