国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、2022年の世界のそば生産量ランキングで1位にランクインしたのはロシア連邦(1,222,382トン)、2位は中国(506,440トン)、3位はウクライナ(147,690トン)でした。この3か国が生産量の多くを占め、4位以下との差が顕著です。一方で日本は7位(40,000トン)となり、そば文化が深く根付く国として一定の生産量を維持していますが、世界全体では依然として限られた位置にとどまっています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
ヨーロッパ | 1,222,382 |
| 2 |
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アジア | 506,440 |
| 3 |
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ヨーロッパ | 147,690 |
| 4 |
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アジア | 89,803 |
| 5 |
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北アメリカ | 85,305 |
| 6 |
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南アメリカ | 64,376 |
| 7 |
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アジア | 40,000 |
| 8 |
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アフリカ | 27,561 |
| 9 |
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アジア | 19,290 |
| 10 |
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ヨーロッパ | 17,766 |
| 11 |
|
北アメリカ | 10,829 |
| 12 |
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アジア | 1,707 |
| 13 |
|
アジア | 1,133 |
| 14 |
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ヨーロッパ | 442 |
| 15 |
|
アフリカ | 225 |
| 16 |
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アジア | 113 |
| 17 |
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ヨーロッパ | 103 |
| 18 |
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アジア | 17 |
| 19 |
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アジア | 12 |
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2022年のそば生産量ランキングを見ると、ロシアが圧倒的な1位に立ち、120万トン超の生産量を記録しています。この背景には、広大な農地を持つロシアがそばの適地適作を活用していること、また国内消費に加えて輸出市場への供給を大規模に行っていることが挙げられます。中国は2位に位置し、50万トン以上の生産量を記録しています。中国では、ヘルシー思考の高まりとともに需要が増加しており、国内市場向けの生産が中心となっています。ウクライナも3位となっていますが、地政学的な課題がそばの生産および供給に影響を及ぼしています。
日本は7位で40,000トンの生産量を記録しました。そばといえば日本食文化を象徴する食品の一つですが、その生産量は需要を満たすには不十分であり、大部分を輸入に頼っています。このため、国内での生産拡大や安定供給に対する課題が顕在化しています。同時に、アメリカやブラジルといった非アジア諸国もランクインしており、そばの栽培が特定地域だけに限られない多様性が見受けられます。
一方、生産量の下位グループを見てみると、特に韓国(1,707トン)やブータン(1,133トン)などでは、そばの生産規模が非常に小さく、地域的な特色や経済的な制約が原因となっている可能性があります。また、キルギスタンやウズベキスタンでは100トン未満と、そばの生産は極めて限られています。これらの地域では、そばの普及や生産技術の向上が今後の大きな課題となります。
地政学的背景を考慮すると、ロシアやウクライナが上位に位置している一方で、両国の間で進行中の緊張状態がそばのグローバルサプライチェーンに影響を及ぼす懸念があります。ウクライナ産のそばは特にヨーロッパ市場に向けた重要な供給源ですが、輸出ルートの途絶や農地への影響は、2023年以降の供給不安を引き起こす可能性があります。
今後の課題として、まず重要なのは世界全体でのそば需要への対応です。特に日本においては、国内消費の増加に応じた持続可能なそば栽培の拡大が求められるでしょう。これには、農家への支援や品種改良を通じた生産性の向上、耕作放棄地の活用といった施策が有効です。また、ウクライナにおける生産継続を支えるための国際間協力、輸送体制の整備が重要になります。
さらに、そばは他と異なる土壌条件にも適応しやすい作物であるため、アフリカや南アジアといった地域でもその潜在力が期待されています。例えばタンザニアが27,561トンと8位にランクインしたことを考えると、アフリカ諸国でのそば栽培は新たな農業経済の活性化に寄与すると考えられます。これには、そば栽培の教育や技術支援、農村インフラ整備が欠かせません。
これらのデータから導き出される結論として、そばの生産と供給は地政学的リスク、貿易、気候条件などに左右されやすい一方で、多地域への普及や地域間協力によってその脆弱性を軽減できる可能性が見えます。日本を含む主要なそば消費国は、輸入先の多角化や国内での生産拡大を推進する一方で、国際的な協力を通じてそばの安定供給を確保する方策を模索する必要があります。