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ウズベキスタンのテンサイ(甜菜)生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、ウズベキスタンのテンサイ(甜菜)の生産量は、過去30年に大きな変動を見せています。一時的に数十万トン規模で生産量が急増した時期もあった一方で、長期的には低迷し、近年では年間2,000トンを下回る水準に落ち込んでいます。2023年時点の生産量は1,764トンで、最盛期にあたる1999年の227,000トンとは大きな隔たりがあります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,764
-10.88% ↓
2022年 1,979
-18.99% ↓
2021年 2,443
-21.19% ↓
2020年 3,100
24% ↑
2019年 2,500
1150% ↑
2018年 200
-92.31% ↓
2002年 2,600
-95.74% ↓
2001年 61,100
-40.27% ↓
2000年 102,300
-54.93% ↓
1999年 227,000
89.17% ↑
1998年 120,000
39.53% ↑
1997年 86,000
3483.33% ↑
1996年 2,400
-83.1% ↓
1995年 14,200
-36.89% ↓
1994年 22,500
-4.66% ↓
1993年 23,600
112.61% ↑
1992年 11,100 -

ウズベキスタンのテンサイ生産は、歴史的に見ると、1990年代から2000年代初頭に一時的な成長を経験しました。一連のデータから、1997年の86,000トンや1999年の227,000トンという生産量は、同国がテンサイを主要農作物のひとつとして位置づけていた当時の農業政策を反映しています。しかしその後、生産量は急激に低下し、2002年にはわずか2,600トンにまで減少しました。その要因としては、経済状況の不安定化や灌漑インフラの劣化、国際市場の変化などが考えられます。

最近のデータを見ると、生産量は2020年に3,100トンまで回復しましたが、2023年には1,764トンと再び減少に転じています。この動向は、ウズベキスタンにおけるテンサイ農業が依然として持続可能な体制を築けていないことを示しています。また、世界全体の中でウズベキスタンが占めるシェアもきわめて小さい状態です。例えば、同じ中央アジア地域ではカザフスタンが比較的安定した収穫量を維持しており、この差は灌漑や農業技術への投資の違いに起因している可能性があります。

さらに、この生産低迷には気候変動や資源競争といった地政学的背景も影響を及ぼしています。ウズベキスタンは内陸国であり、農業は主にアムダリア川とシルダリア川の流域に依存していますが、これらの地域では水資源を巡る隣国との争いが深刻化しており、水の安定供給が妨げられることが想定されます。テンサイの生産には適切な水分管理が不可欠であるため、こうした状況も生産量低迷の一因と思われます。

また、新型コロナウイルスの世界的な流行によりサプライチェーンが混乱したことで、種子や肥料、農業機械などの輸入において課題が生じた可能性も考えられます。この影響が2020年以降の生産量の回復を妨げているとも捉えられます。

このような状況を踏まえ、ウズベキスタンがテンサイ農業を復活・発展させるためにはいくつかの具体的な施策が求められます。まず、被災性の高い水管理インフラの整備を進め、周辺諸国との協力体制を確立することが重要です。また、より耐乾性に優れた品種の導入や現地農家への技術支援、持続可能な栽培方法の啓発も必要です。さらに、国内外の需要動向を分析することで、テンサイ生産を経済的に有利な作物として成長させる戦略が求められます。

結論として、ウズベキスタンのテンサイ生産量動向は、地政学的な問題や気候変動、経済的要因に大きな影響を受けており、回復には多角的なアプローチが不可欠です。国際機関の支援を積極的に活用しつつ、地域間協力の枠組みを活用して、水資源と農業インフラの再構築に努めることが適切でしょう。これにより、農業の活性化と地域経済の安定化という二つの課題を同時に克服することが期待されます。