Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が2024年7月に発表した最新データによると、ギニアのマンゴー、マンゴスチン、グアバの生産量は過去数十年で大きな増加を見せており、2023年には206,209トンに到達しました。特に1990年代以降は顕著な成長を遂げており、それ以前の24,000トン程度の安定した生産量から大きく転換しています。この成長はギニアの農業政策や経済情勢による影響が強く、生産効率の向上や市場の需要拡大がその要因と考えられます。
ギニアのマンゴー・マンゴスチン・グアバ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 206,209 |
1.17% ↑
|
2022年 | 203,815 |
2.29% ↑
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2021年 | 199,255 |
2.29% ↑
|
2020年 | 194,798 |
2.29% ↑
|
2019年 | 190,441 |
2.96% ↑
|
2018年 | 184,975 |
2.62% ↑
|
2017年 | 180,248 |
2.65% ↑
|
2016年 | 175,600 |
1.08% ↑
|
2015年 | 173,721 |
-1.57% ↓
|
2014年 | 176,490 |
1.82% ↑
|
2013年 | 173,343 |
6.91% ↑
|
2012年 | 162,135 |
2.81% ↑
|
2011年 | 157,700 |
-3.64% ↓
|
2010年 | 163,652 |
-0.82% ↓
|
2009年 | 165,000 |
-0.6% ↓
|
2008年 | 166,000 |
0.61% ↑
|
2007年 | 165,000 |
0.61% ↑
|
2006年 | 164,000 |
1.23% ↑
|
2005年 | 162,000 |
-1.22% ↓
|
2004年 | 164,000 |
2.5% ↑
|
2003年 | 160,000 |
2.69% ↑
|
2002年 | 155,812 |
29.84% ↑
|
2001年 | 120,000 |
21.15% ↑
|
2000年 | 99,048 |
19.34% ↑
|
1999年 | 83,000 |
-2.03% ↓
|
1998年 | 84,720 |
12.96% ↑
|
1997年 | 75,000 |
-1.9% ↓
|
1996年 | 76,450 |
-4.44% ↓
|
1995年 | 80,000 |
-23.44% ↓
|
1994年 | 104,500 |
34.93% ↑
|
1993年 | 77,450 |
-16.63% ↓
|
1992年 | 92,900 |
32.71% ↑
|
1991年 | 70,000 |
40% ↑
|
1990年 | 50,000 |
25.63% ↑
|
1989年 | 39,800 |
-0.5% ↓
|
1988年 | 40,000 | - |
1987年 | 40,000 |
11.11% ↑
|
1986年 | 36,000 | - |
1985年 | 36,000 |
12.5% ↑
|
1984年 | 32,000 | - |
1983年 | 32,000 |
14.29% ↑
|
1982年 | 28,000 | - |
1981年 | 28,000 |
16.67% ↑
|
1980年 | 24,000 | - |
1979年 | 24,000 | - |
1978年 | 24,000 | - |
1977年 | 24,000 | - |
1976年 | 24,000 | - |
1975年 | 24,000 | - |
1974年 | 24,000 | - |
1973年 | 24,000 | - |
1972年 | 24,000 | - |
1971年 | 24,000 | - |
1970年 | 24,000 | - |
1969年 | 24,000 | - |
1968年 | 24,000 | - |
1967年 | 24,000 | - |
1966年 | 24,000 | - |
1965年 | 24,000 | - |
1964年 | 24,000 | - |
1963年 | 24,000 | - |
1962年 | 24,000 | - |
1961年 | 24,000 | - |
ギニアのマンゴー、マンゴスチン、グアバの生産量推移は、この地域の農業発展の歴史を物語る重要な指標です。データを振り返ると、1960年代から1970年代にかけての生産量は24,000トンで一貫して安定しており、大きな成長は見られませんでした。この時期の農業は主に自給自足的な傾向が強く、輸出や大規模商業化からはほど遠い状況だったと推測されます。
1981年ごろまで続いたこの傾向は1980年代に転換点を迎え、生産量が徐々に増加を見せ始めました。この背景には、農業技術の改善、国内外市場への輸出需要の拡大、そしてギニア政府による農業支援政策が関与している可能性が挙げられます。例えば、農業従事者への技術支援や灌漑インフラの整備、マンゴーやグアバといった果樹の栽培に適した品種開発が貢献していると考えられます。
1990年代以降は生産量が飛躍的に上昇し、1990年の50,000トンから1992年には92,900トンに達しました。ただし、1993年から1997年のデータに見られるように、一部では生産量の変動も起きています。この変動は、気候変動や地域の政治的不安定が影響を及ぼしたと推測されます。特にギニアはサハラ以南アフリカ諸国特有の課題である降雨量の変化や自然災害のリスクを抱えています。
2000年以降になると、安定した成長が見られるようになり、2003年以降は毎年約160,000トン以上のマンゴー・マンゴスチン・グアバが生産されています。そして2023年には206,209トンに達し、過去最高を記録しました。この上昇の要因として、地元での消費増加だけでなく、マンゴーやグアバといった熱帯果物への国際的な需要が高まったことが挙げられます。また、中国やインドといった諸外国では同様の熱帯果物の輸出拡大を進めていますが、ギニアもその流れに乗った形となっていると言えます。
一方で、農業は気候や労働条件への依存度が高い産業であるため、この急成長を維持するためには課題も散見されます。例えば、農作業に必要な労働力の安定確保、栽培地での気候変動リスクへの対策、そして農業収益の地域コミュニティへの還元が重要なテーマとなります。また、収穫後の果物を効率よく貯蔵・輸送し、国内外の市場に届けるための物流インフラの整備や加工技術の導入も急務です。
さらに、地政学的な背景にも注目する必要があります。ギニアが位置する西アフリカ地域は近年、いくつかの国で政治的緊張や内戦が発生しており、これが周辺国の農産物貿易にも影響を与えるリスクがあります。同時に、新型コロナウイルスのパンデミックやロシア-ウクライナ戦争などの国際問題が物流コストの上昇や市場への影響を引き起こしましたが、ギニアの果物産業が引き続き成長するためには、これらの国際問題や地域の安定性を考慮した対応が求められます。
今後の具体的な対策としては、まず第一に地域農業協力の枠組みを強化し、サブサハラアフリカ諸国間で技術共有と市場開拓を進めるべきです。さらに、国際的な支援を受けて、マンゴーやグアバの貯蔵施設の整備や品質管理技術の高度化を進めることが重要です。これにより、ギニア産の果物の国際競争力が向上し、持続可能な農業成長を支えることが可能となります。
結論として、マンゴー・マンゴスチン・グアバ生産量の増加はギニア農業の潜在能力を示すものであり、地域の経済発展に貢献する一方、将来的な安定成長のためには様々な課題に取り組む必要があります。これを実現するためには国や国際機関の協力が欠かせず、総合的な視野での政策策定が求められます。