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ザンビアの羊肉生産量推移(1961年~2023年)

国連食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ザンビアの羊肉生産量は1961年以降、大きな変動を経ながら長期的には増加傾向を示しています。特に1990年代以降は大幅な成長が見られ、2000年には500トンの生産量を突破しました。その後2016年には909トンまで上昇しましたが、2017年以降、一部で減少の波が見られました。しかし2022年には976トンと過去最高を記録し、2023年も911トンを維持するなど、全体として発展が続いています。このような増減の背景には、地政学的、経済的な要因、気候変動、さらには新型コロナウイルスの影響などが絡み合っていると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 911
-6.68% ↓
2022年 976
17.08% ↑
2021年 833
8.09% ↑
2020年 771
24.72% ↑
2019年 618
-10.71% ↓
2018年 692
8.75% ↑
2017年 637
-29.96% ↓
2016年 909
0.3% ↑
2015年 906
1.46% ↑
2014年 893
1.27% ↑
2013年 882
2.44% ↑
2012年 861
1.65% ↑
2011年 847
1.68% ↑
2010年 833
5.31% ↑
2009年 791
4.63% ↑
2008年 756 -
2007年 756
1.89% ↑
2006年 742
2.91% ↑
2005年 721
5.1% ↑
2004年 686
6.52% ↑
2003年 644
2.22% ↑
2002年 630
15.38% ↑
2001年 546
8.33% ↑
2000年 504
16.13% ↑
1999年 434
19.23% ↑
1998年 364
23.81% ↑
1997年 294
5% ↑
1996年 280
4.17% ↑
1995年 269
5.49% ↑
1994年 255
4.6% ↑
1993年 244
6.1% ↑
1992年 230
5.81% ↑
1991年 217
3.33% ↑
1990年 210
8.3% ↑
1989年 194
9.4% ↑
1988年 177
7.29% ↑
1987年 165
7.27% ↑
1986年 154
7.11% ↑
1985年 144
12.86% ↑
1984年 127
-37.46% ↓
1983年 204
4.83% ↑
1982年 194
107.47% ↑
1981年 94
-4.02% ↓
1980年 98
-14.58% ↓
1979年 114
7.09% ↑
1978年 107
-5.11% ↓
1977年 112
27.87% ↑
1976年 88
-10.29% ↓
1975年 98
-6.67% ↓
1974年 105 -
1973年 105
-14.77% ↓
1972年 123
0.57% ↑
1971年 123
-1.69% ↓
1970年 125
11.25% ↑
1969年 112
0.16% ↑
1968年 112
-2.98% ↓
1967年 115
11.56% ↑
1966年 103
-4.77% ↓
1965年 109
-14.84% ↓
1964年 127
1.11% ↑
1963年 126
-2.7% ↓
1962年 130
-2.63% ↓
1961年 133 -

ザンビアにおける羊肉生産量推移を振り返ると、1961年に133トンで記録が始まり、その後数十年間は100トンから200トンの間で低迷していました。この時期、羊を取り巻く畜産業は持続可能な支援が不足しており、農村部のインフラの未整備や、食肉需要の低迷が主要な課題でした。しかし1980年代に入ると、僅かですが生産量の増加が見られ、1990年代にはさらに顕著な成長を記録しました。この上昇は、一部での食肉需要拡大や農業支援プログラムの普及が影響したと考えられます。1990年には210トンを記録し、以降は年間20〜50トンのペースで増加していきました。

特筆すべきは1998年から2002年の間で、生産量が一挙に4倍近く拡大した点です。これは、地域情勢の安定化や農村部の灌漑技術の導入、政府や国際団体による畜産支援プログラムが効果を上げた結果と見られます。その後も生産量は安定的に増加を続け、特に2005年から2016年にかけて、年間20トン以上の増加率を維持しました。

しかし、2017年以降には再び波乱が生じています。例えば、2017年の生産量は637トンと2016年比で約30%も減少しました。この急激な落ち込みには、気候変動による干ばつの影響や、生産インフラの老朽化、新型コロナウイルス感染症拡大による物流の停滞などが関係している可能性があります。一方で2022年には976トンに回復し、今後さらなる発展の可能性もうかがえます。

ザンビアの羊肉生産には地域特有の課題も存在します。たとえば、主要な農村部では伝統的な小規模農業が主流であり、大規模な産業化が難しい状況があります。加えて、気候変動により牧草地が減少し、羊の飼養が不安定になるリスクが今後も懸念されます。これらの問題には、農村開発の促進や効率的な農業政策の実施、国際的な協力による技術支援が鍵となります。

加えて、地域間協力の強化が不可欠です。ザンビアは羊肉の国内マーケットだけでなく、近隣諸国や海外市場への輸出の可能性にも目を向けるべきです。このためには、輸出基準に適合した品質管理システムの整備や、物流網の効率化などが欠かせません。また、地政学的に安定した環境の維持も重要です。仮に地域紛争や資源を巡る争いが発生すれば羊の飼養環境が悪化し、生産量に深刻な悪影響を及ぼすことが予想されます。

さらに、将来に向けての課題として、羊肉生産の持続可能性が挙げられます。気候変動による予測不可能な自然災害への対応策として、家畜飼料の多様化や飼養技術の革新が必要です。また、公共インフラや小規模農家への資金供給を強化することで、脆弱な生産基盤を安定化させることが求められます。

総じて、ザンビアの羊肉生産量は着実に成長を遂げているものの、気候変動や地域経済の不安定さといった課題を抱えています。これらを克服するためには、国際的な技術や資本の導入、地域協力の深化、さらには食肉産業の持続可能性を視野に入れた政策立案が欠かせません。国や国際機関はこれらの課題に取り組むことで、ザンビアの畜産業の更なる発展をサポートすることができるでしょう。