ファールス地方のサーサーン朝考古景観

アシア / イラン（イスラム共和国） / 文化遺産

基本情報

遺跡名称	ファールス地方のサーサーン朝考古景観
遺跡名称(英語)	Sassanid Archaeological Landscape of Fars Region
国名	イラン（イスラム共和国）
登録区分	文化遺産
登録基準(登録基準とは)	(ii)(iii)(v)
世界遺産登録年	2018年
資産面積	639.3ha

世界遺産「ファールス地方のサーサーン朝考古景観」の登録理由や特徴について

ササン朝の考古学的景観、すなわち「ササン朝考古学的景観」は、イランのファールス地方に位置する８つの考古学的遺跡から成り立っています。これらの遺跡は、ファールス地方の南東部に位置するフィルザバード、ビシャプール、サルヴェスタンの３つの地理的エリアに分布しています。これらの地域には、ササン朝帝国の最盛期となる224年から658年までの時代に建設された防御構造物、宮殿、都市計画が見られます。

特に注目すべきは、ササン朝の創始者であるアルダシール・パパカンによって建設された首都と、彼の後継者であるシャープール1世の都市および建築物です。これらの遺跡群は、自然の地形を最大限に活用した設計がなされており、アケメネス朝やパルティアの文化的伝統、さらにはローマ美術の影響を受けた建築様式が顕著に反映されています。このことは、後のイスラム時代の建築にも大きな影響を与えました。

ササン朝は、古代ペルシャの栄光を礎にした豊かな文化と高度な技術を誇り、そのレガシーは今日のイラン文化に色濃く残っています。考古学的景観として認識されるこれらの遺跡は、ただその美しさや壮大さにとどまらず、歴史的、文化的意義を持つ重要な証拠でもあります。UNESCOの世界遺産にも登録されており、その重要性は世界的にも認められています。

特にビシャプールの遺跡では、シャープール1世がローマ皇帝ウァレリアヌスを捕虜にした際の歴史的な浮彫りが見られ、当時のササン朝の軍事的成功や繁栄を物語っています。また、サルヴェスタンの遺跡は完璧に保存された構築物が多く、訪れる人々に古代の生活様式や文化を垣間見せてくれます。これらの遺跡群は、歴史愛好者や考古学者にとっても魅力的な探求の場となっています。

ササン朝考古学的景観は、イランの歴史だけでなく、世界遺産としても重要な位置を占める文化遺産です。訪れることで、古代文明の息吹を感じ、過去とのつながりを体感する貴重な体験ができます。自然と人間の創造性が織りなすこの景観は、未来の世代にとっても大切に保護されるべき財産です。