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モルドバ共和国のネギ生産量推移(1961年~2023年)

モルドバ共和国のネギ生産量は、1990年代初頭に100トンで始まり、その後1994年から1996年の期間にかけて500トンに増加しました。しかし1997年以降は減少傾向が見られ、2004年から2007年には再度100トンまで低下しました。2008年以降は生産量が徐々に回復し、一時的な変動はありますが2013年以降は概ね200トンから400トン台で推移しています。2023年の生産量は365トンでした。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 365
-0.19% ↓
2022年 366
1.25% ↑
2021年 361
-1.88% ↓
2020年 368
0.1% ↑
2019年 368
5.78% ↑
2018年 348
-10.61% ↓
2017年 389
6.06% ↑
2016年 367
22.22% ↑
2015年 300
-40% ↓
2014年 500
66.67% ↑
2013年 300
50% ↑
2012年 200 -
2011年 200 -
2010年 200 -
2009年 200 -
2008年 200
100% ↑
2007年 100 -
2006年 100 -
2005年 100 -
2004年 100
-36.64% ↓
2003年 158
-11.38% ↓
2002年 178
-12.01% ↓
2001年 202
-20.49% ↓
2000年 255
-17.93% ↓
1999年 310
-10.3% ↓
1998年 346
-10.89% ↓
1997年 388
-22.38% ↓
1996年 500 -
1995年 500 -
1994年 500
400% ↑
1993年 100 -
1992年 100 -

モルドバ共和国のネギ生産量の変遷を追うと、この国の農業や経済の動向、さらには地政学的背景が大きく影響していることが見受けられます。データによると、1994年から1996年にかけて生産量が500トンにまで達しましたが、それ以前の1992年から1993年はわずか100トンにとどまっていました。この急激な上昇は、1991年のモルドバ独立とその後の農業政策の転換が関係しています。当初の努力により、農業生産が活性化しましたが、1997年以降は再び下降線をたどり始めました。

この減少傾向の背景には、モルドバの経済基盤の脆弱性が存在します。1990年代後半には、旧ソ連崩壊後の経済混乱が続き、多くの農家が農業経営を維持することが困難でした。また、地政学的には、ロシアとの貿易関係の不安定さや、隣国ウクライナを巡る紛争の影響が周辺国に波及し、この国の農業にも間接的な打撃を与える要因となりました。

2004年から2007年にかけて生産が100トンにまで減少した時期には、農業セクター全体が特に落ち込んでいたことが見て取れます。この時期、モルドバでは気候変動の影響による極端な天候(例えば干ばつや豪雨)が発生しており、収穫時期の中断や悪化を招いた可能性があります。その後、2008年以降は少しずつ生産量が回復し、2013年には300トン、2014年には再び500トンに達しましたが、これが計画的な農業振興策や市場へのアクセス拡大によるものであったと推測できます。

近年のデータを見ると、生産量は概ね安定をしていますが、500トンを上回る高水準には戻っておらず、2021年から2023年は360トン台でほぼ横ばい状態です。他国の状況と比較すると、例えば中国やインドではネギを含む農産物の生産が著しく増加しており、これは国内需要の高まりや輸出志向の強化が背景にあります。一方、モルドバでは、国内市場の需要が限られており、輸出における競争力も限定的であるため、大規模な生産拡大が難しい状況にあります。

今後の課題としては、気候変動リスクの顕在化が挙げられます。モルドバは農業が経済の中核を占める国であるだけに、温暖化に伴う極端な天候イベントに対する対策が急務です。例えば、灌漑設備の整備や気象データの活用による収穫管理の精密化が求められます。また、効率的な農業経営のために、政府が小規模農家への技術支援や資金援助を拡充する必要があります。さらに、ネギなど特定の作物のブランド化を進め、周辺国やEU市場への輸出を拡大する戦略も有効と考えられます。

結論として、1997年以降の急激な生産量の低下は地政学的混乱に起因していた部分が大きく、現在の横ばい状態は安定化を示していますが、さらなる発展には課題が多いことが明らかです。モルドバがこれらの課題に対処し、持続可能な農業体制を構築することで、ネギを含む農作物の生産を国際市場での競争力を向上させることが可能になるでしょう。FAOや国際社会の協力のもと、地域協力を強化しながら未来志向の政策を実行していくことを期待します。

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