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ウズベキスタンのレモン・ライム生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したウズベキスタンのレモン・ライム生産量に関する最新のデータ(2024年7月更新)によれば、2023年の生産量は11,161トンで、前年の10,601トンから約560トンほど増加しています。特に2014年以降、生産量は大幅に増加しており、1990年代から2000年代の年間500~1,000トン程度の水準から急成長しています。この動きはアジア中央部における果実栽培の発展や、国際市場への供給拠点としての役割が高まっていることを示しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 11,161
5.28% ↑
2022年 10,601
12.78% ↑
2021年 9,400
1.08% ↑
2020年 9,300 -
2019年 9,300
-18.42% ↓
2018年 11,400
235.29% ↑
2017年 3,400
1.1% ↑
2016年 3,363
11.92% ↑
2015年 3,005
41.37% ↑
2014年 2,125
325.06% ↑
2013年 500
-44.44% ↓
2012年 900
12.5% ↑
2011年 800
14.29% ↑
2010年 700
16.67% ↑
2009年 600
20% ↑
2008年 500 -
2007年 500
0.6% ↑
2006年 497
-37.88% ↓
2005年 800
29.03% ↑
2004年 620
-22.5% ↓
2003年 800
-16.67% ↓
2002年 960
-4% ↓
2001年 1,000 -
2000年 1,000
100% ↑
1999年 500
-16.67% ↓
1998年 600
33.33% ↑
1997年 450
-18.26% ↓
1996年 551
10.11% ↑
1995年 500
-10.81% ↓
1994年 561
0.5% ↑
1993年 558
11.56% ↑
1992年 500 -

ウズベキスタンにおけるレモン・ライム生産は、初期の1990年代から2000年代初頭にかけて比較的小規模に維持され、年間生産量は500~1,000トンの範囲を推移していました。これは、この期間の中央アジア全体で見られる農業発展の停滞、および同国の経済的な課題に起因していると考えられます。しかしながら、2014年以降、ウズベキスタンの生産量は急激に増加しました。同年に2,125トンに達し、2018年には一気に11,400トンに跳ね上がるという驚異的な成長を記録しています。その後も安定して高水準を維持しており、2023年には11,161トンと、過去最高の水準に近い数値を達成しています。

この生産量の急増は、幾つかの背景要因に起因していると考えられます。一つは、ウズベキスタン政府による農業政策の改革です。同国は、農地の集約化や灌漑設備の改善などの技術的施策によって、生産性の向上を目指しました。また農産物の輸出振興策により、地域の農家がより大規模な国際市場を対象とした生産を行うようになっています。さらに中央アジアという地理的条件を生かし、ウズベキスタンが周辺諸国やヨーロッパ、さらには中国・韓国などへの輸出基盤を強化したことも、生産量拡大の要因として捉えられます。

一方で、この成長には課題も存在します。レモン・ライム栽培には十分な水資源が必要ですが、ウズベキスタンは水資源が限られる地域です。アラル海の縮小問題や灌漑の過剰利用が進んでおり、持続可能な農業を維持するためには水管理のさらなる改善が必要です。また、気候変動による干ばつリスクや気温の変動も、中長期的に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対応するためには、温室栽培技術や気候に適応した作物栽培法の導入が求められます。

さらに、国際市場への依存度の高さもリスク要因となり得ます。特に新型コロナウイルスのパンデミック時に見られたように、物流の途絶や需要の急減は輸出型農業国家にとって深刻な打撃を与える可能性があります。このため、外需依存のバランスを適切に調整するために、国内市場向けの販売促進や多角的な販売網の構築も重要です。

将来的な対策として、ウズベキスタンが取るべき具体的な施策には、灌漑技術と水資源管理の改善が挙げられます。この取り組みは、効率的な水利用を確保することで、果実栽培だけでなく他の農作物の持続可能な生産にも寄与するでしょう。また、教育プログラムを通じて農民への技術的支援を強化することも有効です。国内外の研究機関や国際援助機関と連携し、持続可能な農業技術の導入を推進することが望まれます。

結論として、ウズベキスタンのレモン・ライム生産量は過去30年間で顕著な成長を遂げており、特に2014年以降の急増は国の農業政策と市場戦略が功を奏した結果といえます。一方で、水資源や気候変動といった課題は解決すべき重要な問題であり、特に環境負荷を軽減しながら持続可能な生産を確保する取り組みが必要不可欠です。今後は、農産物の品質向上や市場のさらなる多様化を目指し、持続可能な農業経営を実現するための包括的な戦略が求められます。