国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、ザンビアにおける落花生の生産量は過去数十年間で大きな変動を経験してきました。初期の1960年代は安定的であったものの、その後の1978年から1980年にかけては急激に減少しました。しかし、2000年以降は着実に増加を続け、2023年には235,446トンという過去最高の生産量を記録しました。この長期的な推移は農業政策、気候条件、経済的要因などが絡み合った結果を示しています。
ザンビアの落花生生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 235,446 |
23.82% ↑
|
2022年 | 190,150 |
8.45% ↑
|
2021年 | 175,329 |
37.87% ↑
|
2020年 | 127,172 |
-2.79% ↓
|
2019年 | 130,825 |
-28.03% ↓
|
2018年 | 181,772 |
7.75% ↑
|
2017年 | 168,699 |
12.34% ↑
|
2016年 | 150,170 |
2.22% ↑
|
2015年 | 146,914 |
2.31% ↑
|
2014年 | 143,591 |
34.46% ↑
|
2013年 | 106,792 |
-5.51% ↓
|
2012年 | 113,025 |
-59.46% ↓
|
2011年 | 278,775 |
70.26% ↑
|
2010年 | 163,733 |
35.81% ↑
|
2009年 | 120,564 |
70.95% ↑
|
2008年 | 70,527 |
27.73% ↑
|
2007年 | 55,215 |
-34.28% ↓
|
2006年 | 84,010 |
13.19% ↑
|
2005年 | 74,218 |
23.7% ↑
|
2004年 | 60,000 | - |
2003年 | 60,000 | - |
2002年 | 60,000 |
44.86% ↑
|
2001年 | 41,420 |
-20.3% ↓
|
2000年 | 51,971 |
2.19% ↑
|
1999年 | 50,855 |
-10.68% ↓
|
1998年 | 56,934 |
24.15% ↑
|
1997年 | 45,859 |
31.95% ↑
|
1996年 | 34,755 |
-3.78% ↓
|
1995年 | 36,119 |
3.97% ↑
|
1994年 | 34,740 |
1.28% ↑
|
1993年 | 34,301 |
67.29% ↑
|
1992年 | 20,504 |
-27.26% ↓
|
1991年 | 28,188 |
12.37% ↑
|
1990年 | 25,086 |
-16.67% ↓
|
1989年 | 30,104 |
-9.87% ↓
|
1988年 | 33,400 |
-29.57% ↓
|
1987年 | 47,426 |
160.81% ↑
|
1986年 | 18,184 |
25.26% ↑
|
1985年 | 14,517 |
9.37% ↑
|
1984年 | 13,273 |
20.88% ↑
|
1983年 | 10,980 |
17.16% ↑
|
1982年 | 9,372 |
-38.5% ↓
|
1981年 | 15,240 |
-4.75% ↓
|
1980年 | 16,000 |
-27.27% ↓
|
1979年 | 22,000 |
-34.43% ↓
|
1978年 | 33,550 |
-44.78% ↓
|
1977年 | 60,753 |
-52.62% ↓
|
1976年 | 128,226 |
83.44% ↑
|
1975年 | 69,900 |
46.86% ↑
|
1974年 | 47,596 |
-24.82% ↓
|
1973年 | 63,313 |
-20.07% ↓
|
1972年 | 79,210 |
14.8% ↑
|
1971年 | 69,000 |
1.47% ↑
|
1970年 | 68,000 |
1.49% ↑
|
1969年 | 67,000 |
3.08% ↑
|
1968年 | 65,000 |
3.17% ↑
|
1967年 | 63,000 |
5% ↑
|
1966年 | 60,000 |
36.36% ↑
|
1965年 | 44,000 |
10% ↑
|
1964年 | 40,000 |
-20% ↓
|
1963年 | 50,000 |
11.11% ↑
|
1962年 | 45,000 |
-10% ↓
|
1961年 | 50,000 | - |
ザンビアにおける落花生の生産量の歴史は、さまざまな社会経済条件や気候の変動を反映しています。1961年から1972年にかけては、約50,000トンから79,210トンまでの増加傾向が見られました。この期間は農業技術の向上や生産拡大が進んだと考えられます。しかし、1973年から1980年にかけては、生産量が大幅に減少し、16,000トンまで落ち込んでいます。この要因として、当時の政策的な混乱やインフラの制約、さらに旱魃などの自然災害が挙げられます。
1981年から2000年までは、一進一退の減少傾向が続き、生産量の回復は限定的でした。しかし、2000年以降は技術革新や政府の農業支援政策、また小規模農家の協力が進んだことで、持続的な増加が見られるようになりました。この変化はザンビアの農業セクターの構造変革および政府の財政政策の充実が関与していると考えられます。2023年には過去最高の235,446トンの生産量を達成しましたが、これは主に農地面積の拡張や気候条件の安定に起因しています。
地域別の課題に目を向けると、ザンビア国内の農村部におけるインフラ整備の遅れが、生産効率の向上を妨げる要因となっています。また、地政学的背景から見ても、南部アフリカ全体での気候変動の影響を受け、旱魃や収穫の不安定性が課題として顕在化しています。特に2020年から2021年にかけての生産量が落ち込んでいる理由は、度重なる干ばつとその影響に関連しており、こうした気候的要因の克服が急務となっています。
さらに、新型コロナウイルス感染拡大の影響にも触れると、2020年と2021年にはロジスティクスの停滞や農作物価格の変動が生産に悪影響を与えましたが、一方でパンデミックの回復後は高い生産成長率を示し、2022年以降には輸出市場の需要も生産の後押しを行いました。
ザンビアの厳しい課題は、小規模農家が依然として大部分の生産責任を負っており、技術や資金の不足、農業教育の普及の遅れが挙げられます。このため、政府並びに国際機関は、農業技術へのアクセス拡充、気候変動への適応策の導入、および農村部での持続可能な農業開発に焦点を当てる必要があります。具体的な対策としては、灌漑施設の導入、小規模農家への資金援助プログラム、そして国内外市場における落花生輸出のマーケティング促進が有効です。
結論として、ザンビアの落花生生産量は長期的に見ると順調な増加傾向にありますが、気候変動やインフラ問題、技術の不均等などの障壁が生産性向上の足かせとなっています。そのため、政府や国際的支援機関が連携し、効果的な農業インフラの建設や教育プログラムの実施、そして持続可能な農業慣行の普及を推進することが必要です。これにより、ザンビアの落花生産業はさらなる成長を達成する可能性があります。