国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月時点の最新データによると、モルドバ共和国のカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量は、長い期間にわたり大きく変動してきました。1992年の生産量は7,000トンでしたが、その後数年において著しい変動と向上が見られ、2010年にはピークとなる63,412トンを記録しました。しかし2021年以降に急激な減少が顕著になり、2022年には9,500トンと約30年ぶりの最低値を記録しました。2023年には再び30,794トンまで持ち直しましたが、依然として不安定な推移が続いています。
モルドバ共和国のカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 30,794 |
224.15% ↑
|
2022年 | 9,500 |
-17.39% ↓
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2021年 | 11,500 |
-59.73% ↓
|
2020年 | 28,558 |
-43.35% ↓
|
2019年 | 50,412 |
-19.28% ↓
|
2018年 | 62,454 |
8.57% ↑
|
2017年 | 57,524 |
4.53% ↑
|
2016年 | 55,032 |
188.14% ↑
|
2015年 | 19,099 |
-67.75% ↓
|
2014年 | 59,222 |
30.1% ↑
|
2013年 | 45,522 |
37% ↑
|
2012年 | 33,228 |
-38.41% ↓
|
2011年 | 53,952 |
-14.92% ↓
|
2010年 | 63,412 |
45.08% ↑
|
2009年 | 43,708 |
-9.99% ↓
|
2008年 | 48,557 |
68.43% ↑
|
2007年 | 28,829 |
-36.21% ↓
|
2006年 | 45,194 |
38.53% ↑
|
2005年 | 32,625 |
-0.65% ↓
|
2004年 | 32,837 |
29.79% ↑
|
2003年 | 25,300 |
-9.64% ↓
|
2002年 | 28,000 |
11.11% ↑
|
2001年 | 25,200 |
40.78% ↑
|
2000年 | 17,900 |
9.15% ↑
|
1999年 | 16,400 |
70.12% ↑
|
1998年 | 9,640 |
75.27% ↑
|
1997年 | 5,500 |
83.33% ↑
|
1996年 | 3,000 | - |
1995年 | 3,000 |
-40% ↓
|
1994年 | 5,000 |
-50% ↓
|
1993年 | 10,000 |
42.86% ↑
|
1992年 | 7,000 | - |
モルドバ共和国におけるカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量推移は、経済的な変動、気候条件の影響、農業政策の他農作物への転換など、さまざまな要因を反映しています。1990年代初頭から2000年代初頭にかけては、生産量の変化が非常に大きく、1994年の5,000トンから翌年には3,000トンまで減少する一方、1999年以降からは再び急激な増加を見せて2006年には45,194トンに達しました。そして2010年の63,412トンという数値は、モルドバのカボチャ生産における歴史的なピークとなりました。
この間、モルドバの農業は経済的に重要な産業分野とされていましたが、ソビエト連邦崩壊後、農業インフラの整備遅れや資本不足が障害となりました。そのため、一部の時期に生産効率が低下したことがデータからも窺えます。また、2000年代以降に見られる拡大期の成功は、気候条件の改善や新しい栽培技術の導入によると考えられます。特に、カボチャやスクワッシュは高い栄養価と保存性を持つため、経済作物として輸出需要も注目されてきました。
しかし2015年以降、生産量の変動が再度大きくなり、不安定さが目立つようになります。2015年には大幅に減少して19,099トンまで落ち込みました。その後、2016年から2018年には回復傾向を見せ、2018年には62,454トンまで増加しましたが、2020年以降は再び深刻な減少が見られています。特に2021年から2022年にかけて生産量が11,500トン、9,500トンと連続して減少した背景には、干ばつや降雨不足、新型コロナウイルスによる労働力不足、輸送制限が挙げられると考えられます。
2023年に入ると、30,794トンまで回復しましたが、依然として不安定さが残ります。この回復には、一部では政府支援による補助金の実施や、輸出品目としての需要が再び増大したことが寄与したと考えられます。しかし、今後も気候変動によるリスクや耕作地の縮小問題は解決されていないため、中長期的には持続可能な農業モデル構築が必要です。
さらに、地政学的リスクもこの農産物の生産に影響を及ぼしています。モルドバはウクライナ戦争の影響を間接的に受けており、物価高騰や物流の乱れが生産コストの増加を招いています。また、近隣諸国との貿易制限が間接的に輸出量の減少に繋がった可能性も考えられます。このような影響を最小限に抑えるためには、国内での農業補助制度の拡充や新たな貿易パートナーシップの構築が重要です。
今後、モルドバがカボチャやスクワッシュの生産を安定化させるには、以下の具体的な対策が有効です。第一に、生産者を保護するための気候変動リスクに対応可能な農業保険の整備が重要です。第二に、地域の雨水利用や灌漑システムを整えることで干ばつの影響を緩和する必要があります。また、技術革新を推進し、効率的な農作物育成のためのトレーニングや機械導入を支援することが生産性向上に繋がります。
結論として、モルドバのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量は、地理的に特徴的な条件や経済的、政策的要因の影響を受ける繊細な分野であることが示されました。これらを長期的に安定させるためには、専門的な技術支援、国際協力の強化、および環境的なリスク低減策が欠かせません。将来的には、モルドバのこうした実践が周辺諸国にとってもモデルケースとなる可能性があります。